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2022.09.292071 views

日本伝統の毛バリ釣り「テンカラ」で魚を釣る

12

服部文祥

サバイバル登山家
簡素にして優雅。自作の毛バリで渓流魚と遊ぶ

テンカラ(毛バリ)釣りとは、イトの重みで毛バリを飛ばす和式フライフィッシングである。動物の毛や鳥の羽で作った疑似餌で魚を釣る歴史は古く、紀元前から世界各地にあったとされている。日本でも古来、ニワトリの羽や動物の毛などを使った毛バリを、竹の竿と馬の尻尾の毛で飛ばし、魚を釣っていた。現在、それらの道具はより洗練されて使いやすくなっているものの、竿、飛ばしイト、ハリス、毛バリ、という四つの道具しか使わないシンプルな道具立てに変わりはない。

虫に似せたハリを魚に咥えさせることがテンカラ釣りのカギなため、この釣りは通常、虫を食べる渓流魚を相手におこなう。

釣りのフィールドになる渓流を毛バリを打ち込みながら移動する行為は、自然とのダンスともいえる独特の躍動感があり、ニセモノのエサ(毛バリ)で魚を騙すことは、遊び心といたずら心にあふれた野生との真剣な駆け引きといえる。足下を流れる清流はそのまま飲むことも可能で、宝石のような渓流魚は食べてもとてもおいしい。

行為がおもしろく、技は奥深く、こちらから積極的にアプローチしていく狩りに似たテンカラ釣りを、自然との一体感を感じながら、多くの人に楽しんでいただきたい。

READY
準備するもの
  • テンカラ竿

    1本

  • 仕掛け(飛ばしイト、ハリス、毛鉤)

    一式

  • 沢靴

    1足

  • スパッツ

    1双

  • 生かしビク 

    1個

STEP 1

「テンカラ釣り」の基礎知識

  • Sp 2e99d476 d97e 45da a8d1 e980f1fb09f3
    川に立ち込んで毛バリを打ち込む
  • Sp 91b9a97e 95f3 4448 8470 99b715558fc4
    イワナ。ときには50cm近い大物も釣れる

テンカラ釣りでは竿の先に飛ばしイトを結び、竿を振って糸の先の毛バリをポイントへと送り込む。餌釣りと比べて多くのポイントを手返しよく探ることができ、餌を付け替える手間もないため、かつては本職の川漁師が好んで使う釣法だった。現代においても渓相や季節、気温などの条件が合えばエサ釣りより多くの魚を手にできる。

そしてなによりテンカラ釣りは面白い。餌釣りは本物の虫や魚卵を使うため餌を咥えたあとに魚が離さない。それと比べてテンカラ釣りは擬似餌を流すので魚に見切られやすく、一度は毛バリを咥えても吐き出してしまう。テンカラ釣りは魚を騙して偽の餌を食わせ、それと気づかれる前にハリをかけなくてはならない釣りなのだ。釣りに占める人為の割合が大きいぶん、テンカラ釣りはエサ釣りよりスリリングでフェアだ。

STEP 2

釣具を用意する

  • Sp d5027e47 5e6a 4571 ba0c 1608c0a7c14a
    竿各種
  • Sp 88c665c0 807b 4f6c b4bd 2e2cce148b87
    最低限の道具一式

テンカラ釣りの基本の道具は竿、飛ばしイト、ハリス、毛バリの4つ。テンカラ釣り用の竿は全長3~4.5mほどの幅があり、小さな川や枝の覆いかぶさる川では短いもの、流れの上が開けた大渓谷では長いものを使う。
テンカラ竿は長さの他に「6:4」や「7:3」といった比が付されるが、これは竿の調子(全体的な硬軟や、負荷がかかったときのカーブの描き方)を表したもの。前に来る数字が小さいほうが、負荷をかけたときのカーブの位置がより手元側に来る。毛バリ釣りでは、先調子の硬い竿よりも、やや胴(竿の中央部より手元側)に乗る調子のほうが使いやすく振っていて疲れにくい。

竿の価格帯は数千円~数万円。高い竿のほうが毛ばりを打ちやすく、魚をかけた後の釣り味もよい。良い道具は拙い技術を補ってもくれるので、入門者こそちゃんとした竿を使ったほうがいいだろう。
竿先に結ぶ飛ばしイトには「テーパーライン」と「レベルライン」の2種がある。テーパーはその名の通り元が太く先が細い。重さがあって毛バリを飛ばしやすいが、イト自体の重さで毛バリが不自然に引かれたり、太いイトが流れに引かれたりもする。レベルラインは硬いのが特徴で、イトの径が細く、糸の太さも元から先まで均一なため流れや風の影響を受けにくい。遠くのポイントを探ることができ、毛バリを自然に流すことができる反面、入門者にはやや扱いにくい。

