人類をちょっとワイルドにする自然体験を集めた、体験メディア「WILD MIND GO! GO!」編集部。
自然の中の体験を通して、普段の自分がちょっとワイルドに変わって行く、そんなステキなアイディアを集め毎週皆さんへお届けしています。
「冷蔵庫に残っているありあわせの食材で作った料理がすごく美味しかった」「いつか使えると思って残してある箱や瓶などがたくさんある」そんな人は「ブリコラージュ」に向いているかもしれません。
今回のテーマである「ブリコラージュ」とは、モノづくりの方法のひとつで【寄せ集めの材料や道具を使って手作りすること】を意味します。その語源は、「ブリコレ bricoler」というフランス語の動詞で、ボールが跳ね返る/犬が迷う/馬が障害物を避けて直線から逸れる、といった「偶然起きてしまった動き」を表す言葉が由来となっています。つまり計画的に準備、設計するのではなく、身のまわりにあるモノを集めて、モノから発想を得ながら新しいモノを生み出す手法なのです。
今回のHowtoでは「ブリコラージュ」の面白さを学びながら、寄せ集めで作るひとつの例として、WILD MIND GO!GO!編集部がブリコラージュした簡単な「ランタン」をご紹介します。モノから広がるアイデアや、偶然性を取り入れることで生まれる迷いや戸惑いを楽しみながら、自分だけのモノづくりをしてみましょう!
「ブリコラージュ」は、フランスの人類学者レヴィ・ストロースが著作『野生の思考』で提示したモノづくりの方法です。レヴィ・ストロースは、何かの断片や、余り物を使って、日常生活に役立つモノをつくることが世界各地で見られることを紹介し、それを「ブリコラージュ」と呼びました。
また、ブリコラージュをする人を「ブリコルール」と言い、使えそうなモノをストックする/モノを解体し、また違うモノへと作り替える/使えなくなったモノをあり合わせで直す人のことを指します。他にも、ひとつのことから別の視点を生み出す人、その場にあるモノや情報だけで危機を脱する人、という場面でも使われます。日常的に目の前のモノやコトから知恵と想像力を働かせる人がブリコルールなのです。
それに対し、計画的に設計して適合する部品を用いることをレヴィ・ストロースは「エンジニア」的なモノづくりと定義し、ブリコラージュとは対照的だと考えられています。私たち現代人は、常にスケジュールを立て、予定通りに活動する「エンジニア」的行動が多いのではないでしょうか。ブリコラージュは、私たちが忘れかけている、自分自身の知恵を絞り出すこと、自分で工夫し想像力を刺激するきっかけを与えてくれる方法なのです。
まずは身近なモノから材料と道具を集めてみましょう。ブリコラージュでは、なにが材料で、なにが道具かを決めるのは自分次第です。道具だと思っていたモノが材料となったり、材料と思っていたモノが道具となることもあります。
私たちが「使わない」と思っても視点を変えてみると、多種多様な使い方が見えてきます。「壊れた」と思っていた製品を分解してみることも、新しい用途を見つける方法のひとつです。また分解することは、モノづくりを学ぶ機会でもあります。モノの成り立ちを知り、新たなブリコラージュの知恵を発見していきましょう!
