人類をちょっとワイルドにする自然体験を集めた、体験メディア「WILD MIND GO! GO!」編集部。
自然の中の体験を通して、普段の自分がちょっとワイルドに変わって行く、そんなステキなアイディアを集め毎週皆さんへお届けしています。
木々の葉っぱや花びら、野菜や果物の皮など、天然の素材を染料として布や糸を染めることを「草木染め」と言います。天然の植物で繊維を染める技術は、紀元前数千年以上も前から確立され、四季がある日本は、植物の種類がとても豊富で、染色の技術が発達したと言われています。
今回は、温度や時間を細かく調整したり、何度も重ねて染めたりする本格的な草木染めではなく、WILD MIND GO! GO! 編集部が、台所にある道具を使って、植物や野菜など身近な素材で、実験的な感覚で草木染めの基本に挑戦します。
果てして自然から、どんな色をもらえるでしょうか?
*火を使うので、子どもは必ず大人と一緒に作業しましょう。
「葉脈標本を作ってみよう!」
https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/94
染料にする素材(野草、玉ねぎの皮、ビーツ)
布(綿、麻、絹などの天然繊維)
ミョウバン(およそ大さじ1)
剪定ばさみ
包丁
まな板
はかり
ネット(水切りネットなどでOK)
鍋(ステンレス製のもの)
菜箸や割り箸
厚手のゴム手袋
計量スプーン
バットやボウル
まずはじめに、染料にする素材を準備します。花や葉っぱ、果物や野菜の皮など、自然のものであれば基本的には何でも染まると言われています。
今回、WILD MIND GO! GO! 編集部では、①一番身近な自然の「野草」→自然な緑色が出るかな?、②草木染めの中でも一番簡単できれいにできると評判の「玉ねぎの皮」→明るい黄色が出ることを期待、③いかにも色彩がはっきり出そうな野菜「ビーツ」→鮮やかなピンクを見てみたい、で挑戦します!
草木染めには、綿、麻、絹などの天然繊維が向いています。ポリエステルなどの化学繊維は染まりません。今回は、綿の端切れを用意しました。
草木染めでよく使われる素材です。
・植物:よもぎの葉、ドクダミの葉、桜の枝
・野菜:玉ねぎの皮、ナスの皮、ぶどうの皮、人参の葉、赤しそ、紫キャベツ
・そのほか:コーヒー豆、紅茶
それぞれの素材を煮出して染液を作ります。染める布と同量ていどの素材が必要です。今回は少量の端切れ10g程度でトライしてみます。
●野草:10g程度を準備して、剪定ばさみなどで葉っぱも枝も細かくします。
●玉ねぎの皮:玉ねぎおよそ2~3個分の皮を、できるだけ細かく刻みます。
●ビーツ:10g程度を準備して、包丁で皮ごと細かく刻みます。
色を出しやすくするために、素材はできるだけ細かく刻みましょう。細かく刻んだ素材をネットに入れて口をキュッと縛ります。鍋に、ネットに入れた素材と、ひたひたに浸かるくらいの水を入れて、弱火で水から煮出していきます。沸騰させずに30分ほど煮て、液が濃い色になったら火を止めます。割り箸などを使ってネットを鍋から取り出しましょう。
STEP2と同時並行で、別の鍋にお湯を沸かして端切れを10分ほど煮ます。繊維に汚れが付いているときれいに染まらないので、こうして汚れを取り除きます。厚手のゴム手袋をはめて絞っておきましょう。熱いので火傷に注意してください。
STEP2の染液に、STEP3で下準備した端切れを投入して、再度、沸騰させないでじっくり煮ます。割り箸などでかき混ぜながら、20~30分ほど煮出していきましょう。布に色が付いたら火を止めて、水洗いします。軽く水気を切りましょう。
天然植物の色素は、そのままだと繊維に定着しないので、色素に化学反応を起こさせて、繊維との結びつきを強くします。この工程を「媒染」と言います。媒染には、ミョウバン媒染・鉄媒染などの種類があって、媒染液によって色の仕上がりが異なるそうです。今回は、スーパーなどで売っているミョウバンを使用します。
バットやボウルにミョウバン大さじ1を入れて、お湯で溶かします。水1リットルを加えてよくかき混ぜて、ミョウバン液を作ります。STEP4で準備した端切れを、割り箸でやさしくかき混ぜながら、20~30分ほどミョウバン液に漬けこみます。媒染前後で、色がパキッと変化するでしょう。よく水ですすいで、かるく絞ります。
日陰干しをして、乾いたら完成です。予想していたものとは、だいぶ違う結果になりました…。それぞれの、色の変化を比べてみましょう!
●野草
葉っぱの自然な緑色が出るかな?と思いきや、お茶のような濃い茶色の液が抽出。最終的に、すこし赤みを感じさせる優しい茶色に染まりました。草木染めで緑色を出すのはなかなか難しいそうです。ちなみに緑を出したい場合は、春のよもぎが向いているとか。とは言え、近所の捨てられていた野草から、美しい茶色に染まったのも、嬉しいものです。
●玉ねぎの皮
初心者にも簡単で、きれいに染まるとの前評判とおり、少量の玉ねぎの皮できれいな黄色に染まりました。キラキラした黄金色の染液が抽出され、媒染すると、よりはっきりした黄色に変化しました。自然からもらった優しい黄色です。いろいろと染めてみたくなる素材です。
●ビーツ
その見た目から、鮮やかなピンクが簡単に出ることを期待したものの、見事にハズれ、うすーい茶色に染まりました。とは言え、キレイなピンクに染まっている例も見受けられるので、重ね染めをすべきなのか、下準備をより正確にすべきなのかもしれません。次また挑戦したいと思います!
草木染めに挑戦したら、ぜひ『やった!レポ』に投稿して、体験をシェアしませんか? 感想は「コメント」に記入してください。
今回挑戦した草木染めは、基本の第一歩のようなものです。重ね染めをしたり、染める工程で模様をつけたり、染液を重ねて新たな色を出したりと、調べれば調べるほど様々な手法があります。
初体験の草木染めでしたが、青々としている葉っぱから意外にも濃い茶色の液が抽出されたり、ビーツは鮮やかなピンクの染液なのに、布にまったくその色が出なかったり、一方で、茶色がかった玉ねぎの皮から優しい自然な黄色が出たりと、その結果は予想とまったく違うものでした。しかし、その予想しなかった結果に、驚きがあり、楽しい発見があったのも、また事実です。
身近にあるさまざまな自然素材は、実はこんなにきれいな色を持っています。草木染めを通して、自然が起こす変化と不思議を体験してみませんか?