ホールアース自然学校理事。富士山麓をガイドして15年。田貫湖畔に環境省が設置した自然学校第1号「田貫湖ふれあい自然塾」のチーフインタープリターとして、身近な野生生物の生き様や人とのつながりを伝えることなどを通じて、自然と人とをつなぎ、身近な自然の見方を変えるきっかけ作りをしている。
その他、様々な企業・行政と自然を知る、伝える人になる、自然を守る・活用するなどの企画・実施に忙し楽しい毎日。
子供の頃よく遊んだ「むし」。大人になったら、さわれなくなっちゃった!という人、多くいませんか?でも、親になったら、子どもがむしに興味を持って「これなあに?」「さわってもいい?」と聞いてきます。その時どうしたらいいでしょう?せっかくなら「むし」と一緒に遊んで、親子で小さな生き物の世界を楽しめたらステキですよね!「むし」という、人間とはものすごくかけ離れた生き物。その違いをイヤだと思えばそれまでだけど、せっかくなら楽しんでみませんか?このHOWTOでは、むし好きもむし嫌いも夢中になっちゃう運動会を開くことで、知らず知らずのうちに「むし」と仲良くなる方法を伝授します。
虫あみ
虫かご2種類(水槽のような透明ケースのものとアミ状のもの)
穴が抜けている直径10cm程度の筒
テープ
巻き尺
運動会のテーマソングCD
虫あみを使って原っぱでバッタ系をつかまえます。近づくとピョンとはねるので、そこを狙ってもよいし、2人1組で1人が網をかまえて、そこにもう1人が追い込んでいく方法もあります。とにかく元気にはねてくれそうなバッタをつかまえましょう。
続いて、石の下や草の根元などを手でめくって、ダンゴムシを探しましょう。刺激を与えるとすぐに丸くなるのがダンゴムシ、丸くならないのはワラジムシです。もちろん、その他のむしもいたらつかまえてください。(つかまえないで!というのは幼児には難しいと思います)ある程度つかまえたら、みんなで運動会会場に向かいます。
運動会の会場は草などがなくて、置いた虫の存在がわかりやすい場所がよいです。公園の広場や板敷きの場所などが適しています。先ほど捕まえた虫たちは、みんなの持っている選手たちになります。これから出てくる競技種目でそれぞれ得意そうな選手を、代表選手として選んでください。運動会のテーマソングCDを流して、虫の大運動会のはじまりです。
競技① いろんなむしの「どれが一番早いかな?」
大きな円を描きます。円の真ん中にむしたちを入れた筒を置き、スタート!と同時に筒からむしを出して、どのむしが早く円の外に出るかを競う遊びです。
競技② バッタの「ジャンプ競争」
バッタを手で止めて離したところから1回ピョンと飛んだ距離を競う遊びです。出発点を覚えておき、そこから巻き尺で飛んだ距離をはかります。
競技③ ダンゴムシの「大脱走ゲーム」
ダンゴムシは面白い能力を持っていて、何かにぶつかると回避する方向が左右交互になります。つまり、T字路に当たったとき最初左だとすると、次にT字路に当たったら必ず右に行きます。その法則を使ってダンゴムシに迷路を用意します。一見、ダンゴムシには解けない迷路に見えますが、先の法則で見事到達することができます。その不思議な能力を楽しんだ後に、同じ形の迷路を各チームに手渡し、一斉にダンゴムシをスタートさせます。どのチームが早くゴールに達するかを楽しむ遊びです。
それぞれの競技を楽しんだ後、むしを気に入って持って帰りたいという子供もいるかもしれません。飼うということは、命を支えるためにエサをやり、その途中で脱皮や産卵、命を失うなど様々なドラマが展開されて、むしに興味を持つにはとても効果のある行動です。しかし、同時に全部のむしが人間に獲られてしまったら、むしがいなくなってしまいます。
むしの気持ちになって考えてみると、ちゃんと食べ物があり住処がある自然の中に住む方がよいこと、これから出会いがありオスメス協力して産卵をして次の子たちが生まれるからこそ、来年もむしたちと出会うことができることなどを説明して、基本的には獲ったところにむしを逃がしましょう。
この遊びに夢中になっていると、知らず知らずのうちに、むしをさわり、むしに親しむことができます。また、場面場面で見られたむしたちの頑張りを自分自身に置き換えてみると、速さや飛んだ距離、迷路を解く力など小さいながらにけっこうすごい生き物だということに気づくのではないでしょうか。そういった体験を親子で楽しむことで、今まで食わず嫌いで遠ざけていた人も小さな命に対する見方が少しでも変わるといいなあと思います。