2018.08.0324147 views

ドクダミの薬効成分を抽出して、ハーブティンクチャーを作ろう!

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三森 典彰

(株)BiotopGuild代表取締役/Forestthree代表/東京環境工科専門学校非常勤講師
身近な野草の能力に触れ、自然を再発見しよう

5月頃、入梅の前くらいから開花とともにその存在感を増すドクダミ。身近にありふれた野草で、抜いても抜いても生えてくる庭の管理上の厄介者だったり、その独特な香りで嫌われ者になることの多いドクダミですが、「十薬」という別名を持つ優秀な薬草でもあります。抗菌、殺菌、消炎、鎮痛(痒)、美肌などなど……その名に恥じない薬効を持っています。
そんなドクダミで、薬草をアルコールに漬けてその香りや薬効成分などを抽出する「ハーブティンクチャー(ハーブチンキ)」を作り、 化粧水や虫除け、虫刺され、料理など、 日々の生活やアウトドアライフに活かしてみませんか?
このHow toでは、ハーブティンクチャーの作り方と、おすすめの活用方法を紹介します。普段は厄介者に見えている野草も、そのパワーを知って生活に取り入れることで、新しい発見につながるはずです!

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READY
準備するもの
  • ドクダミ(用意した瓶に詰められる量)

  • ガラス瓶(プラスチックだとアルコールに弱い場合あり)

  • ホワイトリカー(35度もしくは35%と表記されたもの)

  • または、ウォッカ、消毒用エタノール等(メタノールは不可)

  • コーヒードリッパー

  • コーヒー用 ペーパーフィルター(または手ぬぐい等)

STEP 1

身の回りでドクダミを探そう

  • 道端に生えるドクダミ
  • ハート型の葉が特徴

まずは、材料となるドクダミを探します。ドクダミは、ドクダミ科ドクダミ属の多年草(冬になっても地上部が枯れるだけで何年も生きる草)で、薄暗い場所や湿気た場所であれば、都会でも道端や公園の植え込みの脇、お庭にも生えてきます。
名前の由来が、「毒を貯めるのではなく、毒を矯める(矯正する)」や、「毒にも痛みにも(どくいたみ)効く」と言われるほど、古くから薬草として知られています。十薬という別名からも、いくつもの利用方法、効果がある植物であることが伺い知れます。まずは、ドクダミが好みそうな薄暗くて湿った場所、植え込みの下や隙間を探してみましょう。それらの場所にハート形で、葉の縁や付け根、茎などが少し赤みがかった草を見つけたら、葉を少しだけちぎって揉んでみます。独特な香りがすれば、それがドクダミです。
ドクダミの学名(国際的に使われる生物の名称)である「Houttuynia cordata」のcordata(コルダータ)は「心臓の形をした」という意味のラテン語ですから、まさにハート形の葉が大きな特徴と言えるでしょう。また、春から初夏にかけての花の時期には、通常4枚の花弁に見える白い総苞(そうほう)と、立ち上がった黄色い花を目印に探すのも良いでしょう。

POINT

※なるべく犬の散歩道から外れた場所や、少し高い植え込みに生えたきれいなドクダミを探すと良いでしょう。
※植物の採取が禁止されている場所や、私有地に立ち入っての採取は行わないようにしましょう。

STEP 2

ドクダミを摘もう

  • 茎から摘み取ったドクダミ
  • 集めたドクダミ

ドクダミを見つけたら、摘んでみましょう。ドクダミの薬効成分は、「全草」つまり葉から根、花まで、すべての部位にあります。そのため、どこを採取してもティンクチャーに用いることができます。しかし、掘るのも泥を落とすのも大変ですので、葉や茎、花を刈り取ったり、茎から摘み取って採集しましょう。また、採取するドクダミは、準備しているガラス瓶に入る、必要な分だけにしましょう。

摘み取ったドクダミは、そのままにしておくと萎れたり乾燥してしまいます。すぐに処理できない場合は、濡らしたティッシュペーパーやキッチンペーパーなどを入れたジップ付きビニールなどに入れておきましょう。
ドクダミの持つ成分のうち、特に「デカノイルアセトアルデヒド」という抗菌作用を持つ成分などは、揮発性があり、乾燥するとその薬効が消失してしまいますので、乾燥させないように注意しましょう。

