「僕が一番活きる活動の場ってどこなんだ?」という自身への問いに、都会っ子でありながら自然環境の保全や再生のプロを目指した自分が一番説得力を持つのは、都会の自然環境の保全・再生とそれらを活かした都会の人向けの環境教育や体験学習だ!と思い立つ。現在は(株)BiotopGuildの代表として、“ビオトープ”という概念を用いながら、主に都市部の自然環境にまつわる仕事に従事。自然に興味がない人にも日常の中で楽しみながら自然や生きものに目を向けてもらえる仕掛けづくりをモットーとしている。
5月頃、入梅の前くらいから開花とともにその存在感を増すドクダミ。身近にありふれた野草で、抜いても抜いても生えてくる庭の管理上の厄介者だったり、その独特な香りで嫌われ者になることの多いドクダミですが、「十薬」という別名を持つ優秀な薬草でもあります。抗菌、殺菌、消炎、鎮痛(痒)、美肌などなど……その名に恥じない薬効を持っています。
そんなドクダミで、薬草をアルコールに漬けてその香りや薬効成分などを抽出する「ハーブティンクチャー(ハーブチンキ)」を作り、 化粧水や虫除け、虫刺され、料理など、 日々の生活やアウトドアライフに活かしてみませんか?
このHow toでは、ハーブティンクチャーの作り方と、おすすめの活用方法を紹介します。普段は厄介者に見えている野草も、そのパワーを知って生活に取り入れることで、新しい発見につながるはずです!
ドクダミ(用意した瓶に詰められる量)
ガラス瓶(プラスチックだとアルコールに弱い場合あり)
ホワイトリカー(35度もしくは35%と表記されたもの)
または、ウォッカ、消毒用エタノール等(メタノールは不可)
コーヒードリッパー
コーヒー用 ペーパーフィルター(または手ぬぐい等)
まずは、材料となるドクダミを探します。ドクダミは、ドクダミ科ドクダミ属の多年草(冬になっても地上部が枯れるだけで何年も生きる草)で、薄暗い場所や湿気た場所であれば、都会でも道端や公園の植え込みの脇、お庭にも生えてきます。
名前の由来が、「毒を貯めるのではなく、毒を矯める(矯正する)」や、「毒にも痛みにも(どくいたみ)効く」と言われるほど、古くから薬草として知られています。十薬という別名からも、いくつもの利用方法、効果がある植物であることが伺い知れます。まずは、ドクダミが好みそうな薄暗くて湿った場所、植え込みの下や隙間を探してみましょう。それらの場所にハート形で、葉の縁や付け根、茎などが少し赤みがかった草を見つけたら、葉を少しだけちぎって揉んでみます。独特な香りがすれば、それがドクダミです。
ドクダミの学名(国際的に使われる生物の名称)である「Houttuynia cordata」のcordata(コルダータ)は「心臓の形をした」という意味のラテン語ですから、まさにハート形の葉が大きな特徴と言えるでしょう。また、春から初夏にかけての花の時期には、通常4枚の花弁に見える白い総苞(そうほう)と、立ち上がった黄色い花を目印に探すのも良いでしょう。
※なるべく犬の散歩道から外れた場所や、少し高い植え込みに生えたきれいなドクダミを探すと良いでしょう。
※植物の採取が禁止されている場所や、私有地に立ち入っての採取は行わないようにしましょう。
ドクダミを見つけたら、摘んでみましょう。ドクダミの薬効成分は、「全草」つまり葉から根、花まで、すべての部位にあります。そのため、どこを採取してもティンクチャーに用いることができます。しかし、掘るのも泥を落とすのも大変ですので、葉や茎、花を刈り取ったり、茎から摘み取って採集しましょう。また、採取するドクダミは、準備しているガラス瓶に入る、必要な分だけにしましょう。
摘み取ったドクダミは、そのままにしておくと萎れたり乾燥してしまいます。すぐに処理できない場合は、濡らしたティッシュペーパーやキッチンペーパーなどを入れたジップ付きビニールなどに入れておきましょう。
ドクダミの持つ成分のうち、特に「デカノイルアセトアルデヒド」という抗菌作用を持つ成分などは、揮発性があり、乾燥するとその薬効が消失してしまいますので、乾燥させないように注意しましょう。
採取したドクダミは、まず水でざっと洗います。あまりゴシゴシと洗う必要はありません。葉や茎などの表面についた砂ぼこりやゴミを取るように、水につけてやさしく洗います。
その後、タオルやキッチンペーパーなどで水気を拭き取ります。ドクダミに水気が残っていると、このあとアルコールに漬けたときに度数が下がり、保存性が落ちる可能性があるので、水気はしっかりふき取るようにしましょう。
身近な植物のパワーを、生活に活用することのできるティンクチャー作り、いかがでしたか?ティンクチャー作りを通して、自然を再発見することにつながり、日常が豊かになる一助になったら嬉しいです。もしかしたらその植物に集まる他の生きものにまで興味が広がり、その生きものがまた別の興味や面白さを連れてきてくれるかもしれません。そして、その面白さを周りに発信することで仲間を増やしていければ、日本の自然は今よりもっと豊かで素敵な毎日を私たちに与えてくれるようになるかもしれません。
※本記事は、全て学習目的です。文中にある「効く」「効果が出る」という類の言い回しは、個人の感想であり、その効果を保障するものではありません。また、治療法的なものとしておすすめするものではありません。
※肌に直接塗布する際には、全て個人の責任のもと行って下さい。使用する事によって生じた問題についても、一切責任を負えません。
※野草の見分け違いによる事故にはくれぐれもご注意下さい。毒草などが生えている場合もあります。初めは野草に詳しい方などを同伴して採取にいきましょう。