ホールアース自然学校理事。富士山麓をガイドして15年。田貫湖畔に環境省が設置した自然学校第1号「田貫湖ふれあい自然塾」のチーフインタープリターとして、身近な野生生物の生き様や人とのつながりを伝えることなどを通じて、自然と人とをつなぎ、身近な自然の見方を変えるきっかけ作りをしている。
その他、様々な企業・行政と自然を知る、伝える人になる、自然を守る・活用するなどの企画・実施に忙し楽しい毎日。
ホタルは世界で約2000種類、日本国内では約50種類いると言われています。実は、そのすべてが光るわけではなく、幼虫時代を水辺で過ごすのも多くはありません。
そんな中、日本ではゲンジとヘイケの2種類のホタルが、水辺の暗闇に明かりを灯します。今回は、世界的にも珍しい、水辺で光を放つ不思議な虫『ゲンジボタル』の生き方を中心に、ホタルの魅力に触れる方法をご紹介します。
写真撮影:三森典彰氏(表紙/STEP3/STEP4)
ホタルが現れるのは夜。幼虫時代を清流で過ごすホタルは、水辺で光を放ちます。足元をライトで照らし安全を確保しながら歩きましょう。
ホタルが出やすいのは、蒸し暑く、くもりで風がない夜。雨や風がある日や、冷え込んでいる日はあまり飛びません。
夜の間、休んでは飛ぶのを繰り返します。ピークは夜20時、23時、午前1時の3回ですが、見るには夜19時半~21時の間がオススメです。
*注意
・大声を出したり、勝手に田んぼや畑に入るのは止めましょう
・地元の迷惑にならないよう気をつけましょう
・暗闇ではぐれないよう、子どもは大人と一緒に行動しましょう
ホタルが見られる場所はたいてい有名になっていますが、知られていないきれいな水辺を夜訪れてみるのも冒険。そこで飛んでいる光を見つけられたら、とてもうれしいですよね。
ホタルが飛んでいるのを見つけたら、なるべく光の近くに鑑賞する場所を決めて、ライトを消しましょう。暗闇の中で待っていると、数秒おきに光るホタルたちを見ることができます。飛びながら強く光っているのがオス、草むらなどに止まって弱く光っているのがメスです。
近づいて来たら、そっと手の中に入れてみてください。ホタルの光は熱くないから大丈夫(笑)。小さな命が精一杯生きているのが伝わるでしょう。
*注意
・ホタルを手で触る時は、やさしくそっと触れてください
・小さな生き物にとって、人間の力は予想以上の大きさです
ホタルは強い光を嫌うので、車のヘッドライトやフラッシュ撮影は禁物です。
ホタルの光、それは相手と出逢うためのサイン。光るラブレターを届けようと一生懸命な証です。
ホタルにライトを少しだけ当てて観察してみると、おしりの光る部分が白い筋になっているのがわかります。2本の筋があるのがオス、1本の筋があるのがメス。だからオスとメスの光の強さが違うのですね。
観察させてもらったホタルは、つまり相手さがしの真っ最中。そっと逃がしてあげましょう。
*注意
・ホタルは必ず放して、そして相手が見つかることを祈りましょう
・持ち帰っては、その場所のホタルがいなくなってしまいます
体に比べると大きなホタルの目。相手の光を見つけるのに役立っています。
ホタルが卵から成虫になるまでは実は長い道のり。500個ほど産まれる卵から大人になれるのは、ほんのわずかです。
湿ったコケに産み落とされたホタルの卵は、幼虫になると水中でカワニナなどの貝類を食べて育ちます。岸辺の土の中でサナギになって、いよいよ地上へ上陸します。しかし大きくなる途中で、多くのホタルが外敵にやられて命を落とします。つまり、いま目の前で光っている大人になれたホタルは奇跡なのです!
ホタルは成虫の時だけでなく、卵の時も、幼虫の時も、サナギの時も実は光を出しています。それは食べてもおいしくないことを知らせるサインです。
ホタルの成虫は約1週間しか生きられません。その間は水しか飲まず、昼間は草むらで休んで力を蓄え、夜になるとオスは光りながら飛び、メスは少し光りながらオスを待ちます。すべては、子どもたちが生まれ、来年またこうして夜の闇を光で彩るため。一週間という限られた時間のなか相手を見つけようと、オスもメスも必死に生きているのです。
暗闇に灯る光のラブレター。夜に育まれるホタルの愛を確かめに、あなたも出かけてみませんか?
*注意
・川が汚れてしまうとホタルは住めなくなります。ゴミはきちんと持ち帰ろう!
ホタルウォッチングした写真を『やった!レポ』に投稿して、みんなと体験をシェアしませんか?質問や感想はコメントに記入してください。
ホタルが住んでいるということ。それは、水がきれいなだけでなく、護岸されずにサナギになる土のある岸辺で、昼間休む草むらがあり、光を邪魔する街灯などがない場所。つまり、ホタルがいるということは自然が豊かな証です。
年によって、いつ、どのぐらいホタルが出るのかは違ったり、関東と関西で点滅の周期が違ったり。地域や年ごとに楽しみもさまざま。ホタルウォッチングをしたら、ぜひその様子をレポートしてくださいね!