2020.09.30627 views

自然でみつけた“Wonder”で、アートボックスをつくろう

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栗田朋恵

長野県認定登山ガイド
冒険ハイキングで親子の感性を開こう

“Wonder”=不思議・驚き・奇跡
自然の中には“Wonder”がたくさんあります。教科書や図鑑にない、“私のWonder”を探しに出かけましょう。

ある時、3歳の男の子が手のひらをギュッとにぎって山道を歩いていました。手のひらの中には小さな小石がありました。何てことない小さな黒い小石ですが、手の中にぴったりとおさまる大きさや色に、何ともいえない“ちょうど良さ”がありました。触るごとに愛着がわき、落としたときには必死に探しました。
その小石の“良さ”は、ほかの誰にもわからないかもしれません。けれど、自分だけが感じられる何ともいえない“良さ”に、男の子は出会えたのです。

たとえば“Wonder”は、そんな小石かもしれません。または、曲がった木の枝、落ちた椿の花、穴の空いたどんぐり。雨粒がついたクモの巣。夏の木漏れ日。
同じものには二度と出会えない自然の中だからこそ、見つけた“Wonder”にいっそう心がときめきます。誰かの「いいね」ではなく、私の「いいな」を見つけること。子どもは「いいな」を見つける名手です。

「いいな」と感じるものを見つけたら、写真を撮ったり、大事に拾って持ち帰りましょう。そうして集めた“Wonder”をボックスに入れて、作品に仕上げましょう。

READY
準備するもの
  • 虫めがね

  • カメラ(携帯電話のカメラでもOK)

  • ポケットティッシュ

  • ハンカチ(またはバンダナ)

  • メモ帳

  • フタ付きの小箱(百円ショップなどで購入可能)

  • ハイキングの準備一式

STEP 1

ハイキングコースを選ぶ

  • 自治体から出ているMAP
  • なるべく詳細に記載されているものがお勧め

“Wonder”を探すハイキングは、できるだけ土の道を選びましょう。清掃の行き届いた公園内のコースより、ちょっとした山道がおすすめです。それは、落ちた葉や木の実がそのまま地面に残っていたり、クモの巣など自然の中のありのままの姿を見ることができたりするからです。

POINT

子どもと歩く場合は通常コースタイムの1.5~2倍の時間がかかります。ゆっくり歩いたり立ち止まったりすることを考えると、ハイキングは短めのコースを選ぶのがおすすめです。崖などの危険な場所がないか、道に人気があるかなどあらかじめチェックしておくと安心です。

STEP 2

自然の中に出かけよう

では、実際に自然の中を歩いてみましょう。はじめは子どももドキドキ、緊張しています。子どもによっては森の雰囲気や周囲の暗さなどに心細さを感じることもあるので、無理に背中を押さず、手をつないだりしながらゆっくり歩き出しましょう。

自然道の中に入ると、ついつい足元に視線が集中しがちです。上を見上げると木々の葉が陽の光に透けていたり、周囲を見るとリスが木の上を歩いていたりすることもあります。
視野を広く持ち、目線をいろいろなところに向けてみましょう。

POINT

「せっかく来たのだから〇〇しなくては」とはじめから意気込みすぎず、子どもと一緒にリラックスして空を見上げてみたり、足元に何か落ちていないかと探してみたりしながら、だんだん自然道に足を進めていきましょう。

STEP 3

自分だけの“Wonder”を探す

  • シダの影が手のひらにのった
  • 何とも言い表せない、桜の花びらの薄さ
  • 美しいクモの巣
  • おとしぶみ。小さな穴から幼虫が出た後
  • ぼくだけのWonder

自然の中で目が慣れてくると、木の穴や落ちている実、咲いている花などに気が付きます。また、木漏れ日の光線や、鳥の声、水の音など、五感がだんだん開いていきます。
色や形が気になる葉っぱ、どんぐりがついた木の枝など、気になるものを手にしたり、「みてみて!」と子どもにも紹介したりしてみましょう。子どもも自分の発見したものを見せたり、自慢したりしてくれます。

土がついていないもの、形の崩れていないものを何となく大人は選びがちですが、子どもは茶色くなった椿の花や、虫の食べた葉っぱも「いいな」と思って選びます。子どもの選んだものを「きたないよ」とか「捨てよう」などズバリ否定することは控えましょう。
持ち帰れない状態のものは気持ちを汲んだうえで、「もう虫の食べ物になっているから取り上げないでおこう」とか「良いと思うけど、電車に持ち込むことができない」というように自然に置いていくことを話し合いましょう。持ち帰れないものは写真で撮って残しましょう。

