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2022.04.281704 views

虫や雑草と畑をシェアする「虫草農法」で、生き物と遊びながら野菜をつくろう

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わたなべ あきひこ

虫草農園スタッフ

虫のこと、嫌いですか? 私は好きです。多くの人に虫のことを好きになって欲しいです。なぜかというと、虫や草が好きになると、それまでとはちょっと違う世界が見えてくるように思うのです。「虫たちのように、ヒトも自然の生態系の一部になるような暮らしがしたい!」そんな思いから田舎に移住し、畑をつくり、そこを虫草農園と名づけました。
野菜を育てることで虫や草が育ち、畑に集まってくる生き物たちに小さな生態系をつくってもらい、彼らの力も借りながら人はほどほどの分け前をいただく。虫草農法では、収量の最大化より多様性を高めることを目指し、生き物とともに野菜をいただきます。虫や草にも手伝ってもらう農法の魅力を、いま絶滅に瀕している里山生物たちに代わって、紹介したいと思います。

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READY
準備するもの
  • タネ

    少々

  • 半月クワ

    1本

  • 鳥や虫に作物を食べられても許せる心

    ひとつ

  • 芋虫や芋虫の体から出てきた別の虫を面白がる好奇心

    ひとつ

STEP 1

菜園をデザインしよう

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    畑だからといって畝をつくらなくたっていい
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    傾斜地の場合はロックガーデン風も楽しい
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    水辺があると生物相は格段に豊かになる
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    中央にスプリンクラーをセットした円形の畑
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    面積が広い場合は畝を作ると管理はしやすい

畝をつくるか? つくらないか? それが菜園づくりの最初の悩みどころ。排水や管理の面では畝があったほうがよいのですが、手間をかけられるなら畝をつくらないほうが美しく、何より楽しいのでオススメです。どれだけ時間をかけられるか、どのくらいの広さかによって、そのあたりが決まってきます。面白いと思う方向に、変えながら楽しんでください。

畝なしの場合、平らなところでは、意図的に築山をつくるのも楽しいもの。傾斜地の場合は、自然石の石積みなども組み合わせたロックガーデン風にすると多くの生き物を呼び込みます。石を積む場合は、セメントを使わず土極めで積むと石の隙間にいろいろな生きものが住み着いてくれます。傾斜地に廃材のバスタブやトラック用の大きな廃タイヤなどで小さな池をつくると、その周囲の生物の多様性が一気にあがります。

ものぐさにオススメなのは円形の畑。こんな畑の真ん中にスプリンクラーを配してタイマーを仕掛ければ、タネまき後の水やりの時間も省けます。植物の多くは、毎晩、適量の散水をしてあげると、成長が著しく驚かされます。

STEP 2

カオスな畑を作ろう

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    異なる科の野菜を混植するといいようです
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    箱庭のようなスペースでもカオスは作れます
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    イチゴとコスモスの中にキャベツがポッコリ
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    作物以外の草もあると生態系が豊かになる?
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    草に埋もれぬようサインを立てるのも楽しい

「たくさん収穫できる」という喜びも確かにあるのですが、同じ作物をたくさんつくり、そのために同じ作業を繰り返すのはあまり楽しいものではありません。「農的な暮らし」と違って「農業」が苦痛になってしまうのは、そんなところにも原因があるのかもしれません。

そしてどうも、自然の生態系も多様性のない単一の状態が苦手なようなのです。キャベツの畑にはキャベツだけを植えて管理したほうがたしかに効率的ではあるのですが、多様性でバランスを保つ自然の仕組みからはそれは「とても不自然な状態」に見えるようです。

そのため、単一な畑には多様性のある状態を取り戻す方向に力が働きます。つまりモンシロチョウやコナガ、ヨトウガなどがたくさんやってきて、地面を専有するキャベツを減らそうとします。そうなると、収穫の効率を最優先させなければいけないプロの場合は、農薬を使うことになってしまいます。

しかし、自給用であれば、たくさん穫ることを目的にしなくてもいいはず。キャベツのすぐ隣にパクチーを植えるなどして、雑多な野菜や野草で、キャベツがそこにあることを誤魔化すことができるかもしれません。

こんな工夫をするのは楽しいものですが、虫に食べられないようにと必要以上に計算高く考えて植えなくても大丈夫。さまざまな植物がそれぞれに影響し合いながら育っている畑の方が楽しくて、虫食いがあっても美味しくも感じられたりします。

POINT

虫草農法は、鳥たちのために土を耕し、カブトムシのために落ち葉を積んで堆肥をつくり、それを肥料として施します。里山に暮らしていたヒトがその地域の生態系の一部になっていた頃の農的な暮らしを模索し、楽しもうというものです。

