金子 実
かつて、日本には旧石器時代の文化はないと考えられていました。しかし、在野の考古学者である相澤忠洋が群馬県みどり市の関東ローム層から石器を発見したことでこの定説は覆りました。相澤が石器を発見した岩宿遺跡からは約3万5000年前の後期旧石器時代初頭の石器が出土しています。これらの石器を収蔵する岩宿博物館(2026年秋まで改修で閉館中)では、黒曜石を使った石器作りのワークショップを開いており、その指導に石器作りサークルのメンバーがあたっています。この記事ではガラス質の石から石槍をつくり出す基本の技術を紹介します。
GO!GO!編集部
採集時に資源への配慮が求められることの多い野生食材のなかで、いくら採っても問題なし、むしろ採ったほうがよいと言えそうなのがセイヨウカラシナです。その繁殖力は環境省から「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種」に指定されるほど旺盛。ちょっとやそっと採集した程度ではまるで減りません。そんなに丈夫な野草なのに味は一級品。若葉は漬物、花芽はおひたしで美味です。都市近郊の川の土手などにもよく生えているので採集も簡単です。花芽を楽しむなら2月下旬から3月上旬が適期。春の野に出て若菜を摘んでみましょう。そして初夏に実る種子はマスタードとして利用できます。ポイントは夏まで忘れずに!野生のカラシナの種子から自家製の粒マスタードをつくろうhttps://gogo.wildmind.jp/feed/howto/290
きうちともゆき
「フィールドノート」とはフィールド(野外や社会)で自身が見聞きした事象を書きつけたノートのこと。異文化や社会を研究する人も用いる言葉ですが、自然観察の世界では主に観察した生物の記録を指します。フィールドノートをつけると、いつ・どこで・だれと・何をしたのか、何を見たのかを数十年にわたって残せます。書き残さなければ忘れてしまう事柄をとどめ、ある地域にあった生き物の営みの変遷をあとから俯瞰することもできます。また、見極めて記録をとろうと意識することで動植物を精緻に見る目も養われます。生き物の世界に興味がわいたなら、ぜひ記録を残してみましょう。
宮原 悠
山遊び、自然観察、狩猟、冒険。どんな野外活動であっても、「もう少し遠くの様子を、はっきり確認したい」と感じる場面があります。風景の奥行き、木立の向こうの動き、見慣れない動植物。そうした視覚情報を補ってくれるのが双眼鏡です。双眼鏡は、特別な観察をするための専門道具と思われがちですが、実際には自然遊びそのものの解像度を高めてくれる、ごく実用的な道具です。遠くを見るというよりも、「これまで曖昧だったものが、意味のある情報として見えるようになる」。その変化は、野外での判断や安心感にもつながります。一方で、いざ双眼鏡を選ぼうとすると、倍率や口径、構造、コーティングなどの専門用語が並び、最初の一歩で迷ってしまう人も少なくありません。本稿では性能比較に踏み込みすぎることなく、「野遊びに双眼鏡を持っていく」という行為を無理なく始めるための選び方を整理していきます。
トミザワタクヤ
人は植物や昆虫、獣から糸を取って利用してきました。細く長い1本の糸を、広がりのある布にするのが織りと編みの技術。糸を縦横に組み合わせてはじめて、布として利用できるようになります。織りの技術のなかでも最もシンプルなのが平織りです。経糸と緯糸を交互に織るこの方法で、布の原点を感じてみましょう。布や洋服はすべて、糸の集合体ということを感じられます。
房総竹部
近年各地で問題になっている放置竹林。暗く見通しの利かない竹林は獣たちのすみかとなり、そこから夜な夜な獣たちが田畑へと遠征してくるようになっている。ところがほんの数十年前までは、竹林は生活に必要な資源を生み出す宝の山だった。春にはタケノコが生え、その材はさまざまな生活道具の素材に使われてきた。竹林の価値は今も昔も変わらない。変わったのは私たちの手からそれを活用する技術が失われたこと。もう一度竹を生活に生かす技術を身につけて、地域の竹林に息を吹き込んでみよう。
GO!GO!編集部
日本人なら誰でも一度は拾ったことのあるドングリ。秋の日差しを照り返して光る実はとても魅力的に見えます。もしかしたらドングリに心惹かれるのは、縄文人が食糧にしていたころの記憶が私たちのどこかに残っているからかもしれません。今では食べることの少ないドングリですが、種類を選べばそれほど無理なく料理ができます。近所で拾ったドングリを加工して、先祖たちを養った秋の実りを味わってみましょう。
いぞらど
