NPO法人自然体験活動推進協議会(CONE)常任理事、NPO法人日本ロングトレイル協会理事、白山白川郷トレイルクラブ事務局長、Japan Outdoor Leader Award運営委員会委員長、ひだの未来の森作りネットワーク幹事、東海インタープリターネットワークミーティング世話役、世界遺産合掌街道実行委員会副委員長、白川村伝統的建造物群保存地区保存審議会委員、白川郷観光協会理事など。
キャンプやバーベキューをしている時に、お箸を忘れたことはありませんか?そんな時に枝でお箸をつくることができれば、何もあわてることはありません。場合によっては自作のお箸のほうが趣もあり、アウトドア感も得られ、愛着もわくので好きになることが多いようです。
お箸をつくるためにはナイフワークも必要ですが、基本的な技術を学べば、誰でもつくることができます。ナイフの基本的な使い方を身に付ける方法としても、お箸づくりは最適です。
お箸の素材になる枝を探します。なるべくまっすぐで、鉛筆くらいの太さの枝を2本探しましょう。落ちている枝を拾っても、生きている樹木から切り取っても良いです。樹木から切り取る際は、剪定ばさみを使いましょう。※自然公園や施設の管理区域では、木を切るような行為は禁止されていることがあるので、必ず管理者に確認してから行いましょう。
また、お箸にするとダメな木もあります。「ヤマウルシ」はかぶれる人が多いので要注意です。「ヌルデ」もウルシほどではないですが、まれにかぶれる人がいるので注意が必要です。事前にインターネットや図鑑などで、葉や枝の特徴を確認しておきましょう。
お箸の長さを決めます。親指と人差し指でL字をつくった時の、指先同士を斜めにつないだ長さ×1.5倍が最適と言われています。おおよその長さが決まれば、2本の枝を、その長さに合わせて剪定ばさみで切ります。
同じ長さの枝が揃ったら、いよいよナイフで削っていきます。枝を持つ手には、トゲなどが刺さらないように、軍手(できれば滑り止めのついたもの)をはめましょう。またナイフは、取り扱いに十分注意し、良く切れるものを使いましょう。
まずは、お箸の口に入れる方から削りはじめます。なるべく、薄く薄くゆっくりと何度も削っていきます。1本目の口に入れる部分を削り終えたら、2本目の同じ部分を削ります。1本目を完成させてから2本目をつるのではなく、両方を少しずつ削っていくのが、同じ太さに揃えるコツです。
ナイフは必ず良く切れるものを使いましょう。切れないナイフは力づくになってしまい、ケガを誘発する可能性が高まります。また削る際は、ナイフを持った手を動かすのではなく、枝を持った手の親指の力でナイフを押し出し、かつ枝を手元に引くような気持ちで削っていくとケガが減ります。
2本の口に入れる部分が削れたら、何かをつまんで試してみましょう。うまく使えそうなら、手で握る部分も削ります。
お箸の全体を削り終えたら完成です。細かいささくれなどを丁寧に削ることができれば、使い心地は格段に上がりますが、どんどん細くなってしまうので「まっいいか」という、気持ちになったところで完成としましょう!
お箸が完成したら、まずご飯を食べてみて、使い心地をじっくりと味わってみてください。
大抵はじめに、「思ったより使える!」という感想が出てきます。そしてすぐに、「でも使いにくいな」という感想も続きます。口に入れる部分の細さが気になったり、お箸がほんの少し曲がっているために先端がうまくくっつかなかったり、ナイフワークがうまくいかず表面がガサガサだったり、木の中心部が綿状になっていて使っているうちに穴が空いたり…。
それでも自分でつくったお箸で食べる満足感は格別です。ぜひ何度でも挑戦して、自分なりのお箸スタイルを極めてもらいたいです。また、何度も繰り返すことで、お箸に適した木はどんな木か分かるようになります。さらに、枝の曲がり具合もうまく利用できるようになると、お箸づくりは「工芸作品づくり」へと変わっていきます。それはそれでまた楽しいものです。