SPECIAL TOPIC
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2016.09.30
五感で自然をとらえる探検へ、GO!GO!

その昔、人間が狩猟生活をしていたころ、狩りで獲物を捕まえたり、敵から身を守るために、五感を研ぎすましておくことは、生死を分ける大切なことであったといいます。都市で暮らす人には、遠くにあるかないかをようやく見分けられるような黒い点を、砂漠の民ベドウィンは、それが授乳中のラクダだと見分けられた、というようなエピソードもあります。(狩猟民族と私たちの感覚器官は生物学的に同等なのです!)勘が働く人のことを「嗅覚の鋭い人」というように、嗅覚は何かを探り当てる力が秘められています。また、素足で歩くことは、感触や温度、体温が奪われる様子から、ただ見るだけよりも、歩いている面の性質をよりよく知ることができるのです。この特集では、五感を研ぎすまし自然を楽しむアイディアを集めました。狩猟民族さながらに、五感を研ぎすましてみることで、これまで見過ごしていた自然の魅力をとらえてみては、いかがでしょう?参考文献:トリスタン・グーリー『日常を探検に変える』紀伊国屋書店

  • 中澤朋代

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    風のない時間帯を選んで、平らな所で目を閉じて、静かに風見鶏(かざみどり)のように風を感じます。すると、ほおに当る少しの風の存在や、一歩自分が歩き出すことで起こる風の存在に気づけるはず。次に、その風を感じながら、目隠しをしたままで、まっすぐに前に向かって歩いてみましょう。無風に近い状態では、目を閉じるとまっすぐに歩いているつもりでも、意外に思うように歩けないもの。人にもよりますが、大きく右や左に回って歩いてしまいます。これは、山で雪や雲などによって視界が白一色になり、方向・高度・地形の起伏が識別不能となる現象「ホワイトアウト」で遭難する、「リングワンデリング(同じ場所をぐるぐる回ってしまう)」という状況に似ています。このHow toを行うことで、小さな風を感じる感性を研ぎ澄まし、自分の身体感覚の癖を知ることにも役に立ちます。

  • 子どもはすぐに靴下を脱ぎたがります、帽子なども取りたがりますね。子どもは、素肌や素足の感覚を大切にしていて、隠されることをとても嫌がります。それなのに、大きくなると、いつの間にか肌を隠したがるようになるものです。裸足になるのは勇気がいりますが、靴下を脱いで地面に立ってみると、大地に立っている感覚を取り戻すことができます。芝生の感覚、砂地の感覚、泥の感覚を、さあ体感してみましょう。*注意:危ないものが落ちていないか、裸足で歩くことができるか、まずは大人が安全を確認してください。

  • 花や葉っぱ、木の幹や地面、空など、自然の美しい色を写真に撮って集めます。集めた写真から「1色に見える状態」を抜き出します。この切り取り作業を20色くらいになるまで行います。抜き出した色を「12の色枠」のうえに乗せて動かし、近い枠色を見つけたら、その中に色をうめ込みます。これを繰り返して12の枠全てに色写真をうめ込みます。すると「虹色の順番にならんだパレット」ができ上がります。つぎに12の色に名前をつけていきます。写真を撮ったときの気持ちや、写真から連想される状態などを色のなまえにすると、楽しく個性あふれるパレットになるでしょう。自分だけの「ネイチャーカラーパレット」できあがりです!このHow toでは「虹の色の順番をガイドにし、それに近い色を選ぶ」というあそびをすることで、美しいと感じる色づかいの法則を学びつつ、色という視点を通して自然への眼差しを豊かにします。

  • 駒崎掲

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    デジタルデトックスをして、音に言葉をつける「作詞家」になってみませんか?耳にはイヤホン、手にはスマホを、スマホの画面に視線を落とす。そんな人最近多いですよね。たまには五感を裸にして自然なままの自然な音を感じてみてはいかがでしょうか。耳は生まれたときから活動し続けている器官の一つです。目のように耳は閉じることはできないので常に音をきき続けている状態になっています。いつも全ての音をきいていては疲れてしまうので、勝手に聴覚は制限をしています。そのためきこえているはずなのに意識しないときこえない音はたくさんあります。例えば空調の音や電気、時計の音です。電気を消したとき「時計の音がうるさくて眠れなくなった。」なんて経験のある人もいるかもしれません。それは部屋が暗くなって視覚が使えなくなるかわりに聴覚に感覚が集中しているからかもしれません。このHow toでは、ふだん制限して使っている耳を自然の中で解放し、きこえてくる音に「歌詞」をつけて、それを共有する方法をお教えいたします。

  • 室諭志

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    普段目にする風景のなかで、私たちは一体どれだけのものを意識して過ごしているでしょうか。このHow toでは、においを通じて普段の暮らしの中で見過ごしている風景を見つめなおしてみます。「葉っぱ」と「土」のにおいに焦点を当て、大きな枠組みで自然をとらえるだけでなく、そのなかにも様々な違いがあることを知ると普段の風景が少しだけ違ってみえるでしょう。

  • 菅原一成

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    諸感覚を使って小川を観察し、流れる水には目に見える以上のものがあることを学びます。目、耳、鼻、舌、皮膚といった感覚器官は、周囲の環境を感知するために必要です。感覚を通して受け取った情報を使って、脳は私たちが何を見、聞き、嗅ぎ、味わい、感じるのかを理解します。川は、人間の持つこのすべての感覚を使える理想的な環境です。岩にぶつかり川岸に打ち寄せる水の音を聞き、肌をなでるそよ風を感じ、草むらで奏でられる虫の音を聴きます。川の周りの空気は湿り気を帯び、花や湿った土、様々な物質のにおいを運びます。川の周りでは色々な形をした手触りの様々な物質を手にとることができます。私たちは、日常の生活の中で視覚だけの情報に頼ることがよくあります。身近な自然の中で、視覚だけでなく、聴覚や嗅覚、触覚といった他の感覚を意識することによって、また新たな発見をすることができます。水教育プログラム「プロジェクトWET」のアクティビティ「小川を感じる(Stream Sense)」より※水難事故防止のためにライフジャケットを着用し、河川では、天候変化やダム放水による増水に充分注意しましょう!

  • 山路歩

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    近所の身近な森の中をゆっくり歩いてみましょう。歩くといっても目的地はありません。その森をゆっくり歩きながら、様々なものを見て、聞いて、感じましょう。森には、その森に住む植物や生き物が育んできた歴史や時間の流れがあります。時にせめぎあいながら、一方では、生活空間や日光を分け合いながら調和をつくっています。その営みに触れ、「なぜその森が今の様子を形成しているのか?」を想像しながら歩きましょう。また、定期的に森歩きをすることで、春・夏・秋・冬と季節ごとに装いを変化させる森の様子を観察しましょう。このHow toでは、視点や目的をもって、森歩きをすることで、ことがら同士の関係をとらえながら、自らの持つ想像力を使う体験をします。

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