魚の骨格はバラエティに富んでいて面白いものです。造形そのものの綺麗さカッコ良さはもちろんのこと、じっくり観察するとそれぞれの習性や食性に特化した機能性に気づきます。また、その正反対にまるで説明のつかない不思議さを発見することも……。そんな見れば見るほど興味が尽きない魚の骨格を標本にして残してみましょう。骨格標本の制作にはいくつかの方法がありますが、私が実践するのは魚の形を残したまま、徐肉によって骨格を残す方法です(骨をバラバラにしてあとから組み上げる方法もあります)。手間は少しかかりますが、入門者でも無理なく取り組める方法です。
宮原 悠
キャンプや焚き火のあと、炭箱の底や火床には細かい炭が残ります。現代では灰と一緒に捨ててしまうこの炭クズを使って、昔は「炭団(たどん)」を作ることがありました。炭団は炭を粉にして澱粉糊で固めたもの。火保ちのよい炭団は、囲炉裏や火鉢のなかで翌朝まで火を温存するのに使われました。今のような便利な着火具がない時代には、火を絶やさずつなぐことは重要な生活の技術でした。現代では火をつなぐ必要はなくなりましたが、キャンプや焚き火で出たクズ炭を集めて炭団を作れば、翌日の火起こしがぐっと楽になり、資源を無駄にしない満足感も得られます。
二神慎之介
近年、全国でクマ類による人身被害が増えています。今年8月には知床半島の羅臼岳登山道上でヒグマによる死亡事故も発生しました。クマとの共生を謳ってきた世界自然遺産での壮絶な事故のしらせに、多くの方が背筋の凍るような思いをしたと思います。最近は毎日のようにクマの事故が報じられ、人とクマとの関わり方、軋轢について、否応なく考えさせられる時代になってきました。森に住まう、静かな隣人だったクマたちは今、私たち人間の生活圏に押し寄せてきています。ヒグマとツキノワグマの双方を追い、観察を続けてきた私自身、クマの行動や生息域の変化の早さに戸惑うほどです。普段から自然に遊ぶ人たちはもちろん、町に暮らす人にとっても、クマという動物は遠い自然の中の存在ではなくなってきました。人とクマの接触が増えた現状をどう受け容れていけばいいのか。どのようにクマの存在を私たちの生活の中に受け入れていけばいいのか。自然写真家の目線から今後のクマとのつきあいかたを考えてみました。
神田めぐみ
子どもを授かって出産し、外に連れ出せる時期を待つと、母親は1年以上本格的な運動を休むことになります。なかでも再開の見極めが難しいのが登山。長時間子どもから離れるわけにもいかないし、危ない場所に連れていくわけにもいきません。母親と父親、そして子どもの三者が無理なく登山を楽しむにはどうしたらいいのか……。親子登山初期の「おんぶ登山」の実践方法をご紹介します。
藤原祥弘
夏の気温が40 ℃近くになることも珍しくなくなった昨今。国連の事務総長が「地球沸騰化」という言葉で表現をしたこともうなずけるほど、地球温暖化は加速しています。夏場は屋外での活動を控えるようにうながされることも増えてきましたが、屋外がどこも一様に暑いわけではありません。身近な場所に隠された天然の納涼スポットなら、盛夏でも野外活動を楽しめます。
GO!GO!編集部
「カメラオブスクラ」は現代のカメラの基礎となった道具。小さな穴(ピンホール)から入り込んだ光は上下左右反転した像を穴の反対側にある壁に映します。この現象を利用して、カメラオブスクラは風景などを正確にトレースすることに使われました(カメラオブスクラには撮影の機能はなかったため、当時は映り込む像を手でなぞって描画していました)。ピンホールのかわりに安価なレンズを用い、さらに撮影する機能もつけたのがここで紹介する段ボールカメラです。現代では日常的な行為となった「撮影」の源流を素朴なカメラで体験してみましょう。
GO!GO!編集部
松葉サイダーは昭和の時代から親しまれてきた素朴な炭酸飲料。松葉についている酵母菌で砂糖水を発酵させて微発泡の炭酸水へと仕立てます。必要な素材と道具は砂糖と松葉と保存瓶だけ。太陽の力と時間を使って夏にぴったりな清涼飲料水をつくってみましょう。
宮原 悠
子供のころに植木鉢やプランターで花や野菜を育てたことはあるでしょうか? 序盤はすくすくと育ったのに、そのうちに枯らしてしまった、という経験を誰しももっているのではないでしょうか。土の容量が小さい植木鉢やプランターは、保持できる栄養も小さく乾燥の影響も大きく受けます。プランターで上手に植物を育てるには小まめな水やりと栄養の補給が必要です。しかしこれは、かけた手間が如実に表れる環境とも考えられます。水、光、栄養……の条件が限定されるプランターで植物を育ててみると、植物の成長に必要なものを感覚的に知ることができます。そしてプランターなら、庭を持たない人でも手軽に野菜作りに挑戦できます。収穫をゴールに据えて野菜を育てて、身近なようでまったく知らなかった土の力を感じとってみましょう。