人類をちょっとワイルドにする自然体験を集めた、体験メディア「WILD MIND GO! GO!」編集部。
自然の中の体験を通して、普段の自分がちょっとワイルドに変わって行く、そんなステキなアイディアを集め毎週皆さんへお届けしています。
小学校高学年のときに顕微鏡でタマネギの皮や野菜の切片をのぞいた覚えのある人は多いのではないでしょうか。顕微鏡を使った授業は小学生にはちょっと高度にも思えますが、そこには科学の発展を担う卵たちを育てる意図があったのかもしれません。しかし、多くの人の顕微鏡体験が小学校で触れたきり、というのもまた事実。高価な顕微鏡はよほどの興味がなければなかなか個人では買いません。ところが近年、手軽に微小な物を観察できるハンディ顕微鏡が登場して事情がかわりました。倍率が100倍前後のハンディ顕微鏡の価格は2000~3000円ほどとだいぶ気軽に入手できるようになりました。このハンディ顕微鏡を使って小さな生き物の世界をのぞいてみましょう。
ハンディ顕微鏡
1機
観賞魚用ネット
1本
蓋つきケース
1個
スポイト
1本
ピンセット
1本
スライドグラス
必要量
カバーグラス
必要量
ビニールテープ
1巻
スマートフォン
1機
図鑑
数冊

観察のために必要な道具はそれほど多くありません。絶対に必要なのはハンディ顕微鏡と写真を記録するためのスマホ、スライドグラスとスポイトです。それ以外のものはなくても工夫次第で代用可能ですが、上の写真と準備物一覧で紹介したものがあると、観察と撮影がスムーズになります。どれも100円ショップとネット通販で簡単に入手することができます。





ネット通販の検索窓で「小型 顕微鏡」などの語句で調べると、簡単に複数のハンディ顕微鏡が提案されます。倍率はさまざまですが、ハンディ顕微鏡を使った観察はアナログな作業が多い(手を使った細かい調整が必要になる)ので、あまり高倍率なものよりは100倍前後のもののほうが扱いやすいでしょう。観察方法がスライドグラスを使う手法に限られるなら、対物レンズ側にスライドグラスを挿入するためのスリットがあるタイプが使いやすく(スリットがあると対物レンズとスライドグラスの距離が常に同じになるのでピントを合わせやすい)、岩石や植物、生物の表面なども見たい場合は、スリットなしのモデルのほうが汎用性が高くなります。観察だけでなく、写真も撮るつもりなら、最初から標準でスマホを固定するホルダーを備えているものがおすすめです。撮影を簡単に行えます。



微生物はどんな場所にもいます……が、観察しやすいのは浅い水たまりにいる大きめのプランクトンです。大きめといっても、そのサイズは1mmにも満たないことがほとんど。できるだけ豊かで、いろんな生き物がいる水辺を探しましょう。採集にピッタリのポイントは、田んぼの脇に残る浅い水たまりや、河川敷の長い間水が溜まった湿地など。ふわふわした藻類の間をごくごく小さい生物が動いているような場所で、泥をすくわないように注意して、ネットで漉し取りましょう。ネットのなかに残ったものは水ごとケースに入れて持ち帰ります。注意したいのが採集のマナー。田んぼなどの私有地に声かけもなしに立ち入るのはマナー違反。採集の際は必ず持ち主に声をかけましょう。


自宅に戻ったら、ケースのなかからプランクトンを選り分けます。ケースを電灯にかざして目をこらすと、細長い筋状のものや黒い粒のようなものが意思をもって浮遊しているのが見えるはずです。それを見つけたら近くにスポイトを差し入れてヒュッとひと吸い。それを一度白い小皿に出してから狙いを定めて少量の水と一緒にチュッと吸い上げると狙ったプランクトンを選り分けられます。この方法で採れるのは淡水のプランクトンとしてはかなり大きめの部類の生物になります。




