人類をちょっとワイルドにする自然体験を集めた、体験メディア「WILD MIND GO! GO!」編集部。
自然の中の体験を通して、普段の自分がちょっとワイルドに変わって行く、そんなステキなアイディアを集め毎週皆さんへお届けしています。
採集時に資源への配慮が求められることの多い野生食材のなかで、いくら採っても問題なし、むしろ採ったほうがよいと言えそうなのがセイヨウカラシナです。その繁殖力は環境省から「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種」に指定されるほど旺盛。ちょっとやそっと採集した程度ではまるで減りません。そんなに丈夫な野草なのに味は一級品。若葉は漬物、花芽はおひたしで美味です。都市近郊の川の土手などにもよく生えているので採集も簡単です。花芽を楽しむなら2月下旬から3月上旬が適期。春の野に出て若菜を摘んでみましょう。そして初夏に実る種子はマスタードとして利用できます。ポイントは夏まで忘れずに!
野生のカラシナの種子から自家製の粒マスタードをつくろう
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セイヨウカラシナの葉を食べるなら、旬は1年のうちで2回あります。1回目は晩秋。2回目は早春です。冷涼な気候を好むセイヨウカラシナはほかの草が衰える10月下旬ごろから葉を茂らせ、温暖な地域ではそのまま冬を越して春に花芽を伸ばします。霜が降りる地域では厳冬期に一度枯れるものの、寒さが緩む2月下旬から再び葉を茂らせます。晩秋と早春の伸びたてのタイミングは葉が柔らかいので漬物の素材に最適です。
どちらのタイミングでもほかの植物は元気がないので、河原の土手などで鮮やかな緑色のアブラナ科を見つけたらセイヨウカラシナの可能性が大。気になる株があったら葉を揉んでみましょう。ダイコンの葉に似た少し辛みを帯びた臭気を感じられたらセイヨウカラシナかもしれません。図鑑と照らして正体を確かめましょう。
セイヨウカラシナはほかのアブラナ科と交雑しやすいといわれ、地域によって草姿は少しずつ異なります。ダイコンの葉を少しワイルドにしたような雰囲気で、株によっては葉の付け根のあたりに棘があるものもあります。
セイヨウカラシナと同じ時期、同じ場所に生える菜の花にセイヨウアブラナがあります。こちらは葉の雰囲気がチンゲンサイや小松菜に似ており、花をつける茎を葉が抱くのが特徴です。セイヨウカラシナは茎を抱きません。しかし、セイヨウアブラナも食べられるので、この2種の見分けはそれほどシビアに行わなくても大丈夫です。


セイヨウカラシナの可食部は若い葉と花芽。花芽は株の真ん中からスッと伸びている先端部を折りとって収穫します。折る場所は指で摘んで屈曲させたときにポクっとした感触で折れる場所が適当です。あまり欲張って下のほうから折ると、歯触りがよくありません。花芽を折られたセイヨウカラシナは再び茎から新たな花芽を伸ばすので、シーズン中に二度、三度と収穫できます。
若葉の収穫にはこれといった方法はありません。たくさん生えている株のなかから、緑が鮮やかで柔らかそうなものを選んで根本から折って収穫しましょう。たくさん収穫しても塩をふると驚くほど縮むので、1/3~1/4になることをイメージして収穫しましょう。



セイヨウカラシナの葉を塩漬けにすると、一年ほど保存ができます。漬けて日が浅いうちには爽やかな辛みが楽しめて、塩蔵の期間が長くなると乳酸発酵によって梅干しにも似た独特の香気が出てきます。
つくり方は簡単。葉の重量の3%に相当する塩をふって強く揉んで汁気を出し、出てきた汁とともにファスナー付き袋に入れて空気を抜いて冷蔵庫で保存します。漬けて3日後くらいからエグ味が落ち着いて風味が増します。食べるときは必要量を清潔な箸で取り出し、残りは再び空気を抜いて冷蔵庫に戻します。
本土ではそれほどポピュラーな食べ物ではありませんが、沖縄ではカラシナの塩漬けを「チキナー」(漬け菜)と呼び、よく料理に使います。カラシナの塩漬けは万能の常備菜。唐辛子と砂糖と合わせれば辛子高菜のような風味を楽しめます。



採集したらすぐに食べたいのが人情。いちばん簡単かつセイヨウカラシナの風味をよく味わえるのが花芽のおひたしです。塩をひとさじ加えたお湯で1分ほど泳がせて引き上げ、冷水で熱をとって色よく仕上げたら、水気を切って好みのだしをかけて食べます。めんつゆ、マヨネーズ、ゴマだれ……。ほろ苦い花芽はどんな味付けにもよく合います。


塩漬けにしたものをすぐに食べるなら、菜飯がおすすめ。細かく刻んだものを炊き立ての白飯に混ぜ込んだら、口にふくむごとにカラシナの香気が鼻腔を満たします。素朴ですが、カラシナらしさを楽しめる料理です。


菜の花は春のパスタの具材として一般的ですが、菜の花の一種であるセイヨウカラシナも具として力を発揮します。セイヨウカラシナのほろ苦さを活かすならおすすめはペペロンチーニ。オリーブオイルでニンニクと唐辛子、ベーコンを低温で炒めて香りを出し、そこにさっと湯通しした花芽と茹でたパスタを合わせて塩か醤油、あるいは魚醤で調味します。ベーコンの代わりにツナと合わせてもいいし、クリームソースで仕上げたパスタも美味です。
体験したら、写真をとって『やった!レポ』に投稿しましょう!苦労したことや工夫したこと、感想などあれば、ぜひコメントにも記載してください。
「食べられる野草」といっても、そのレベルはさまざま。野菜よりも美味なものから毒はないが食べる理由もない、といったものまでその風味には大きな幅があります。そして、おいしいものほど競争率も高まり、資源保護のことを考えると、好きなだけ採集するわけにはいきません。そんな野生食材事情のなかで、資源量が豊かで風味がよく、たくさん採っても環境への悪影響がほとんどないのがセイヨウカラシナのすごいところ。晩秋は若葉、春は若葉と花芽、初夏には種子をマスタードとして利用できます。一年に三度おいしいセイヨウカラシナは、最初に覚えておきたい食べられる野草です。
あっこ