2016.10.2520076 views

秋の河口で「モクズガニ」を釣ろう

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藤原祥弘

エディター/ライター

海で獲れる大型のカニが出まわるまで、川沿いに住む人にとってもっとも身近なカニだったのが「モクズガニ」。モクズガニはイワガニ科に属するカニの一種で、各地で「ツガニ」や「ズガニ」、「ヤマタロウガニ」などの地方名で親しまれてきました。
海で生まれたモクズガニの仔ガニは、川を遡って川全体へと拡がり、数年を川で過ごすと今度は川を下って産卵のために海へ向かいます。モクズガニが海を目指すのは9~11月。秋になって川を下るモクズガニは、流域に暮らす人が楽しみにする秋の味でした。最近は、以前ほど重要な水産物ではなくなりましたが、今もモクズガニは日本の河川に多く住んでいます。
このモクズガニを獲るなら、「カニくくり」がスリリング。細長い竿の先につけたワイヤーで、カニの腕をくくって釣り上げるという漁法です。釣って楽しく、食べて美味しいモクズガニ釣り。ぜひ挑戦してみてください。

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READY
準備するもの
  • 長い竿(4~5m)

    1本

  • コシのある細いワイヤー

    50cm以上

  • ワイヤーを切るハサミ

  • アルミのリング

  • ビニールテープ

  • バケツ

STEP 1

モクズガニを知ろう

モクズガニは中華料理の高級食材として知られる「上海蟹(チュウゴクモクズガニ)」の近縁種でもあり、旬の時期の味では上海蟹に引けをとりません。大きな特徴はその名前の由来ともなった毛に覆われたツメ。このツメを見ればほかの種類のカニと間違うことはありません。秋に川を下って汽水域に集結し、河口や海で産卵します。地域によっては現在も漁業の対象になっていて、遊漁者の採集が禁じられている場合もあります。モクズガニを採集する場合は、地域のルールを調べてから楽しみましょう。

STEP 2

モクズガニ釣りのポイント

モクズガニ釣りのポイントは水のきれいな川の河口。秋に川を降ってきたモクズガニは、海水と真水が混じり合う河口に集結します。本来、モクズガニは夜行性ですが、河口に集ったモクズガニは昼も活発に岩を出入りしているので、岩から出てきたところを「カニくくり」で釣り上げます。目で見ながら行う釣りなので、透明度の低い川では行えません。

STEP 3

カニくくりを作る

カニくくりの構造は簡単、長い竿の先にコシのある細いワイヤーで輪を作るだけです。ホームセンターなどで売られているワイヤーを30cm程度に切り、その先端をアルミのリングでかしめて小さな輪を作ります。そこに残ったワイヤーを通して、直径10cmほどの輪を作ります。この輪を保ったまま、4~5m程度の竿にビニールテープでワイヤーを固定すれば仕掛けが完成。このワイヤーにできた輪をカニのツメに通して引きしぼることでカニを釣り上げます。

STEP 4

カニをくくる

河口を歩いていると、岩陰からモクズガニが這い出てきます。それを見かけたら竿を伸ばし、ワイヤーの輪をカニの目の前にそっと入れましょう。すると怒ったカニがツメを振り上げるので、すかさずツメに輪をくぐらせ、強く引き上げます。するとワイヤーが引きしぼられてカニが釣れ上がります。

STEP 5

カニをつかむ

  • 人差し指と親指で甲羅の両端をつまむ
  • 片側のツメとほかの脚を一気につかむ
  • ツメの上から甲羅をつかむ

モクズガニのいちばんの武器はその大きく強靭なツメ。はさまれるとときには出血するほどのケガをすることも。釣り上げたモクズガニは、ツメの届かない場所をつかんで、バケツなどの入れ物に入れましょう。いちばんオーソドックスなつかみ方は人差し指と親指で甲羅の両端をつまむ方法。これならカニのツメは届きません。ほかにも、片側のツメとそのほかの脚を一気につかむ方法や、ツメの上から甲羅をつかむ方法も。カニの体勢に合わせて使い分けましょう。

STEP 6

カニを食べる

モクズガニはどんな料理でも美味しいカニ。獲れた数が少ないときは味噌汁などの汁物に、たくさん獲れたときは塩茹でか蒸してから酢醤油と和辛子をつけて食べるのがオススメです。一点だけ注意したいのが、モクズガニには肝吸虫という寄生虫がいる場合があること。身にはしっかり火を通し、調理に使った器具はしっかり洗って熱湯消毒しましょう。

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まとめ

食べて美味しく、釣って楽しいカニくくり。決して効率のよい漁法ではありませんが、1匹の獲物を深く楽しむことができます。モクズガニが汽水にとどまっている12月ごろまで楽しむことができますが、時期が深まると卵に栄養が移行するため、カニの味は少しずつ落ちていきます。味の旬は10月~11月上旬。モクズガニを狙うなら、この時期にお出かけください。モクズガニは古くから食べられてきたため、各地で独特の料理が発達しています。検索をかければすぐにたくさんのレシピがみつかるはず。大漁したときには、ぜひいろんな料理を楽しんでみてください。

※野生食材採集のルール
野生食材の採集と喫食には危険と責任が伴います。動物・植物ともに食用種にそっくりな有毒種があります。食用種であっても農薬や化学物質によって汚染されていることもあります。食毒の判定に絶対の自信がない場合は採集物を口にしないでください。地域によっては、紹介した食材の採集や漁法が禁じられていることもあります。楽しむ際は地域のルールを確認してください。また、私有地へ立ち入っての採集は厳禁です。採集が禁じられていない動植物や場所でも、過度の採集は慎みましょう。資源量が少ない場所や食材では「自分で食べる分だけ」であっても、過度の採集になりえます。自然をよく観察し、大きな負荷を与えない採集に努めましょう。

GROW CHART
成長スコアチャート
野性4
4知性
3感性
アクティビティ
食べる
環境
季節
所要時間
~30分
対象年齢
小学校低学年以上
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