「プロジェクトWET」
全世界66以上の国と地域で普及されている国際水教育プログラム。「アクティブ・ラーニング」の要素を持ち、模擬体験や協同学習をベースとして次世代を担う人々へ水の重要性について認識してもらうための体験型ツールです。
水と衛生、水利用、水循環、流域、水防災、文化等、水に関する様々なテーマを扱った200を超える「アクティビティ」は、学校の授業、地域のイベント、出前講座、野外活動等、様々な場面で活用されています。日本では河川財団が事務局となり、全国で約8000人が指導者として登録されています。
プロジェクトWETジャパン ウェブサイト
http://www.kasen.or.jp/wet/
諸感覚を使って小川を観察し、流れる水には目に見える以上のものがあることを学びます。目、耳、鼻、舌、皮膚といった感覚器官は、周囲の環境を感知するために必要です。感覚を通して受け取った情報を使って、脳は私たちが何を見、聞き、嗅ぎ、味わい、感じるのかを理解します。川は、人間の持つこのすべての感覚を使える理想的な環境です。岩にぶつかり川岸に打ち寄せる水の音を聞き、肌をなでるそよ風を感じ、草むらで奏でられる虫の音を聴きます。川の周りの空気は湿り気を帯び、花や湿った土、様々な物質のにおいを運びます。川の周りでは色々な形をした手触りの様々な物質を手にとることができます。私たちは、日常の生活の中で視覚だけの情報に頼ることがよくあります。身近な自然の中で、視覚だけでなく、聴覚や嗅覚、触覚といった他の感覚を意識することによって、また新たな発見をすることができます。水教育プログラム「プロジェクトWET」のアクティビティ「小川を感じる(Stream Sense)」より※水難事故防止のためにライフジャケットを着用し、河川では、天候変化やダム放水による増水に充分注意しましょう!
身近な河川の河原に行きます。
周囲に「危険」等の注意を促す看板がないかどうか、活動場所の情報を確認します。
川に入る必要はありませんが、川岸は滑りやすく、転落することもあるので、川に近づく際はライフジャケットを着用することが必要です。
(プールと違い、川には複雑な流れや深みがあり、予期せぬ事故が発生する可能性があります)
「川の防災情報」などのサイトを活用し、天候や水位の情報を随時確かめるようにします。
安全を確保するための情報に「水辺の安全ハンドブック」などがあります。
川の防災情報
http://www.river.go.jp
水辺の安全ハンドブック
https://www.kasen.or.jp/mizube/tabid129.html
河原にいる間中、常に諸感覚を意識するようにします。
川のそばの静かな場所を探してそこに座り、じっとあたりを見、嗅ぎ、聞き、感じるようにします。
1つ以上の感覚器官を塞ぐと(目を閉じる、耳を塞ぐ、鼻をつまむなど)、残りの器官にはどのような影響がでるか試してみます。
以下の諸感覚による情報を記録します。
視覚:どのような動植物が見られるか、川の様子は場所によって違うか、川の流れはゆっくりか急か。
聴覚:川はどのような音を立てているか、鳥などの声が聞こえるか、風はどのような音か。
嗅覚:河原の臭いは家とくらべてどう違うか、水の臭いは水道の水と同じか。
触覚:川の水はどのような感触か、土の感触は庭や校庭の土の感触と違うか、河原の石はすべすべかゴツゴツか。
諸感覚による情報を文章でノートに記録したり、イメージを絵にしたりして整理します。
音は擬音にして書きとめてもよいでしょう。
なお、嗅覚や触覚で川の水を採取する際には、ロープを連結させたバケツを用いるなど、常に自身の安全を確保することが重要です。
多くの人にとって川のせせらぎを見たり聴いたりすることは心地良いことです。川にはストレスを軽減し、リラックスさせる効果があるとする研究もされています。なぜ川を感じることが心地よいのか、それは諸感覚に影響を与える自然の力なのかもしれません。このアクティビティを通じ、一つ一つの諸感覚を意識することで身近な自然から新たな気づきをもらうことができます。週末、例えば水辺のキャンプやバーベキューに行かれる際、試してみてはいかがでしょうか。