2018.05.173060 views

身近な野草で和ハーブバター&チーズを楽しもう

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半谷美野子

森林インストラクター/和ハーブインストラクター
道端の草たちが、ご馳走に見えると、世界も違って見えてくる

私たちの身近に生えている野草や山菜など。天ぷらやおひたしと言った、和食として食べるイメージが多いのではないでしょうか? 古くから日本人が食してきた野草・山菜ですが、「和ハーブ」*として捉えると、料理の幅がぐっと広がります。和ハーブも、西洋ハーブと同じようにオリーブオイルやチーズ、バターとも相性がよく、洋食にも大活躍する食材になります。また、料理のレパートリーが増えれば、草摘みの楽しさも倍増します。

このHow toでは、庭にいつのまにか生えてきたり、里山を歩いていると道端に生えている身近な野草や山菜を集め、バターやクリームチーズと混ぜ合わせて、「和ハーブバター」と「和ハーブチーズ」として美味しくいただく方法を紹介します。なかには、スーパーで買えるものもありますが、自然に生えているワイルドな和ハーブは、香りも味も格別です! また、自分で見つけ、丁寧に採った新鮮な食材は、特においしいく感じること間違いなしです。

「野草や山菜には興味があるけど、どのように食べていいかわからない……。」「和食より洋食派。」「おしゃれに自然を楽しみたい。」という方にはおすすめの「和ハーブバター」と「和ハーブチーズ」。見るだけではなく、触って、嗅いで、味見して、身近な自然の味覚を、楽しく味わってみませんか?

*和ハーブとは?
日本を故郷としてこの風土で育ち、伝統的に暮らしの中に取り入れられてきた有用植物のこと。和ハーブ協会による、和ハーブの定義は「江戸時代以前から土着化している植物で、香りが強く、薬効があるもの」とされています。

READY
準備するもの
  • ビニール袋

    数枚

  • スコップ

  • 軍手

  • ボール(水洗いするため)

  • ザル(水切り用)

  • キッチンペーパー

  • バター

    100g

  • クリームチーズ

    100g

  • サランラップ

STEP 1

香りのいい和ハーブを探してみよう

  • サンショウ
  • ミツバ
  • カキドオシ / カキドオシの花
  • アサツキ
  • ノビル / ノビルの鱗茎

はじめに、食材となる香りのいい和ハーブを探しに出かけます。あらかじめインターネットや植物図鑑などで、身近で取れる野草を調べておきましょう。生えている場所や時期、葉っぱの特徴や香りなど、また、採取する植物と似た植物で毒性のあるものがないかも、必ず確認しましょう。

ここでは、5月から6月にかけて、和ハーブバターや和ハーブチーズで楽しめそうな野草を紹介します(野草の取れる時期は、その年の気候・地域によって差があるので参考まで)。

- サンショウ(山椒)
和食にも人気の香辛料。田畑の土手や里山など、半日陰の場所でよく見かけます。葉っぱをちぎって嗅ぐと、独特の香りですぐに見分けがつきます。

- ミツバ
爽やかな香りが特徴的。日蔭や沢沿いなど、ちょっと湿ったところで多く見かけます。小さい葉っぱは、ヘビイチゴやヤブヘビイチゴ、春先は毒草のキンポウゲ科の植物にも似ているので、切った茎の切り口や、ちぎった葉っぱを嗅ぎ、ミツバの香りがするかを確認しましょう。

- カキドオシ
ミントに似た香りが特徴的。野原や道端など、日向にも日陰でも見つけることができ、4~5月には紫の小さな花をつけます。花がついていない時は、長く伸びたオオイヌノフグリと間違えやすいので、必ず葉っぱや茎を揉んで香りを嗅いで確認しましょう。

- アサツキ *
ネギ類と同じ強い香りが特徴的。海岸近くや山野の草地に生育したり、原っぱや里山の土手、民家の庭などで多く見かけます。春だけでなく、秋に新芽も出てくるので楽しめます。

- ノビル *
葉を切った時に長ネギやニラのような香りがするのが特徴的。山野や田畑、公園などの日当たりのいい場所に生えています。

*アサツキやノビルは、見た目がスイセンなどの毒草と似ています。必ず香りを確認し、切った時に長ネギやニラのような香りがしなかったり、判断がつかない時は絶対に食べないでください!