POINT

国立公園や自然保護区域、公園の規則などにより、園内・区域内の自然物を採取したり、持ち帰ることが禁止されている場所があります。うっかり違反になってしまわないよう、注意しましょう。また、そういった場所では子どもにもルールを伝え、見て楽しむことをあらかじめ伝えておきまましょう。

STEP 4

お気に入りを持ち帰ろう

自然の中には二つとして同じものがありません、感性の惹かれたものを大切にしておきたいですね。自然道で見つけた葉や、木の実、小石など持ち帰りが許されているものは壊れないように包んで持ち帰りましょう。ティッシュペーパーでふんわり包み、ハンカチやバンダナでくるんでおきます。リュックサックの一番上に入れるなど、なるべく形が壊れないように運びましょう。

長い枝や木のかたまりなどは親子でよく検討しましょう。わが家の場合、長い枝は子どもの指先からひじまでの長さまではOK、子どものリュックに収まって自力で持ち帰れるものはOKなど、持ち帰りのルールを設けています。
石を掘り起こすことはやめましょう。植物の採取については、群生しているたんぽぽやツメクサ、猫じゃらし、落ちてしまった花などは常識の範囲内で手にしても良いかもしれませんが、必要以上にたくさん摘んでしまうようなことは控えましょう。
写真に撮ることは自由なので、名残惜しいものは写真に収めておきましょう。

POINT

植物には有毒性のものもありますので、十分に注意しましょう。どんぐりや栗などは多くの場合、人より先に虫が発見して中に入っています。家に持ち帰って虫がでてくる場合もあるので袋に入れて冷凍庫で一定時間おくか、煮るなどして保存します。

STEP 5

アートボックスを作ろう

  • 子どもが何げなくつぶやいた言葉
  • 木だけを集めたボックス
  • 太陽に手をかざして手を温めた日
  • クッション材を入れると縦に置けます

ハイキングから持ち帰った物を並べてみましょう。写真はプリントアウトします。ボックスの中にどう展示しようか、思案しながら入れましょう。プリントした四角い写真を切り抜いて加工するのも良いですね。日記を書いて入れたり、日付をメモに書いていれたり。コースや地図を一緒にしても。

ボックスの中身は接着剤などで固めず、思い立った時にふれたり、手のひらに乗せられるようにしまっておくのがおすすめです。
集まったものをあまり取捨選択せずに、ありのまま詰め合わせるのもいいものです。葉っぱや小石、何でもないと思ったものもボックスをのぞくたびに思い出がよみがえるでしょう。

POINT

時が経つと湿度のあるものにカビが発生することがあります。乾燥剤を一緒にいれたり、よく乾かしてからボックスの蓋を閉めましょう。

STEP 6

「やった!レポ」に投稿しよう

自然でみつけた“Wonder”でアートボックスを作ったら、「やった!レポ」に投稿して、体験をシェアしませんか?質問や感想はコメントに記入してください。

MATOME
まとめ

息子が2歳を過ぎた頃から自然の中を一緒に歩くようになりました。ズボンのポケットから小石や何でもないかけらが出てきたり、気に入った落ち葉を持ち帰ったりしては、家にある空き瓶に入れて取っていたのが始まりでした。
ある時その小瓶を手にとって見ると、懐かしい思い出の品々に気持ちが温かくなりました。子どもの方が記憶ははっきりしていて、小石を手に取ると「どこで拾ったか」「どこが好きか」といったこともよく話すので、これは大切なものなんだと思うようになりました。

やがて、発見したクモの巣を子どもにも見せたり、子どもが拾った木の実がどの木から落ちたかなど、お互いの感性にふれたものが散歩の会話になりました。それは「あなたのいいと思ったもの、私のいいと思ったもの、どちらも面白いね」と互いに等しくあることを実感できる時間でもありました。
世の中には優劣で話すことがたくさんあります。大人と子どももまた、高い位置から低い位置にむかって話す構造になりがちです。しかし感性とは等しく、自由で、尊いものです。互いに見つめた先にあるものに共感したり、愉しむことができる時間こそが、アートボックスの核になるように思います。

GROW CHART
成長スコアチャート
野性3
4知性
4感性
アクティビティ
つくる
環境
山 ・ 川 ・ 森 ・ 海
季節
春 ・ 夏 ・ 秋 ・ 冬
所要時間
1時間~3時間
対象年齢
4才以上(保護者同伴)
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