観察するにはプレパラートをつくる必要があります。プレパラートとはスライドグラスに試料を載せ、それをカバーグラスで覆ったもの。薄いシート状のものであれば、スライドグラスに試料を載せ、水を一滴さしてカバーグラスで覆えばよいのですが、プランクトンのように厚みがあるものは直にカバーグラスを載せるとその重みでつぶれてしまいます。カバーグラスを載せても試料がつぶれないように、あらかじめくぼみがつくってあるスライドグラスもありますが、ビニールテープをロの字型に切り抜いてスペーサーにすれば、ふつうのスライドグラスでも試料をつぶさずに観察できます。
テープを四角く切り抜いてスライドグラスに貼ったら、プランクトン入りの水を一滴枠の中に落とします。余計な水をティッシュ等で吸ってからカバーグラスを載せればプレパラートの完成です。観察の対象によっては、カバーグラスをかけないほうが観察しやすいことも。何度かのぞいて試料に合った観察方法を見つけ出してください。



肉眼でのぞいてから撮影してもよいですが、最初から記録をとるつもりならスマホを接続した状態で観察する方法をおすすめします。というのも、顕微鏡の視野は数mmにも満たないので、ちょっとずれるだけで簡単に試料が視界の外に出てしまいます。肉眼で見つけてからカメラを接続すると、その作業中にずれて試料を見失ってしまうのです。顕微鏡に接続したスマホは自重で簡単に外れてしまうので、上の写真のように本を何冊か重ねて台にするとよいでしょう。プレパラートの下には白い紙を敷いて背景にすると視野が白く整理されて観察しやすくなります。
さて、顕微鏡とスマホがセットできたらいよいよ観察です。顕微鏡の下のプレパラートをずらしながら試料を視野にとらえましょう。きっとなかなか見つからないはずです。その理由は顕微鏡の視野の上下左右が反転しているから。視野の右端にある試料を真ん中にとらえたいときは、右側ではなく左側にずらさなくてはいけません。慣れるまではちょっと難しいかもしれません。試料をなかなか中心にとらえられないときは、下に敷く紙を利用します。試料を紙の角の上にくるように置くと、背景との位置関係から試料を見つけやすくなります。白い紙に十字などの線を引いてもよいでしょう。
試料を視野にとらえたら、ピント調整リングを回してピントを合わせ、スマホで写真を撮りましょう。





そもそもプランクトンが何かというと、遊泳能力がなかったり、低かったりして、自力では水流に抗って移動できない、漂って生活する生き物のことを指します。プランクトンと聞くと小さなものをイメージしますが、漂って生活するもののことを指すので、浮遊生活を送る甲殻類の幼生やクラゲなどもプランクトンに含まれます。
倍率100倍程度のハンディ顕微鏡で見られるのは0.3mm~1mm程度のプランクトンたち。まず、動いているのを目で探してからスライドグラスに載せるので、ほとんどがミジンコ類などの動物性プランクトンになるでしょう。「謎のプランクトン!」と思って観察してみると全長1mmにも満たない小さな昆虫であることがほとんど。なかなか「いかにもプランクトン」といった感じの生き物は見つかりません。
植物性のプランクトンをハンディ顕微鏡で見るのはさらに至難の業。緑色の濃い水をたたえた池の水をネットで濾し取って観察すると、ミカヅキモなどの比較的大きな植物性プランクトンを見つけられるかもしれません。
種類の識別に役立つのが図鑑です。図鑑の写真と絵合わせしたり大きさを調べたりして、見つけたプランクトンの正体にせまりましょう。
体験したら、写真をとって『やった!レポ』に投稿しましょう!苦労したことや工夫したこと、感想などあれば、ぜひコメントにも記載してください。
道具の進歩によって、微小な生物の観察が驚くほど簡単に行えるようになりました。スマホと図鑑をのぞけば、今回の観察に使った道具代は3000円ほど。ひと昔前までは想像もできなかった手軽さです。もう少し本格的に観察したい場合は、1万円程度でそこそこ使える顕微鏡が手に入ります。顕微鏡は肉眼では観察できない世界を精緻にみせてくれるのぞき窓。身近な景色のなかに、意識しない別の世界が広がっていることを教えてくれます。