登山家/作家/山岳雑誌『岳人』編集者。96年に世界第二の高峰K2に登頂。99年から便利な道具を排した「サバイバル登山」を実践。簡素な道具だけを携え、食料を現地調達しながら登山を行う。『ツンドラ・サバイバル』で梅棹忠夫・山と探検文学賞を受賞。小説『息子と狩猟に』で三島由紀夫賞候補に。
外国の生活事情を紹介するテレビ番組には、よくニワトリの姿が映っている。日本でも半世紀ほど溯れば、人の生活圏でニワトリの姿を見るのは、珍しいことではなかった。歴史的には3600~5000年程前から人間とニワトリは一緒に暮らしてきたらしい。
ともに生活することで、ニワトリにも人間にもいいことがある。そのためにニワトリと人間の生活は近づいていったのではないかと思う。
人間にとっては、卵や肉などの動物性タンパク質が比較的簡単に手に入ること。そして単純に楽しいこと。ニワトリにとっては、日々の食べ物が手に入り、安全に繁殖生活を営めること。
ニワトリが人との暮らしを楽しいと感じているかはよくわからない。ときどき、卵を取られたり、食べられてしまったりするのは、些細な損失として許容されているように思う。
そしてこれらの「いいこと」はいまでも双方にとって有効である。
ニワトリにはたくさんの品種が存在する。それらは飼育を目的にした場合、大きく二つに分類できる。自分で卵を温めるニワトリか、温めないニワトリかである。
採卵を目的に品種改良されてきたニワトリは、卵を温める本能がほぼない(抱卵期間は卵を産まないため抱卵本能の強い個体は淘汰されてきた)。レグホン、ボリスブラウン、ロードアイランドレッドなど、採卵用のニワトリは、雄を一緒に飼育して有精卵を産ませても卵を自分で温めることはほぼない(ここでは採卵種と呼ぶ)。群の勢力を維持するためには、定期的に孵卵器で卵を孵してやらなくてはならない。
一方、チャボ、烏骨鶏などの在来系は抱卵し、ニワトリに孵卵させることができる。採卵種の雌の寿命は3から5年ほど、在来系の雌は7年くらいのようだ。採卵種は休みなく卵を産み続けるため、ニワトリの中では短命である。機能障害も産卵器官系に起こりやすい。元気な卵を産むのは、孵ってから半年後から2歳になるくらいまでの1年半ほどである。養鶏場であれば、2歳になるくらいで廃鶏として捨てられてしまう。
健康な群を維持するためには、1年に1回は卵を孵してやらなくてはならない。在来系は放っておけば卵を温めはじめる。ただ、採卵種と違って成長は遅いため、我が家のチャボが卵を温めはじめたのは2歳になってからだった(その下の世代は8ヶ月で抱卵した)。
在来系であれば、一つがいを庭に放し飼いにして、最低限の安全面だけを考えておけば、あとはニワトリが自分で勝手にやる。採卵種であれば、人間が孵卵器で群を維持してやらないと、採卵できる時期は2年ほどで、その後の寿命を迎えるまでの数年間は、卵を産まないニワトリを飼い続けなくてはならない(もしくは食す)。
以上をまとめると、在来系を選べば、ひと組のつがいがいれば、不運な事故でもない限り勝手にニワトリたちが自分で生きて繁殖をしてゆく(近親交配を避けるなら二つがい以上欲しい)。手間という意味では楽だが、在来系はあまり人間に慣れず、手にできる卵も少ない。
採卵種を選べば、最盛期には、食べきれないほど卵が手に入り、品種改良された家禽は人にも良く懐く。ただ、孵卵器で卵を孵してやらないと、3年弱で雌鶏はほぼ卵を産まなくなり、雌鶏の半分ほどは産卵器官系の病気で死んでいく。
近年、ニワトリの入手はなかなか難しい。インコやハムスターのように、近所のペットショップで手軽に購入することはかなわない。伝手がない人は、雛か有精卵をネットショップで購入することになるだろう。
私は最初のニワトリをネットショップで購入した(2012年)。ピヨピヨカンパニーというショップで、2024年現在も営業を続けている。生後2週間ほどの幼雛で雌5羽プラスオマケの雄1羽で3000円だった。現在、雛の値段は飼料の高騰などで上がっているようだ。
輸送は、西濃運輸が行っていて、近くの支店に取りに行くというシステムだった。現在も、同じシステムで輸送が可能なのかはよくわからない(生物の運送に関して規制が厳しくなったと聞く)。
