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自然の岩と身体で向き合う フリークライミング に挑戦しよう!

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成瀬洋平

スポーツクライミングインストラクター / イラストレーター / ライター
自然の造形を読み解き、想像力と身体で答える

東京オリンピックの新種目に決まり、テレビなどでも取り上げられることが多くなった「フリークライミング」。カラフルなホールド(手がかり)が取り付けられたクライミングジムがたくさんでき、仕事帰りにひと汗流す人も多くなっています。

でも、「フリークライミング」の魅力はやっぱり自然の岩を登ること。自然がつくり出した岩の形を読み解きながら、自分の身体だけで登れば、人工壁にはない喜びを味わえるはずです。

すでにクライミングジムに通っている人も、これから始めてみたいと思っている人も、ぜひアウトドアの岩場に出かけてみましょう。ここでは、「フリークライミング」の始め方から、自然の岩場へ行くためのステップをご紹介します。

READY
準備するもの
  • 動きやすい服装

  • クライミングシューズ

  • チョーク(手につける白い粉)

  • [状況に合わせて準備の必要なもの]

  • ボルダリングマット

  • トポ(ルート集)

  • ブラシ

  • ルートクライミングならロープ、ハーネス、ギアなど

  • 救急セットなど

STEP 1

フリークライミングって何?

  • スポーツクライミング
  • トラッドクライミング
  • ボルダリング

「スポーツクライミング」「ボルダリング」という言葉がひとり歩きしている感もある昨今。「クライミングとボルダリングの違いを教えてください」という質問もあったりします。では、そもそも「フリークライミング」「スポーツクライミング」、そして「ボルダリング」とは何なのでしょうか?

岩と雪と氷の壁を登る「アルパインクライミング」、岩にセットしたギアを手がかりにして登る「エイドクライミング」など、クライミングにはさまざまな種類があります。そのなかで、登るための手段として自分の手と足(身体全部)だけを使って岩壁を登るクライミングが「フリークライミング」です。クライミングシューズやチョークは別にして、ロープなどのギアはあくまでも墜落したときに命を守るもの。「前進のために道具は一切使ってはいけない」というルールをあえて課したもので、自然に対してよりフェアでありたいという思想に根ざしています。

また「フリークライミング」にも、いくつか種類があります。ロープを使ってクライマーの安全を確保する「ルートクライミング」、そのなかでもルートを作った人が予め打ち込んだボルト(墜落時にこれが支点になって止まる)を使うクライミングを一般的に「スポーツクライミング」と呼び、岩の割目などに回収可能な支点をセットしながら登るスタイルを「トラッドクライミング」と呼んでいます(詳しく知りたい方は専門書を参照のこと)。

また、ロープによる確保なしで、基本的に飛び降りることができる程度の高さの岩を登るのが「ボルダリング」で、もっともシンプルなクライミングとも言えます。

POINT

「スポーツクライミング」も「ボルダリング」も「フリークライミング」の一種。そしてどちらも本来は自然の岩を登ることが目的で、人工壁は岩を登る練習のために作られるようになりました。

STEP 2

フリークライミングの魅力

  • 自然の造形を手掛かりに登る
  • クライミングでしか行かない別天地

自然の岩を、自分の手と足だけを使って登る「フリークライミング」。人によってその魅力は異なるでしょうが、私が感じる最大の魅力は、自然がつくり出した岩の造形を、想像力と自分の身体を巧みに働かせて登ることです。

使えそうな手がかり、足がかりを探し、岩に登る道筋を探します。実際に手で岩を持ってみると目で見ただけではわからない感触が伝わってきます。ザラザラしているのか、ツルツルしているのか。引っかかりやすいか滑りやすいか。ほんの少し指の位置を変えただけで持っている感覚がずいぶん違うはずです。

自然から差し出された謎を解くようにムーブ(動き)を考え、岩に自分の身体を当てはめていくようにして登る。その行為は、岩というキャンバスにいかにムーブを描くのかという、絵画表現にも似た芸術性があるようにも思います。そのようにしてルートを一度も落ちることなく登れたときの達成感と喜びはかけがえのないものです。目標のルートを登るために努力することは日々の生活を活き活きとさせてくれるでしょう。

