人間の暮らす街を生活の場とする鳥、「都市鳥」。人がつくった環境を積極的に活用する鳥、一度は姿を消したものの再度都市へと進出してきた鳥、都市化によってすみかを追われ細々と生き残っている鳥……。そんな都市鳥のなかには、都市で繁殖するものがいます。その代表がスズメですが、彼らが好んで巣をかけた瓦屋根がなくなったことで、スズメは繁殖の場をなくしたと考えられています。スズメをはじめとする馴染みの鳥たちと今後もご近所付き合いができるかどうかは、食事を採れる場所と子育てできる場所を提供できるかどうかにかかっています。観察しやすい庭木に巣箱を置いて、家賃がわりに鳥たちの不思議を少しだけ覗かせてもらいましょう。
「糒(ほしいい)」とも書かれた乾飯は、炊いたご飯を乾かして保存期間を飛躍的に伸ばしたもの。日本人はふるい時代からこの保存食を活用しており、天平10年(738年)の駿河国正税帳には乾飯を納めた倉のことが「糒倉」として記録されています。第二次世界大戦では日本軍の要請によりアルファ化米(乾飯はこれの一種)の研究が進み、今もアルファ化米は炊飯なしで食べられる白飯として重宝されています。現代の保存食の原点でもある乾飯を自宅の台所でつくってみましょう。
北海道から九州にかけて分布し、日本の古歌にも登場するクズ(葛)。日本人はクズを歌に詠み、根から葛粉を取り、茎からは繊維を取って利用してきました。そのいっぽう、旺盛な繁殖力でクズは厄介な侵略者扱いされることも……。移入先のアメリカでは、侵略的外来種に指定され、防除に大きな予算と手間がかけられてもいます。日本でも生えてほしくない場所で繁茂することもありますが、そんなときはぜひクズを利用してみましょう。きっとクズの見え方が変わるはずです。
“耳に聞こえるメロディは美しい。しかし聞こえないメロディはもっと美しい。”