ネットショップの利点は自分が欲しいニワトリの種類を選べることと、ある程度大きくなった元気な雛を最初から手にできることである。ネットショップは他にもいくつかあるようだ。
卵から雛を孵す時期は春か秋であることが多い。望みの種類を確実に入手するには、頻繁にネットショップを覗いておくとよい。
時期によってはペットショップや、ホームセンターのペットコーナーなどで、雛が販売されることがある。また、鳥専門のペットショップではつがいのニワトリを売っている。観光農場などでニワトリの雛を分けてもらえるところもあるようだ。ペットの譲渡仲介サイトでも探すことができる。
2群目はチャボの有精卵を購入して、孵卵器で孵した。有精卵は千葉県で平飼いをしているヤマドリファームという養鶏場から購入した。6個で2000円。籾殻を緩衝材にした小さな段ボールで送られてきた。孵卵器はネットショップで入手できる。転卵機能が付いていないシンプルなものは4000円程度で購入可能である。
ニワトリの卵は温め始めて21日目に孵るとされている。購入したチャボの有精卵も、6個中4個孵り、4羽のうち1羽が事故死した。
チャボは抱卵(卵を温める)能力が高いとされる。その噂通り2年目には卵を温めはじめた。温めはじめたタイミングで雌チャボのおなかの下に、近所の自然食品店で売っている有精卵を数個滑り込ませて、一緒に温めさせたら、発生した。
その有精卵は残念ながら卵の殻を割りきることができずにすべて死んでしまったのだが、このことから食料品店で売られている有精卵を孵卵器で温めても、雛を入手できることがわかる。ニワトリの卵は、産んでから温め始めるまで、数日時間が経っても発生する。実際にチャボはときに10個以上の卵を一カ所に溜めてから温めはじめる。ただ冷蔵は卵の発生率を低下させるようだ。食料品店の有精卵を孵す場合は、入荷日などを聞き、購入するぶんを冷蔵庫に入れずにとって置いてもらうなど、相談した方がいいかもしれない。
有精卵プラス孵卵器の利点は、いつでも卵が手に入り、いちから1人ではじめられることだ。マイナス面は孵卵器の購入代金がかかることと、孵ってくるニワトリの種類がわからないこと(わかる場合もある)。山間地などの産地直売店で売っている烏骨鶏の卵は有精卵である場合が多い。
なお卵を孵す場合は、雛を購入する場合と違い、すべての卵が元気な雛になるわけではないことに注意が必要である(発生率に関しては後述)。
有精卵の入手に先立って孵卵器を購入する。実店舗で売られているのを見たことはない。ネットショップで買うのが早い。個人のニワトリ飼育なら卵が10個から20個入るくらいのサイズがいいだろう。
孵卵器に湿度を保つための水を入れて(水受けがある)起動し、有精卵を入れる。自動転卵機能が付いていない場合は、半日に1回(朝晩)、卵を回すように角度を変えてやらなくてはならない。卵の中で組織が殻の内側に癒着しないようにするためらしい。寝返りのようなものだと思う。
健全に発生したニワトリの卵は、温めはじめてから21日目に雛になって殻を破ってくる。すべての卵が健全に発生するわけではない。発生してもすべての雛が殻を割れるわけではない。さらに殻を割ってこの世に出てきた雛の中にも立ち上がることができずに息絶えるものもいる。元気な雛になるのは温めた卵の5割前後である(親の種類や近親交配の強弱にもよる)。
元気な雛と力尽きた雛をどうしても対比してしまい、そこに喜びや悲しみややるせなさや命の不思議さなど、いろいろな感情が湧く。卵から孵す醍醐味はここにある。
産科医療の発達した現代社会に生きている人間の感覚からすると、非常にもどかしいが、殻を破れない雛の手助けをしたところで(割って出してやっても)、その雛が生きながらえることはない。
生まれた雛は寒さに弱いので24時間ほどは電源を入れた温かい孵卵器の中に入れたままにしておく。30時間も入れておくと、立てずに息絶えた雛を踏んで歩くようになるので、育雛箱に移す。育雛箱は段ボールでよい。大きな段ボールに小さな段ボールを入れて、小さな段ボールにさらに湯たんぽを入れ、保温室兼隠れ家としてやる。湯たんぽはボトル式缶コーヒーの空き缶にお湯を入れたものでよい。