STEP 3

半月クワを使いこなそう

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    半月クワ。手前は使い込んで三日月クワに
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    これくらいに草に埋もれてしまったら救援を
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    作物の根際の表土を半月クワで薄っすら削る
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    虫を摘むための竹でつくったピンセット
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    屋根付きの小さな道具小屋があると便利

南アルプスの片隅に移り住んだのは25年ほど前のこと。このころの畑仕事の相棒は半月クワでした。移住した当初は100坪ほどを開墾し、小さな畑をやっていました。その後、急激に地域の高齢化と過疎化が進み、農業の後継者が少ないこともあって、畑や田んぼ、それに果樹園までお借りすることができるようになりました。今は畑だけでも3000坪以上。さすがに半月クワ1本で、とはいかなくなくなり、天ぷら廃油で動くように改造したトラクターや太陽光発電で充電した草刈機なども使っています。それでも、毎日の見まわりの際には、半月クワを片手に歩きまわります。

道具としての美しさもさることながら、これ一本で、クワにもカマにもなるのが素晴らしい! さらには、座らず腰も曲げずに立った状態で作業ができます。半月クワは地方によって「立ちカンナ」などとも呼ばれています。畝の両サイド、上の写真で土が見えているところは、半月鍬で草を少し掻いたところ。こうして作物の生長に少し加担してあげるだけで作物と野草の生長に差が出て、収量なども違ってきます。

半月クワは「土がんな」などとも呼ばれ、土のきわを削れることも特徴のひとつ。土を削ると刃がなまりやすいのですが、半月クワは刃先が鋼になっているものが多く、研いで使うことができます。見まわりに出る前にその都度研ぐのが快適に作業を進めるコツ。そのためには100円ショップで売っているダイヤモンドのヤスリが重宝します。

少し邪道なやりかたですが、虫草農園では刃が大きく丸まってしまった場合は、マジックとグラインダーを使って修正しています。この方法は、クワや大ガマなどにも使えます。(以下の動画の8分30秒過ぎあたりにあるので参考にしてください)

MATOME
まとめ

カブトムシやオオクワガタ、それにホタルやアキアカネなどの多くの里山生物は、長く営まれてきたヒトの農的な生き方に適応しているように思えます。ところがここ100年ほどでヒトの暮らし方は激変し、それによって里山生物が絶滅の危機に瀕しているように感じます。

農薬や除草剤、化成肥料などが普及する以前も、ヒトは自然の生態系に対して大きな影響を与えながら暮らしてきました。ただし、その変化のスピードはゆっくりで、ヒトの近くで暮らしてきた生きものたちは、ヒトの暮らしに適応できていたように思われます。

ヒトは環境変化に「知力や考察」で対応しますが、虫や草たちは「個の多様性と淘汰」によって適応しようとします。とくに昆虫は遺伝子への刷り込みスピードがヒトよりもはるかに早いのです。たとえばモンシロチョウは、1頭のメスが、200個くらいの卵を生みます。東京あたりのモンシロチョウ1年の間に6世代、世代交代を毎年くりかえすのに対して、ヒトは次の世代に移るのに20年くらいかかります。

ヒトがひとりかふたり子どもを生んで、次の世代に移る20年の間に、モンシロチョウは200個×6化×20年=2万4000個の卵を生みます。昆虫はたくさんの卵を産み、淘汰されるなかで環境の変化に対応してきました。虫のほかにも、草や藻類、菌類なども、多様性に富んだたくさんのタネや胞子を残すことで、ヒトが行なってきた農的な暮らしに順応し、その周囲を生息域としてきたと思われます。

ところが現代は、環境変化のスピードが早すぎます。化石燃料の普及と同時に、薪炭林は使われなくなり、建材用の針葉樹林に変わってしまいました。急激に進歩する農薬には、年に6回も世代交代を行なうモンシロチョウでさえ追従できずにいます。

虫草農法には、その変化のスピードを緩める、あるいは生き物にエスケープゾーン(逃げ場)を提供することで彼らの存続を手助けしたい、という思いがあります。

カブトムシたちのために堆肥を積み、狩りバチにすみかを提供し、モンシロチョウやキアゲハにもいくらかは居場所を残す。虫や草たちと密接な関係を築きながら、分かち合ような形でキャベツやニンジンをつくる。生態系のシステムのなかで野菜をつくる虫草農法は、ひとり勝ちはできないけれど、虫や草とも情報交換ができて、なにより楽しい農法であるように思います。

GROW CHART
成長スコアチャート
野性3
5知性
4感性
アクティビティ
食べる
環境
田畑
季節
春 ・ 夏 ・ 秋 ・ 冬
所要時間
1時間~3時間
対象年齢
小学校中学年以上
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