GO!GO!編集部
近年の国際情勢の不安定化は、日本が海外からのさまざまな物資に支えられていることを浮き彫りにしました。石油、レアアース、肥料、食糧……。現代の暮らしは、国際的な協調なしには営めません。しかし、鎖国の時代にも日本人は生活を営み、生きながらえてきました。その気になれば、日本の国土にあるものだけでも生活は成り立つはずです。もちろん、当時よりも日本の人口は格段に増え、自然界の生産力は衰えています。そのかわり、科学が発達しました。進んだ化学と知識を駆使して自然界の生産力を生かしながら生活をつくると、それはいったいどんな暮らしになるでしょうか。ライフラインが途絶したときに個人では何ができるのでしょうか。WILD MIND GO!GO!の過去の記事からそのエッセンスを集めてみましょう。
のん
春の七草のひとつに数えられるハコベ(はこべら)は、もっとも身近な食べられる野草。庭や家の近所に生えているのを知っている人も多いでしょう。人だけでなく、飼い鳥やウサギにも喜ばれる食べやすい野草ですが、消炎効果の高い生薬「繁縷(はんろう)」としても知られ、江戸時代には歯磨き粉の素材に使われていました。そんな素朴な歯磨き粉を再現してみましょう。
斎藤 徹
最近、街で見かける自転車にスポーツ車が増えました。今や高校生も当たり前にロードバイクやクロスバイクに乗っています。もしもあなたがそんな少年なら、自分の自転車のフレームをよく見てみましょう。きっとそこにはなんのパーツも付いていないネジ穴があるはずです。その正体は「ダボ」。キャリアなどを取り付けるためのネジ穴です。かつての自転車少年たちはキャリアに生活の道具をくくりつけて日本一周や海外へと旅立っていきました。移動時のエネルギー効率において、生身の人間はほかの生物やエンジンを使う乗り物と比べてそれほど優位ではありません。しかし、ひとたび自転車にまたがると他を大きく引き離すほど効率が高まります。自転車は人間が発明した乗り物のなかで最もエネルギー効率が高い道具だと言われています。あなたのもっているスポーツ車も数百km、数千kmを走り抜ける性能を秘めています。自転車のメンテナンスとカスタムの技術を覚えて、自転車で旅に出てみましょう。
GO!GO!編集部
料理に欠かせない香辛料の多くは海外が原産国。それらの多くは輸入によって供給されています。そんなスパイスのなかでも、日本の山野に自生し、手軽に採集できるのがサンショウです。香り高いサンショウの収穫の適期は春から初夏。葉が瑞々しい今の時期にサンショウから自家製調味料をつくってみましょう。
GO!GO!編集部
採集時に資源への配慮が求められることの多い野生食材のなかで、いくら採っても問題なし、むしろ採ったほうがよいと言えそうなのがセイヨウカラシナです。その繁殖力は環境省から「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種」に指定されるほど旺盛。ちょっとやそっと採集した程度ではまるで減りません。そんなに丈夫な野草なのに味は一級品。若葉は漬物、花芽はおひたしで美味です。都市近郊の川の土手などにもよく生えているので採集も簡単です。花芽を楽しむなら2月下旬から3月上旬が適期。春の野に出て若菜を摘んでみましょう。そして初夏に実る種子はマスタードとして利用できます。ポイントは夏まで忘れずに!野生のカラシナの種子から自家製の粒マスタードをつくろうhttps://gogo.wildmind.jp/feed/howto/290
GO!GO!編集部
日本人なら誰でも一度は拾ったことのあるドングリ。秋の日差しを照り返して光る実はとても魅力的に見えます。もしかしたらドングリに心惹かれるのは、縄文人が食糧にしていたころの記憶が私たちのどこかに残っているからかもしれません。今では食べることの少ないドングリですが、種類を選べばそれほど無理なく料理ができます。近所で拾ったドングリを加工して、先祖たちを養った秋の実りを味わってみましょう。
GO!GO!編集部
松葉サイダーは昭和の時代から親しまれてきた素朴な炭酸飲料。松葉についている酵母菌で砂糖水を発酵させて微発泡の炭酸水へと仕立てます。必要な素材と道具は砂糖と松葉と保存瓶だけ。太陽の力と時間を使って夏にぴったりな清涼飲料水をつくってみましょう。
宮原 悠
子供のころに植木鉢やプランターで花や野菜を育てたことはあるでしょうか? 序盤はすくすくと育ったのに、そのうちに枯らしてしまった、という経験を誰しももっているのではないでしょうか。土の容量が小さい植木鉢やプランターは、保持できる栄養も小さく乾燥の影響も大きく受けます。プランターで上手に植物を育てるには小まめな水やりと栄養の補給が必要です。しかしこれは、かけた手間が如実に表れる環境とも考えられます。水、光、栄養……の条件が限定されるプランターで植物を育ててみると、植物の成長に必要なものを感覚的に知ることができます。そしてプランターなら、庭を持たない人でも手軽に野菜作りに挑戦できます。収穫をゴールに据えて野菜を育てて、身近なようでまったく知らなかった土の力を感じとってみましょう。
千松信也