ブラウン管テレビや冷蔵庫などは取り扱いに注意が必要な部品が使用されているため、分解は禁止されています。家電製品を分解する際は、分解可能な製品かまずは調べてみましょう。
身のまわりのモノの「寄せ集め」ができたら、どんなブリコラージュができそうか、アイデアを出し合ってみましょう!まず、作りたいモノを決めたら、目の前にあるモノにはどんな使い方があるか、どんな部分に使えるか、モノと対話をしてみてください。全く違うモノだけど、「なんとなく似ているな」と“見立て”をすることも有効です。
今回のHowtoでは、ひとつの例として「暗い夜を明るくするモノ」を作ろうと思います。どうやって明るくするのか?身近な素材で、燃料になりそうなモノは何だろう?例えば、毎日使っているサラダ油は燃料となるでしょうか。また、サラダ油を燃料としたとき、灯りとして使うにはどんな使い方があるのか、などアイデアを出していきます。
ひとつひとつ、作り方も、材料の使い方も手探りで見つけていきましょう。いつも見ているモノをあらゆる角度から見直しながら、どうしたら「暗い夜を明るくするモノ」ができそうか考えてみてください。
WILD MIND GO!GO!編集部では、身近にあったモノのなかで、暗い夜を明るくできる「ランタン」を作ってみました。今回はブリコラージュ体験記として、編集部がつくった簡易ランタンを紹介します。
使用した材料は、空き瓶、ティッシュペーパー、アルミホイル、サラダ油、爪楊枝と、マッチまたは点火棒(通称チャッカマン)です。瓶がランタンのガラス部分(グローブ)となりますので、10cm程度の高さがあるものがオススメです。また、道具としてハサミなどもあるとよいでしょう。
まず、ランタンにはなんと言っても灯りが必要です。今回は着火する部分の「芯」を燃えやすいティッシュでつくることにしました。
芯はそんなに大きくなくてよいので、1枚にはがしたティッシュを細長く4つ折にして6等分に切ります。そのうちの1つを筒状に丸めて芯をつくります。火をつける直前、芯に燃料となるサラダ油を染み込ませることで、ランタンの灯りとなります。
次に、芯を支え、瓶と繋ぐ部分が必要です。そこで着火しても問題なく、また変形自由なアルミホイルを使うことにしました。アルミホイルを約3cm程引き出し、長辺を2つに折り、次に短編を半分に折ります。折った箇所から1cm弱離れた部分に爪楊枝で穴を開けます。
開けた穴に芯を差し込みしっかり押さえます。その後、芯をいれた反対側を90度に折り、瓶に引っ掛けるためのフック部分とします。
最後に火を灯しますが、その前に瓶に少し水を張りましょう。その後、芯に燃料となるサラダ油をしみ込ませ、ビンの縁にアルミホイルを掛けます。そして火をつけたら出来上がり!燃焼時間は約5分程度となります。
ここで気をつけることは大きく2つです。まず、火をつけるとき、マッチを使うと火傷する恐れがあるので十分に気をつけましょう。深い瓶を使うときは点火棒がオススメです。もうひとつは、最初火が大きく燃え上がる可能性があるので、周りに可燃物を置かないようにしましょう。最後に火を消すときは蓋を閉めてください。
今回、ブリコラージュとしてランタンを作ってみた人は、自分なりのアレンジを加えてみるのもいいかもしれません。たとえば、瓶の周りに切り抜いた紙を貼れば、陰影が美しい影絵となったり…自分なりの工夫をしてましょう!
火を扱うときは、換気ができる空間で行いましょう
今回はランタンづくりを紹介しましたが、ランタン以外でも身近なモノからブリコラージュをしてみましょう!完成品は写真にとって『やった!レポ』に投稿しよう。苦労したことや工夫したことがあれば、ぜひコメントに記載してみてください。
「ブリコラージュ」は、WILD MIND GO! GO!の「生き物としての力を取り戻すための自然体験」というコンセプトにとても親和性が高い手法だと考えています。
寄せ集めたモノのひとつひとつに在る用途や意味を感じ、モノから得た知恵で新しいモノづくりをすることは、自然を感じ、自然から知恵を得て、未知なる冒険をすることと似ているからです。モノづくりの冒険では、生き物としての力を取り戻すだけでなく、モノの価値を組み替えて全く新しいモノが生まれたり、役目が終わっていたモノにまた役目を与えるなど、モノの力を取り戻すこともできます。
そんなブリコラージュを習慣とすることは、日々囲まれている「モノ」への見え方を変えてくれるでしょう。これから新しいモノが欲しくなったとき、今まで使っていたモノが壊れてしまったときなどには、ぜひ「ブリコラージュ」をして生き物としての力、モノの力を取り戻す体験をしてみてください!