ある程度、採取する和ハーブの目処がついたら、いよいよ外へ探しに出かけます。あらかじめ、摘む場所が採ってよい場所か、草を食べてもよさそうな環境か必ず確認しましょう。また、できるだけ空気と土がきれいな場所を選ぶようにします。

目的の和ハーブを見つけたら、よく見るだけではなく、必ず素手で触って、葉っぱをちぎっり匂いを嗅ぎます。香りがしない時は、見た目がその植物でも摘むのはやめましょう。

POINT

※野生食材の採集と喫食には危険と責任が伴います。
※はじめは、地域のことや、野草・山菜に詳しい人と採集に行きましょう。
※採集する植物は、あらかじめ、図鑑やインターネットで確認しましょう。
※種類の判断に絶対の自信が無いときは、採集物を口にしないでください。
※私有地や公園など、管理された土地で採集する場合は、管理者に確認しましょう。

STEP 2

摘んでみよう

  • サンショウ摘み
  • ノビル採り

摘みたい和ハーブが確認できたら、いざ摘んでみましょう!葉っぱの裏に虫や虫の卵などはついていないか?葉っぱは痛んでいないか?などチェックしながら、綺麗な葉を一枚一枚摘んでいきます。目安としては、うまく折れるところが、食べてもおいしいところ。切れない部分は、硬かったり、筋っぽかったりするので、無理矢理おらず、ポキッとパキッととれやすい場所から採りましょう。

ノビルは根っこから採る時が多いですが、ほかの植物は根から採らず、綺麗な部分だけ、少しいただく感じで採りましょう。根こそぎとると、毎年収穫できないですし、ほかの生き物にも影響を与えてしまいます。

また、料理用に草を摘む時は、汚れているところや、料理に使えない葉や、根、ほかの草などは、採ったその場に置いてくるのがポイント。家に帰ってからゴミにならず、自然に土にかえっていきます。また、摘んでいる時は楽しいですが、長時間外にいると疲れることも多く、帰ってから料理する気がなくなる……なんてことも。そんな時でも、洗えばすぐ料理できる状態になっていると楽になります。

STEP 3

優しく洗う

  • ボールで洗う
  • 水気を切る
  • 布巾で水分をとる
  • キッチンペーパーで水分をとる

採ってきた和ハーブは、まず、ボールやたらいなどの水につけ、優しくザブザブとゆらしながら、ゴミや土を落とします。最初から、流し水で洗うと、葉が水流で閉じて、汚れが落ちにくくなるので、まずはため水で洗ってから、最後に流し水で洗うといいでしょう。5分ぐらいで手早く丁寧に洗うと、草も傷みにくいです。

その後、ザルで水を切り、そのまま水分をとばします。時間が無い時は、布巾やキッチンペーパーなどで葉っぱをはさみ優しく水分をとります。

洗うときも、拭くときも、丁寧に傷つけないようにするのがポイント。傷つけてしまうと、黒くなったり、傷みやすくなり、バターなどに入れた時に、変色の原因になったり、保存性が悪くなります。

STEP 4

丁寧に切る

  • すっと刃をひくように切る
  • 1枚、又は数枚ずつ丁寧に切る

和ハーブの水気がとれたら、よく切れる包丁で丁寧に細かく切ります。上から押しつぶすように切ってしまうと、葉から汁が出たり、傷んだりするので、ここも面倒くさがらず、丁寧にすっと刃をひく感じで、1枚又は数枚ずつ切ります。

STEP 5

バターやクリームチーズと混ぜる

  • 材料を準備する
  • バターに和ハーブを混ぜる
  • クリームチーズに和ハーブを混ぜる

いよいよ、和ハーブをバターやクリームチーズに混ぜていきます。バターやクリームチーズは、あらかじめ冷蔵庫から取り出し、常温で柔らかくしておきます。分量としては、バター(100 g)とクリームチーズ(100 g)に対して、それぞれ大さじ2杯分ぐらいの和ハーブを混ぜていきます。和ハーブの香りも場所や生長具合によってちがうので、お好みによって、もっと入れてもいいですし、少なくてもかまいません。混ぜるときは、できるだけ手早く丁寧に混ぜていきます。