野生動物たちは人間たちの環境の改変に振り回され、その生息数を減らしたり、絶滅の憂き目にあったりしてきました。ところが、近年の森林の放置にうまく適用してその生息数を劇的に回復してきている動物たちもいます。その代表がシカとイノシシです。その生息数の増加に伴い、農林業被害なども問題視されるようになり、森林生態系への被害も報告されています。「害獣」などと呼ばれ、悪者扱いされがちなシカやイノシシですが、狩猟という観点から見ると、おいしいお肉を提供してくれる「ありがたい獲物」になります。 今回紹介するのはわな猟についてです。以前は日本で狩猟というと銃猟が一般的でしたが、近年はわな猟の人口も増えてきています。獲物の増加を背景に、狩猟を職業にする人も出始めていますが、僕が実践しているのはあくまでも生活の一部としての狩猟です。家族や友人たちと分け合って食べる肉を1年分確保するために、1シーズン10頭程度の獲物を捕る暮らしを25年ほど続けています。
玉置標本
春になると毎年おいしいタケノコが出回りますが、一般的によく食べられている孟宗竹(モウソウチク)のタケノコは、地中からほんの少し頭を出したくらいが収穫のタイミング。竹は成長が早い植物のため、すぐ食用に不向きなサイズとなってしまいますが、そんな育ちすぎたタケノコだからこその活用法があるのです。それはラーメンのトッピングでお馴染みの『メンマ』にすること!もともとの産地である中国や台湾では採算面の低さから生産が敬遠され、世界的に不足しているとも言われているメンマ。自作をしてみると敬遠したくなる気持ちもわかるくらいに手間と時間が掛かりますが、わざわざ作るに値するだけの味わいが楽しめますよ。
わたなべあきひこ
八ヶ岳山麓の標高750mの山里で自給的な暮らしをしています。この標高だとサトウキビは栽培できません。カエデの樹液からメイプルシロップはつくれますが1シーズンかけてつくったメイプルシロップはパンケーキ3回でなくなってしまいます。その点、蜂蜜は優秀です。ここ虫草農園で育てているのは、ニホンミツバチという在来種。セイヨウミツバチに比べると採蜜量は5分の1程度とかなり少ないのですが、それでもひとつの巣から1シーズンで2000cc以上の蜂蜜が採れたりします。さらにミツバチたちは別の幸運をももたらしてくれました。ハチを飼い始めてから畑の作物、特に実モノの出来がよくなったのです。虫草農園は無農薬、無化学肥料、放任に近いいい加減な栽培方法なのですが、それにもかかわらず、アンズはジャムを販売できるくらいにたくさん採れるし、桃も1本の木で200近い袋をかけています。さらには、野菜などのタネを自家採種する上でもミツバチはありがたい存在。優良なタネがたくさん採れます。ミツバチは健気で可愛くて観ているだけでも癒やされるのですが、ミツバチを飼うことでハチたちは、われわれヒトと自然との間でいまどんなことが起きているのかを教えてくれます。
GO!GO!編集部
「糒(ほしいい)」とも書かれた乾飯は、炊いたご飯を乾かして保存期間を飛躍的に伸ばしたもの。日本人はふるい時代からこの保存食を活用しており、天平10年(738年)の駿河国正税帳には乾飯を納めた倉のことが「糒倉」として記録されています。第二次世界大戦では日本軍の要請によりアルファ化米(乾飯はこれの一種)の研究が進み、今もアルファ化米は炊飯なしで食べられる白飯として重宝されています。現代の保存食の原点でもある乾飯を自宅の台所でつくってみましょう。
のん
北海道から九州にかけて分布し、日本の古歌にも登場するクズ(葛)。日本人はクズを歌に詠み、根から葛粉を取り、茎からは繊維を取って利用してきました。そのいっぽう、旺盛な繁殖力でクズは厄介な侵略者扱いされることも……。移入先のアメリカでは、侵略的外来種に指定され、防除に大きな予算と手間がかけられてもいます。日本でも生えてほしくない場所で繁茂することもありますが、そんなときはぜひクズを利用してみましょう。きっとクズの見え方が変わるはずです。
尾園 暁
木々が葉を落とし、生命感も薄い冬。暖かい季節には虫たちで賑わった野山も、動くものは少なく静まりかえっています。しかし、冬枯れの風景のなかでも虫たちはちゃんと命を繋いでいます。冬の野山に出かけて、この季節だからこそ目にできる虫たちの営みをのぞいてみましょう。
宮原 悠
人間が生きる上で欠かせない食事。私たちは毎日、何かしらの食事を取っています。野菜、魚、肉etc……。これらは元をたどればすべて生き物です。人間の豊かな食生活はこうした生き物とそれらを育む自然に支えられています。もちろん、このことは誰もが知識として知ってはいるでしょう。しかし、毎日の食事のたびに生き物や命に感謝して食事をする、という人は少ないのではないでしょうか。美味しかった、いまひとつだった、といった感想を抱くことはあっても、口にした食材が元はどういう形のどういう生き物だったのか、自分の口に入るまでにどんなプロセスを経たのかを想像することはあまりありません。それは私たち現代人が「食べる」という行為において、重要な手順を代行してもらっているからかもしれません。自分の手で生き物を食物へ加工すると、食や自然を見る目がきっと変わるはずです。※記事内にはニワトリを絞めて解体する写真や表現が出てきます。