飛ばしイトの先にはハリスをひとヒロ(約1.5m)ほど結ぶ。ハリスの素材にはナイロンとフロロカーボンがあるがどちらでもよい。ハリスの太さは一般的には0.8~1号程度が好まれるが、私は1.5号を使う。1.5号あれば魚の歯で擦れても切れることがなく、枝先などに毛バリを引っ掛けたときの回収率も高まる。
毛バリは釣具店でも売られているが、ひとつ数百円と高価だ。私はフライフィッシング用のハリに自分で鳥の羽などを巻いて作っている。

川に入るときは竿のグリップに上記の仕掛けを巻き取り、スペアの毛バリと替えのハリス、イト切りバサミ代わりの爪切りを持っていく。魚を釣るだけなら、これらの道具で事足りる。

STEP 3

毛バリを巻く道具を揃える

  • Sp 50360fbf db85 4d68 9be8 ca3a405d1b19
    ハリを固定するバイス
  • Sp c06a79a0 6d9f 4cab 97a6 897dbd0a2096
    ハサミ、ボビンホルダー、フィニッシャー
  • Sp df7a14f8 e5b2 4f00 81ed 6756db633472
    素材一式。詳細は後述

先にも書いた通り市販の毛バリは高価なので、自分で巻いたほうが経済的だ。昔気質のテンカラ釣り師には、指でハリを摘んで器用に巻く人もいるが、入門者はフライフィッシングで使われる道具と素材を用いると無理がない。

基本の道具はハリを固定するバイス、ハサミ、糸を巻いたボビンホルダー、フィニッシャー(糸の始末をする道具)。これらにハリと幾種類かの鳥の羽があれば毛バリを巻ける。私は鳥の羽(ハックル)に加えて、光を反射するフラッシュマテリアルと自己融着テープを素材に用いている。

毛バリのタイイングは奥が深く、追求すればキリがない。フライフィッシングの世界には「マッチ ザ ハッチ」というテクニックがある。これは釣りの現場でまさに羽化(ハッチ)している虫に似せた毛バリを投じて魚を騙す技術だ。これを忠実に実践すると膨大なバリエーションの毛バリが必要になる。

私もいろいろな毛バリを試したが、最終的に「どんな虫にも似ている」毛バリに行き着いた。今ではサイズの大小こそあれ、同じパターンの毛バリを使い続けている。確かに大きな川ではマッチ ザ ハッチは有効な技術だが、自然の渓流に住む魚は雑多な虫を食べている。それらに似ていれば、魚はちゃんと食いついてくる。

MATOME
まとめ

食料を現地調達する長期間の山旅では、魚が釣れるか否かは、旅の成否(もしくは旅人の生死)を左右する重要な要素である。そのため若い頃は、釣りの鍛錬のためだけに渓流で入り寝泊まりしながら釣り歩いた。

長い間、日本の野山で釣りをしてきたが、魚を釣る最大の秘訣は結局「人が行かないところに行くこと」であると思っている。

人間や毛バリを見たことがない純朴な渓流魚は毛バリを疑わず食いついてくる。そんな渓に行くと、手返しの早いテンカラ釣りは威力を発揮する。まるで魔法のように魚が釣れる楽しい時間を過ごせる。尺イワナ(大物)だけをキープしていれば、食料の確保は充分だ。

毛バリはニセモノのエサである。もし魚がニセモノであることを見破れば、釣られることを回避できる。日頃食べているホンモノのエサにハリを隠して引っかけるエサ釣りと違い、毛バリ釣りは魚が注意深ければ、避けられるのだ。ホンモノで騙すのではなく、ニセモノで騙すため、釣り上げても「食いついたお前が悪い」と申し開きができできる上に、してやったりという快感はエサ釣りをしのいでいる。生命を奪うことの引け目も少なく、よりフェアであると感じるのは、さて、釣る側の勝手な思い込みだろうか。

いや、テンカラ釣りをやれば、その気持ちがわかってもらえるはずだ。

GROW CHART
成長スコアチャート
野性5
4知性
3感性
アクティビティ
食べる
環境
季節
春 ・ 夏
所要時間
1時間~3時間
対象年齢
小学校中学年以上
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