一般社団法人国際STEM学習協会 理事
慶應義塾大学 研究員
計測機器メーカーに6年勤めた後、FabLabの活動に感銘を受け、オランダのAmsterdamで、FabLabが実施する教育プログラム、FabAcademyを受講する。その後、日本で最初のFabLabであるファブラボ鎌倉にてデジタルファブリケーションエンジニアとして働く。FabLabでは機構設計、電子回路設計、ソフトウェア開発を組み合わせ、デジタルファブリケーションが生み出す新しいものづくりの可能性を探求している。
空から景色を眺める、撮影してみる、という欲求は、昔から人々の心を掴んではなしません。しかし飛行機やヘリコプターが登場し、ドローンが普及してきた現代でも、自分で気軽に空から写真を撮っている人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
前回の記事では、カイトを製作する方法を試行錯誤する過程も含めてお伝えしました。今回は製作したカイトとカメラを使って、実際に空からの映像を撮影する方法をお伝えします。
気温も高くなり、気持ちのいい春風が吹く日も増えてきましたので、皆様も前回の記事を参考にカイトを製作し、カイトとカメラを持って近くの公園や砂浜へ空撮に出かけてみましょう。カイトを空に上げて、鳥の目線で風景を撮影することはとても楽しいですよ。
まずは、空撮したい場所へ出かけましょう。最初に選ぶ場所は広くて、障害物がなく、カイトが落ちても安全な場所を選びます。今回は鎌倉駅から歩いて20分くらいに位置する材木座海岸で空撮に挑戦します。砂浜は広くて障害物も少なく、空撮に適した場所です。
カイトは風のふき方によっては、急速に落下する可能性があります。カイトフォトの場合、カイトとカメラの両方を空にあげますので、落下した場合、非常に危険です。カイトを飛ばす場所と時間は、安全面を考慮して、よく検討しましょう。まわりに障害物がなく、人が少ない場所が適しています。
撮影場所に着いたらカイトの準備をしましょう。
風が強い日だと、カイトを広げた途端に風による力を受けるので、地面に置いて準備しましょう。リーディングロッド、センターロッドは既に取り付けていますので、カイトを広げてトップロッドをとりつけます。
次にキールに取り付けているハトメに糸をくくりつけて完成です
カイトに利用する糸は、糸巻きを使うと安全かつ簡単にカイトを上げることができます。また糸は素手で持つと、怪我をする可能性がありますので、手袋をはめておきましょう。
カイトの準備ができたら、いよいよカイトを空に上げていきます。風の向きに注意してカイトを上げていきましょう。皆さん凧あげをするのは、随分とひさしぶりなのではないでしょうか?僕も空から映像を撮ってみたいと思い立つまでは、カイトにまったく触っていなかったので、小学生ぶりに遊んでいます。
カイトに慣れていない方は、カメラを取り付けて空撮に挑むまでにカイトを何回か飛ばして、操作に慣れておきましょう。風の吹く向きを理解して、カイトがどのように飛ぶか良く観察しましょう。
カイトは高くあがるほど、安定していきます。
安定する高さまでカイトが上がったらPicavet Suspensionに取り付けたカメラをカイトの糸に取り付けます。カイトにカメラを取り付けたら、カメラのスイッチを入れ、録画モ―ドに切り替えて、撮影をスタートさせます。
今回使用するカメラはWiFi通信を利用して、遠隔操作できますが、距離が離れすぎると電波が届かなくなるので、糸に取り付ける時点で撮影をスタートさせます。
*今回は、カシオのデジタルカメラ(EX-FR110HとEX-FR100)を使用しました。
EX-FR100:http://casio.jp/dc/products/ex_fr100/
EX-FR110H:http://casio.jp/dc/products/ex_fr110h/
カイトの操作とカメラの取り付けを一人で同時に行なうことは難しいです。なれないうちは誰かと一緒に出かけて二人で共同作業することをお勧めします。
カイトの糸にカメラをぶら下げたら、更にカイトを高くあげ、カメラを引っ張り上げていきましょう。撮影した日は、良い風がふいていたので、カメラを取り付けたあとも、カイトはどんどんと高度を上げていきました。風が弱くカメラが持ち上がらないときは、無理をせず別の日に改めて挑戦しましょう。
今回は動画モードに設定し、カメラを取り付けた時点から録画をスタートさせています。撮影したい高度までカメラが上がったら、カメラが揺れないように糸巻きをやめて、安定した状態で撮影しましょう。
リモートで録画、撮影できる機材を利用する場合は、撮影したい高さまでカメラを持ち上げてから、撮影をスタートしましょう。
どのくらいの高さから撮影すると、良い映像が撮れるかは、やってみないとわかりません。いろいろな高さで撮影してみましょう。
撮影を終えたら、カメラを取り外し、カイトを回収します。糸巻きで少しずつ糸を巻いて、カイトを下ろしていきましょう。まずはカイトの糸に結びつけたカメラを取り外します。その後、更に糸を巻き取ってカイトの高度を下げていき、カイトも回収しましょう。風に煽られてカイトが急速に落下しないように気をつけてください。
カイトの回収が終わるまで気を抜いてはいけません。糸を巻きながらカイトを回収している最中に急速に落下する可能性もあります。落下しないように気をつけながら少しずつカイトの高度を下げていきましょう。
空撮した写真を『やった!レポ』に投稿して、他の人ともシェアしましょう。
質問や感想があれば、ぜひコメント欄に書き込んでください。
カイトを使った空撮はいかがでしたか?カイトは良い風が吹いている日であれば、思った以上に簡単に空高く上がっていきます。カイトと合わせてカメラも空に上げるので、十分注意する必要はありますが、カイトフォトは比較的気軽に行えるアクティビティです。
前回の記事を参考にカイトを作って、カイトフォトに挑戦した方は、自分のつくったものが、空高く舞い上がると、大きな達成感を得ることができたのではないでしょうか。僕がモノをつくる過程で一番楽しいと感じるときは、つくったモノが思った通りに動作したときです。 飛ばなかった場合も落ち込まないでください。大抵最初は思った通りに動かないものです。失敗したときは、原因を調べ、修正して再度挑戦してください。モノづくりはこの繰り返しですが、何度か挑戦して成功したときは、一度で成功したときより大きな達成感を得ることが出来ます。
まだカイトをつくっていない方は、前回の記事とあわせてご覧いただき、ぜひカイト製作と空撮に挑戦してみてください。年齢を問わず楽しくワクワクした時間を過ごすことができます。