STEP 3

ドクダミを下ごしらえしよう

  • ドクダミをやさしく洗う
  • 水気を切る
  • 水気をしっかりふき取る

採取したドクダミは、まず水でざっと洗います。あまりゴシゴシと洗う必要はありません。葉や茎などの表面についた砂ぼこりやゴミを取るように、水につけてやさしく洗います。

その後、タオルやキッチンペーパーなどで水気を拭き取ります。ドクダミに水気が残っていると、このあとアルコールに漬けたときに度数が下がり、保存性が落ちる可能性があるので、水気はしっかりふき取るようにしましょう。

STEP 4

ドクダミをちぎって瓶に詰めよう

  • ちぎって瓶に詰めたドクダミ

ドクダミの水分がしっかり取れたら、ちぎって瓶に詰めていきます。そこまで細かくする必要はありませんが、細かくちぎったほうが成分が出やすくなり、瓶の中にもより多く詰め込むことができます。手で適度なサイズにちぎって、瓶に詰めていきましょう。
何度も言うようですが、ドクダミの薬効のうち特にお肌に良い成分は揮発性があります。乾燥すると効果が薄れてしまいますので、この作業も手早く終わらせて次の作業に移りましょう!

STEP 5

瓶にアルコールを注ごう

  • アルコールを注ぐ
  • しっかりアルコールに浸かったドクダミ
  • 3週間つけた状態

ドクダミを詰めた瓶に、アルコールを注ぎます。殺菌のために、あらかじめ瓶を煮沸をする方もいらっしゃいますが、アルコール自体に殺菌効果があるので、腐敗したりカビが生えたりすることは少ないです。アルコールは、ドクダミがしっかりと浸かるように注ぎ、ドクダミが空気に触れている部分が少ない、もしくは空気に触れている部分がないようにしましょう。

使用するアルコールは、ホワイトリカーやウォッカのような飲用で比較的度数の高いものを用いても良いですし、薬局で手に入れることができる無水エタノールや消毒用エタノールも利用できます。しかし、あまりに度数の高いアルコールを用いると、水溶性の成分が出にくいとされています。度数が高い場合は、同量の精製水で割ってから使うとよいでしょう。

アルコールを注いだら、しっかりと蓋を閉めて密閉します。もしドクダミがアルコールから少しでも出てしまっている場合は、一度上下をひっくり返して瓶の中全体にアルコールがいきわたるようにしてください。この作業は毎日や、気づいたときに行うと、愛着も湧きますし、腐敗防止にもなります。
1週間もすると、アルコールが色づきはじめ、3週間もするとドクダミの香りがフルーティーになりはじめます。3週間から1ヶ月でも使えるようになりますが、僕は数ヶ月以上寝かせて使いますので、今年漬けた分は来年使う分になります。
数週間でも有効成分は抽出されますが、数か月以上にわたり長く漬けることにより十分に抽出され、香りもよりフルーティーで濃く深くなります。

STEP 6

濾過して瓶に詰めなおして完成

  • 1ヶ月以上つけた状態
  • コーヒーフィルターで濾過する
  • 濾過したドクダミティンクチャー

1ヶ月以上経ち、「よし、抽出完了!」と思ったら、いよいよ濾過します。濾過には、昔ながらの晒や手拭を用いた方法もありますが、ここでは昨今的で楽ちんな、コーヒーのペーパーフィルターとドリッパーを使いました。

ドクダミのエキスがたっぷり染み出たティンクチャーの瓶の蓋をあけて、フィルターをセットしたコーヒードリッパーに、流し込んでいき、きれいに色づいた液体のみを抽出します。濾過した後にフィルターに残ったドクダミには、貴重なティンクチャーが浸み込んでいるので、清潔な手で絞って、しっかり抽出しましょう。