段ボールの中には雛が飲むための水を入れてやるが、雛が落ちても溺れない器が良い。餌は幼雛専用のものが売られている。玄米や五穀米、十六穀米などを砕いてやってもいい。野生の鳥はこの段階で親の糞(盲腸便)から腸内細菌を受け継ぐという。
殻を破って出てきて、立ち上がった雛は、見た目のイメージとはちがい生命力はつよい。ただ、我が家では立てかけておいた湯たんぽの下敷きになるという死亡事故が一回あった。
雛を購入する場合、日齢5から10くらいで送られてくる。そのころの雛は、既にかなり強く、元気いっぱいである。
雛は2ヶ月ほどは段ボールの中で育てることができる。ひと月経てば、羽が生え、しっかりしてくるので保温室は不要になる。代わりに止まり木か、代わりになる台があるとよい。雛を段ボールで育てている間に、鶏小屋を用意する必要がある(鶏小屋に関しては別項目)。
ひと月以上経ち、羽が生えてしっかりしてきたら、徐々に鶏小屋や庭に放す。カラスにさらわれないように注意が必要である。
自分で卵を孵す場合、この時期に頭の痛いことがある。雄の処理である。雄はうるさい上に、卵を産まない。複数羽いると喧嘩にもなる。有精卵を産ませるためには雌10羽に1羽、雄がいればよいらしい。必要以上の雄はいらないので、中雛になって雄雌がはっきりしてきたら(幼雛の時期には雄雌の判断するのは非常に難しい)、いらない雄は食肉として食べてしまうのがよい。ただ、雛は可愛いだけではなく、それまで育ててきて情も移っているので、処理することは精神的に大きな苦痛である。最初の一線を越えることができれば、美味しい肉に変わる。
雛を購入した場合は性別がわかっているので、雄の処理は必要ないが、雛の性別の判定は難しいので、ごく稀に雄が紛れ込んでいることもある。
昼間は庭に放し飼いにしておき、夕方から朝にかけては、鶏小屋にしまうようにする。土の庭があるなら、餌は人間の残飯を与えておけばいい。プラスしてくず米、糠(お米屋さんで格安で売ってもらえる)などを与えておく。足りないようであれば配合飼料をやる。
採卵種の場合、生後6ヶ月ほどから卵を産み始め、3歳になるころには、産卵数が下がる。最盛期はほぼ毎日卵を産む。卵1個の中身と殻を毎日体内で作って排出するのはすごい生産力である。それに見合う餌と水を与えなくなはならない。雌は雄より食欲が旺盛である。
採卵種の場合は2歳くらいから産卵器官に病気が出始める。不調なニワトリは早めに食べてしまうのがよいが、中雛同様に、すでに情が移っているので、処理に踏み切るのはそれなりの意志と覚悟が必要になる。また、若鶏は美味しいが、老鶏や病気の鶏は美味しくない。我が家では基本的には放って置いて、死んだら肥やしとして、庭に埋めている。
養鶏を中心に自給農業を営んでいる人の本に「ニワトリに審美眼はない」と書いてあった。とても印象深い箴言である。機能を確実に備えた小屋であれば、建築物として美しい必要は(少なくともニワトリにとっては)ない、ということである。
必要な機能は、1、天敵が侵入できない。2、雨ざらしではない。3、適度に風を避けられ、なおかつ風通しがよい。4、産卵室がある。5、止まり木がある、といったところだ。
スペースは畳一畳に5羽くらいが基準とされるが、これは鶏小屋の中で飼う場合の基本で、昼間、放し飼いにするならば、小屋は一畳に10羽くらいでも問題ない。
機能の1に挙げた天敵の侵入防御が造作としてもっとも気を遣うところだ。都市の中心地では、ケモノが鶏小屋に侵入することは考える必要がないが、郊外やちょっとした田舎であれば、天敵であるイタチに侵入されて、ニワトリが全滅させられてしまうこともある。
イタチやテン、キツネなどが侵入しないためには、小屋の周りの地面に深さ60㎝以上でトタン板を埋め、壁面は1cm角の金網で覆う必要がある。扉などの設置で生まれる隙間も1cm以内にする。イタチは五円玉の大きさの穴があれば侵入するという。
小屋の中には間口50×50cmに奥行きも50cmほど(一辺が50cmの立方体)の産卵室を複数個設置する。止まり木も置きたい。
