狩猟採集、野外活動、自然科学を主なテーマに執筆・編集するフリーランスのエディター、ライター。川遊びチーム「雑魚党」の一員として、水辺での遊び方のワークショップも展開。著書に『海遊び入門』(小学館・共著)ほか。twitterアカウントは@y_fomalhaut。
強い日差しと高い気温が気がかりで、子供たちを野外に連れ出しづらい夏。しかし、座っているだけでも汗が噴き出すような日こそ、ぴったりの遊び場があります。その場所は……川! 冷たい水でクールダウンできる川なら、真夏日でも安心して楽しめます。浸かって楽しめるような川に出かけたら、挑戦したいのが「ガサガサ」。岸際の草や岩の下の魚を追い出して、タモですくいあげる漁法です。釣りをするにはちょっと幼い子供でも楽しめて、釣りよりも多種多様の生き物に出会えるのがガサガサの魅力。川の生き物とお近づきになるのに、ぴったりの遊びです。※水難事故防止のためにライフジャケットを着用し、河川では、天候変化やダム放水による増水に充分注意しましょう!
子供と水遊びを楽しむなら、水流の多すぎない小さな川がオススメ。深い場所でも水深が子供の腰ほどの川なら、流されたり、溺れたりする危険も少なく、小さな子供でも安全に楽しむことができます。そんな川に心当たりがないときは、住んでいる都道府県名と「清流」「川遊び」などの語句で画像検索! きっと家の近くに川遊びにぴったりの場所を見つけられるはずです。
川遊びをするときは、水切れがよい化繊の上下とシューズを着用します。服はダボっとしたものより、体にぴったり合うもののほうが水流を受けづらく、水中でも軽快に動けます。足元は履き古した運動靴やウォーターシューズか、つま先が覆われ、かかとをしっかりホールドできるサンダルなどがオススメです。つま先が出たサンダルや、しっかりホールドできないサンダルは、つま先をケガしたり、簡単に川で流してしまいます。そして、忘れてはいけないのがライフジャケット。川の中で転んだり水流に流されても、ライフジャケットがあれば呼吸が確保されます。
小魚は岸際の草の陰に多く潜んでいます。川の真ん中のほうから岸へと近づいたら(こうすると泳いでいた魚も追われて岸際へ逃げ込みます)、タモを構えて草陰の下流側に静かにセット。タモを置いたら、今度は上流側から足を使って草をガサガサと震わせ、タモへと魚を追い込みます。この時のコツは、網をしっかり岸際にくっつけること。追われた魚は、草の陰を岸に沿って逃げるので、網が岸から離れていると隙間から逃げてしまいます。タモを上げるタイミングも重要です。追われた魚が網へと入っても、そのタイミングで引き上げなければ、魚はまた網の外へ出てしまいます。もちろん、魚が入る前に引き上げるのもダメ。何度か挑戦するうちに、タモを上げるタイミングがつかめるはずです。
岩の下も魚が潜む場所。瀬の中に、底が砂に埋まっていない石を見つけたら、下流側にタモをセット。石を起こして石があった場所を手で探ると、驚いた魚がタモへと飛び込みます。石を起こすときは、転がった石で自分のつま先や指を挟んでしまわないように注意しましょう。
ガサガサの特徴は、川に住むいろんな生き物が採れること。釣りでは使ったエサが好きな魚しか見られませんが、ガサガサなら食性のちがう多様な魚たちに出会えるうえ、魚以外にもエビやカニ、水生昆虫なども採ることができます。捕まえるだけならバケツでも十分ですが、透明のプラケースがあれば、上からも横からも魚の姿を楽しめます。カメラで写真を撮っておけば、どんな場所でどんな時期に出会えたのか記録することもできます。
高価な道具が入らず、始めたその日から獲物と出会えるガサガサは、川に住む生き物と出会うのにぴったりの方法です。タモにおさまるのは多種多様な川の生き物たち。メインの遊び相手は、10cmに満たない小魚たちですが、ときにはヤマメやナマズ、コイのような大物が採れることもあります。そんな獲物との出会いはきっと一生ものの思い出になるでしょう。