中身を空けた瓶は、よく洗って水気を拭き取り、濾過したドクダミティンクチャーを再度注ぎ入れたら完成です!美しい琥珀色の液体に仕上がりました。

STEP 7

ドクダミティンクチャーを生活に活かそう

ドクダミティンクチャーの用途はじつに多岐にわたります。今回はその一部を紹介します。

①化粧水を作る(虫刺されやニキビ、水虫の民間薬にも効果あり)
実は生葉や花を潰した汁が一番効くのでは?と思うほどドクダミの消炎鎮痛・鎮痒効果は高く、様々なお肌のトラブルに効果を発揮すると言われています。しかし、どうしてもあの匂いが……という人は多いのではないでしょうか。そんな人には、ドクダミティンクチャーで作った化粧水がおすすめです。
作り方は簡単です。100mlのボトルで作る場合の分量は、ドクダミティンクチャー 5mlに、精製水 95ml(ドクダミティンクチャーが全体量の5%から8%程度になるように)と、好みでグリセリンやホホバオイル、スウィートアーモンドオイルなどを数滴垂らして良く振って作ります。順番としてはティンクチャーにまずオイルを垂らして良く混ぜてから精製水を注いだほうが混ざりやすくなります。

②入浴剤として使う
夏の暑い季節、アトピーや汗疹などが気になる方は、ドクダミティンクチャーを入浴剤として使うのがおすすめ!ドクダミの持つ消炎鎮痛・鎮痒効果に期待できます。また、足の匂いがきになる方にも、効果を発揮します。
使い方は、そのまま湯船に入れて使用します。湯量にもよりますが、浴槽に入れて全身浸かる場合は20~50ml、足湯であれば5ml~10ml以下でも効果が出ると言われています。まずは、足湯から効果を試してみてはいかがでしょうか?

③うがい液として使う
ティンクチャーには、ドクダミの抗菌殺菌の効果を持った成分がたくさん含まれています。水にドクダミティンクチャーを垂らして、うがいをしてみましょう。感染症や口内炎にも効果があると言われています。
使い方は、コップ1/3の水に、ドクダミティンクチャーを5、6滴たらして使います。お子さんであれば2、3滴を垂らして使ってみてください。

STEP 8

ティンクチャーにおすすめの野草や草木

  • ヘビイチゴ
  • ヘビイチゴティンクチャー
  • ネロリ
  • ネロリティンチャー

ドクダミ以外にも、道端や河川敷、お庭に生えた野草でティンクチャーにして活用できる野草や草木がたくさんあります。例えば、食べても美味しくない「ヘビイチゴ」や「ヤブヘビイチゴ」、「クスノキ」や「ヤブニッケイ」、「クロモジ」などのクスノキ科や、「スギ」、「ヒノキ」などの針葉樹の枝葉など。

お庭に植わっているミカンの仲間の花「ネロリ」や「プチグレイン」と呼ばれる枝葉など、わざわざ山林に出かけなくても、身近に生育していてティンクチャーにして活用できる野草、草木は意外にもたくさんあります。
ドクダミティンクチャー作りの延長で、作ってみてはどうでしょうか?

STEP 9

『やった!レポ』に投稿しよう

ドクダミティンクチャーの仕込みが終わったら、またはきれいな琥珀色の液体に仕上がったら、写真を撮って『やった!レポ』に投稿してください。作るときに工夫したことや、活用方法などがあれば、ぜひコメントにも書いてシェアしてください!

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MATOME
まとめ

身近な植物のパワーを、生活に活用することのできるティンクチャー作り、いかがでしたか?ティンクチャー作りを通して、自然を再発見することにつながり、日常が豊かになる一助になったら嬉しいです。もしかしたらその植物に集まる他の生きものにまで興味が広がり、その生きものがまた別の興味や面白さを連れてきてくれるかもしれません。そして、その面白さを周りに発信することで仲間を増やしていければ、日本の自然は今よりもっと豊かで素敵な毎日を私たちに与えてくれるようになるかもしれません。
※本記事は、全て学習目的です。文中にある「効く」「効果が出る」という類の言い回しは、個人の感想であり、その効果を保障するものではありません。また、治療法的なものとしておすすめするものではありません。
※肌に直接塗布する際には、全て個人の責任のもと行って下さい。使用する事によって生じた問題についても、一切責任を負えません。
※野草の見分け違いによる事故にはくれぐれもご注意下さい。毒草などが生えている場合もあります。初めは野草に詳しい方などを同伴して採取にいきましょう。

GROW CHART
成長スコアチャート
野性3
3知性
3感性
アクティビティ
つくる
環境
山 ・ 森 ・ 公園
季節
夏 ・ 秋
所要時間
1時間~3時間
対象年齢
小学校低学年以上
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