チャボのなかには夜になっても鶏小屋に帰らず、自分の好きなところで夜を明かす個体もいる。鶏小屋をどうするかは、飼育環境にもよるだろう。産卵室という問題はあるものの、数羽であればコンパネで作った100Lサイズの箱でもなんとかなる。床下を鶏小屋として飼う人もいる。
<餌>
餌は何でも良い。生活で出てきた生ゴミを叩いて細かくして与えれば良い。ミカンの皮やバナナの皮も細かく叩けば食べるらしい。我が家では廃材を使って餌たたき台を作り、鉈で叩いている。
<飼育環境>
庭があるなら、庭に放し飼いにしておけばいい。地面が土でないとニオイが出るらしい(我が家は土なので臭いと感じたこととはない)。採卵種は飛翔能力が低く、飛ぶことはほぼないが、在来系はよく飛ぶ。干していたタオルケットが風ではためいたりすると、驚いて、かなり飛んでいくことがある。若鶏のころは周辺の地形が認識できていないので、遠くに飛んだニワトリは人間が回収して、庭に戻してやらなくてはならないこともある。
<天敵>
イタチ
養鶏最大の敵とされる。我が家は被害に遭ったことはない。鶏小屋に侵入すると、すべてのニワトリの首を噛んで皆殺しにしてしまうという。
カラス
雛を上空からさらうという。我が家でも狙われているが、被害に遭ったことはない。ニワトリの餌を横取りする、ニワトリが産んだ卵を産卵室から持って行く、ということは平然とやってのける。
ヘビ
鶏小屋に侵入して、卵を丸呑みするだけでなく、成鶏に絡みついて絞め殺そうとしていたことがある(オアダイショウ)。変な鳴き声がしたので、見に行ったため、大事には至らなかった。絞め殺したニワトリをヘビが飲み込めるのかは不明。
タヌキ、アライグマ、ハクビシン
庭先をウロウロしている。長年、被害を受けたことはなかったが、先日、庭の藪の中で卵を温めはじめたチャボが襲われた(アライグマだと思う)。
イヌ、ネコ
我が家では犬とネコも飼っているが、ニワトリを襲うことはない。
<雄鶏の鬨(とき)の声問題>
大工の友人が「(現場の)向こう三軒両隣には必ず文句を言う奴がいる」と言っていた(箴言である)。ニワトリに関しても、特に雄鶏のときの声に苦情を言う人がいる。夏は4時前からコケッコッコーと大声で鳴くので、飼っていない人に取ってはうるさいかもしれない。しかも1回ではなく、何回も続く。
我が家では雄鶏は鶏小屋とは別の箱に入れて、地下の物置小屋に毎晩しまっている。朝8時を過ぎたら物置小屋から出す。
雄鶏を飼わなければ、鬨の声問題は起きない。雄鶏がいなくても雌鶏は卵を産むが、その卵は無精卵のため、孵ることはない。雄鶏がいない雌鶏だけの群は、リーダー不在で安定しないらしい。雄鶏はカラスの襲撃などを警戒するなどの役割を持っている。
<性格>
種による傾向はあるものの、ニワトリによって性格はまちまちである。ロードアイレンドレッドとチャボしか飼育したことはないが、採卵種は品種改良されているためか、在来系に比べて人によく懐き、好奇心も強い。例えばロードアイランドレッドは薪割りなどをしていると近寄ってくる(チャボは来ない)。朝の餌を鉈で砕いているときも、顔をつっこんでくるため、私は誤ってくちばしを叩いてしまったことがある(くちばしは爪と同じ角質なので再生する)。
チャボも孵卵器で孵した初代は人間にすこし懐いたが、チャボが孵した雛は人間にほとんど懐かない。個体によっても性格はまちまちで、その日の機嫌によっても行動が違う。
家庭で数羽飼うニワトリは伴侶動物だが、卵という生産物も提供してくれる。雌鶏といえば毎日、卵を産んでいるイメージがあるが、実際は生後6ヶ月ほどから徐々に産み始め、3歳になるころには、あまり産まなくなる。採卵種は年間産卵数250~300と言われる。産卵数が多い1歳を超えたころは毎日産む個体もあるが、それがずっと続くわけではない。生涯で産むのは500個ほどと思われる。長期間、卵をとり続けたい場合は、毎年、次の世代を卵から孵す必要がある。
採卵用ではないニワトリの場合は、産卵数はそれほど多くない。チャボの場合、年間で90個ほど、烏骨鶏も同じくらいといわれる。また、雌鶏は抱卵を始めると卵を産まなくなる。