◎材料
[ 和ハーブバター ]
バター / カキドオシ / トウキ / イブキジャコウソウ

[ 和ハーブクリームチーズ ]
クリームチーズ / サンショウ / アサツキ / ミツバ / 柚子の皮の粉

ここでは、STEP1で紹介した和ハーブの他に、タイムのような香りのする「イブキジャコウソウ」とセロリに似た強い香が特徴の「トウキ」を入れました。また、お好みで柚子の皮の粉や黒胡椒、七味唐辛子などを入れてもおいしいです。混ぜる和ハーブもよく香りをかいで、オリジナルブレンドに挑戦するのも楽しみのひとつです。

またここでは、市販されているバターやクリームチーズを使用しましたが、ベジタリアン用の自家製チーズやバター、マヨネーズに混ぜてもおいしいです。

STEP 6

形を整え固める

  • 和ハーブの葉や花を飾ったバター
  • 和ハーブの葉や花を飾ったクリームチーズ
  • サランラップで包む

最後に形を整え、上に和ハーブの葉や花を飾って、サランラップで包みます。そのまま、冷蔵庫へ入れて、固めたら出来上がり! 冷蔵庫に入れておくと、2週間ほどは、和ハーブの色など変わらず保存できます。長く使わない場合や、使う予定が先の場合は、冷凍すると1か月程度保存できます。

飾る花も、あらかじめ食べられる花かどうかを調べて、和ハーブと同様に綺麗に水洗し、水分をとっておきましょう。

STEP 7

おいしく食べて、『やった!レポ』に投稿しよう

完成した和ハーブバターや、和ハーブチーズは、パンやベーグルに塗って食べるのはもちろん、お肉や魚料理、オムレツやキノコのソテーなどにもよく合い、料理のバリエーションが広がります。西洋ハーブの香りが苦手な方にも好評です。みなさんも、好きなアレンジを見つけて、料理で和ハーブを楽しんでみてください。

そして、美味しそうな写真が取れたら、ぜひ『やった!レポ』に投稿してください。おすすめの和ハーブがあれば、コメントにも記載してください!

MATOME
まとめ

身近な和ハーブに目をとめると、雑草を見る目がかわり、豊かに、そして楽しい暮らしになるのでは?と思っています。自然に季節のもの、自分が生きている土地のものを頂くので、心にも身体にもいいことばかり。「嫌々していた草抜きをする時の意識がかわった。」「散歩がずっと楽しくなった。」「除草剤を撒かれているところが気になるようになった。」など、今まで雑草だった草たちが、食べるものに見えた途端、世界が変わって見えたり、環境に目を向けるきっかけにもなるようです。

また、いざという時に、食べられる草花を知っておくと、たくましく生きていけるのではないでしょうか?そして、日本古来から親しまれてきた植物を知ることは、日本の伝統文化に目を向け、昔の人の知恵や手仕事を知るきっかけにもなると感じています。買えば何でも手に入る世の中とはまた違う、1つ1つ手作りだった頃、衣食住に自然の植物を取り入れていたことを想うことは、現代に大切な時間ではないかと思うのです。

草摘みをするたびに、自然に生き物が目に入ってくるので、その季節の生き物や、生き物と一緒に生きていることを感じずにはいられません。私たち人間も自然と共に生き、私たちも生き物だと感じ、人間が生きていくためには、自然が大切だといことを、身近な草を摘んで、楽しくいただくことから感じてもらえたらうれしいです。

GROW CHART
成長スコアチャート
野性3
4知性
3感性
アクティビティ
食べる
環境
山 ・ 川 ・ 森 ・ 街 ・ 田畑 ・ 公園
季節
春 ・ 夏 ・ 秋
所要時間
30分~60分
対象年齢
小学校中学年以上
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コメント
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  • nonootje
    2018.05.17 13:29

    すごく楽しい企画ですが、毒草がある場合もあるので、本当に詳しい人と行ってほしいと思います。また、のびるなども取り方に注意。根こそぎ全部持っていくと、翌年から生えなくなります。山菜も(タラの芽なども)翌年のために取りつくさないのが暗黙のルールだと聞きます。

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