POINT

岩場からの素晴らしい眺めやクライミングをしていなかったら行かないような場所を訪れ、土地の文化や海の幸、山の幸に触れることもクライミングの魅力。

STEP 3

フリークライミングを始めよう

  • クライミングジムの風景
  • クライミングシューズは種類もいろいろ

自然の岩場へ出かけよう、と言っておきながら、やはり「フリークライミング」を始めるなら室内のクライミングジムに行くのが一番手っ取り早いでしょう。現在、国内には500軒以上のクライミングジムがあり、都内には各駅にあるのではないかというほどです。

ロープを使わない「ボルダリング」なら動きやすい服装と利用料さえ持って行けば誰でもすぐに始められます。専用のシューズはレンタルできますし、スタッフがいろいろと教えてくれます。たのしいと思えたら、まずはどんどん登りましょう。週に2~3回クライミングジムに通えば日に日に上達していくはずです。

ボルダリングに慣れたら、ぜひロープを使った「ルートクライミング」にも挑戦してみてください。ただし「ルートクライミング」には安全確保のための専門の道具と知識と技術が必要ですので、経験者や山岳ガイド、インストラクターからしっかりと教えてもらうように。大きなジムでは講習会も行なっているので参加してみるのが良いでしょう。

POINT

ジムに通い始めたらマイシューズが欲しくなります。登山用品店やクライミングジムでも販売しています。非常に特殊なシューズなので、必ず実際に履いてから購入しましょう。最初に購入するならソールが平らで比較的やらわかめのものがおすすめです。

STEP 4

岩場へ行こう

  • ボルダリング講習会

さて、クライミングジムで安定して登れるようになったらいよいよ自然の岩に出かけてみましょう。ただし自然の岩にはジムのように分厚いマットはありません。アウトドアでのクライミングは重大事故や死亡のリスクを常に伴いますし、岩場ならではのルールやマナーもあります。最初は経験者と行くことをおすすめします。

「ボルダリング」ならジムで知り合った経験者に連れて行ってもらうのが良いでしょう。体験会、講習会を行なっているジムもあります。最近では初心者向けのイベントなども開催されています。それらが難しければ山岳ガイドやインストラクターに講習をお願いする方法もあります。ネットで検索すれば、意外と近場で活動しているガイドさんもいるはずです。

アウトドアで「ルートクライミング」をしたい場合は、経験者に連れて行ってもらうことも良いですが、可能ならガイドやインストラクターの講習会に参加したいところ。講習料は高いですが命に関わることなので、最初にしっかりと基本技術を身につけるようにしましょう。

POINT

室内ジムから始めると安全に対する意識が欠如しがちです。実際に毎年のように重大事故も起きています。クライミングは基本的に非常に危険なアウトドアアクティビティだと認識し、常にリスクマネージメントを怠らないように取り組んでください。リスクを回避して目標のルートが登れたとき、さらに新しい世界が広がっていくはずです。

STEP 5

『やった!レポ』に投稿しよう

「フリークライミング」に挑戦したら、かっこいいポーズで写真を撮って『やった!レポ』にアップしててみましょう!感じたことや気づいたこと、苦労したことがあれば、コメントにも添えてください。

MATOME
まとめ

「フリークライミング」はただ身体を動かすスポーツというよりも、岩という自然の形状を見て自分なりに動きを創造する、ダンスや絵画などにも似た芸術性を持っているように思います。最初は荒削りだった動きも次第に洗練され、一度も落ちることなくルートを完登するというプロセスは、まさにデッサンから始まって次第に洗練され、一枚の絵として完成させる行為にそっくり。

「ハードルが高そう」「難しそう」と思う人も多いかもしれませんが、無理せずできるところから始めることで、子供から大人まで幅広くたのしめます。また、練習したぶんだけ確実に上達するため、運動神経に関わらず各人が自分のレベルで取り組めます。

このHow toを読んで気になった方は、ぜひ近くのクライミングジムに出かけてみてください。新しいたのしみの扉がきっと開けるはずです。

新しい感動を求めて
Let’s climb on !!

クライミング講習会も行っているので、興味がある方は参加してみてください。
http://naruseclimbingschool.weebly.com/about.html

GROW CHART
成長スコアチャート
野性4
4知性
3感性
アクティビティ
その他
環境
山 ・ 川 ・ 森 ・ 海
季節
春 ・ 夏 ・ 秋 ・ 冬
所要時間
1時間~3時間
対象年齢
小学校中学年以上
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