卵は食料品店で売っている卵と同じように食べれば良い。採卵種の卵でも、平飼いや放し飼いで健康に育てたニワトリの卵は、とても美味しい。良質の餌を与えて、若いときに産んだ卵の黄味はしっかりしていて、箸で摘まんで持ち上げられるほどである。生み始めのころの卵や、年老いた個体が産んだ卵は少し味が落ちる。
ニワトリの寿命は約10年とされているが、種類や個体、性別によって様々である。採卵種の雌は、産卵器官に不調が出て、長生きできる個体は少ないようだ。我が家のロードアイランドレッドのオスは10年ほど生きていた。雌は8年生きる個体は全体の一割ほどだった。チャボのメスは産卵数が少ないため、ロードアイランドレッドほどは、病気は出ないようである。
育て方でも触れたが、人間がニワトリを食べるのは、不要な若いオスか、若い時に事故などで死んだ雌くらいだろう。老鶏や病鶏はおいしくない。
食べる前には解体しなくてはならない。家庭で食べるぶんには、プロのようにきれいに精肉できなくてもかまわない。可食部位をすべて食べれば無駄にはならない。ただし、ニワトリが苦しむ時間を短くすることと、腸の内容物などで肉を汚染しないことには注意したい。
1 首をひねる
両足を片手で持ち、首をもう片方の手に持って、ヒネりながら引っ張る。多少暴れるが、ここは強い気持ちを持って、短時間で終わらせてやる。そうでないと、ニワトリも苦しい。ニワトリの体から力が抜けるまで15秒ほどひねりなら引っ張り続ける。
2 首を落として、血抜きをする
できるだけ心臓が動いているうち首を落として血抜きをしたい。刃物と台になる板を用意しておいて、首をひねって暴れなくなったら、素早く首を切って血抜きをする。
3 羽根をむしる
体温が温かい内であれば、羽はむしりやすいが、それでも80度ほどの熱湯に軽く漬けると、羽はより抜きやすくなる。
4 内臓を取り出す
お尻の穴の横から皮を切り開くようにして、まず、腸を肛門ごと出してしまう。便が肉につかないように腸を処理できたら、あとは、ざっくり内臓を取りだしてやればよい。肝臓、心臓、砂肝などは可食部位である。
5 精肉する
身体構造にそって、バラバラにして、あとは精肉店で買った鶏肉と同じように調理すればよい。
完成したら、写真をとって『やった!レポ』に投稿しましょう!苦労したことや工夫したこと、感想などあれば、ぜひコメントにも記載してください。
人の生活が都市化していくなかで、効率化と分業が過剰に進み、ニワトリを飼育して卵と肉を手に入れるという手間は、許容範囲を超えた贅沢か、田舎くさい貧乏暮らしと評価されるようになってしまった。飼育には手間がかかるし、雄鶏があげる早朝の鬨の声は、住宅街にはやかましい。卵だって、養鶏場で大量生産された卵が食料品店でいつでも簡単に手に入る。
ニワトリや卵に限らず、いろいろなものごとで効率を上げ、生活は手軽にスマートになっている。だが、効率化した私たちの生活はこの先どうなっていくのだろうか。なんでも簡単に手に入り、それら物質に囲まれた空間に、時間だけが有り余るのか、もしくは、それら消費のために自分の専門的な職業に費やす時間が増え、自分の時間は奪われるのか。どちらにせよ効率的でスマートで手軽な生活の先に、生きる喜びがあるとは私には感じられない。
ニワトリとの生活で、実用的な利点をあげようとしても一つしか思い浮かばない。生ゴミが美味しい卵に変わる、ということだけである。生ゴミを一切捨てずに済む、というのは地球環境にとってすばらしいことなのだが、実感をもって理解されることはないかもしれない。
人間以外の生き物と暮らすことで学ぶことはたくさんある。それらも同じように具体的な言葉にはなりにくい。ニワトリが餌をついばみながらゆっくり庭を歩く姿は、生活に穏やかな時間と満足感を与えてくれる。
足早に過ぎていく人生のペースに、違和感を感じている人がいたら、ニワトリのいる生活はしっくりくるのではないかと思う。人とはいったいなんなのか? 生活とは? 人生とは? と立ち止まることがあったら、ニワトリと暮らしてみてほしい。彼女たちとの生活は、人生の喜びを取り戻すきっかけになるかもしれない。