虫系ナチュラリスト。身近な自然にひそむ昆虫たちを中心に、いきもの愛あふれる生態写真を撮り続けている。小蛾や蠅、葉虫、蜻蛉などのマイナー昆虫はもちろん、蜘蛛、蜥蜴、蛙、蝸牛、蛞蝓など昆虫以外の「虫偏」の生き物たちに至るまで、広くあまねく愛を注いでいる。ウェブサイト「昆虫エクスプローラ」、ブログ「むし探検広場」管理人。著書「昆虫探検図鑑1600」(全国農村教育協会刊) 。
子どもにも大人にも人気がある昆虫界のアイドル、テントウムシ。テントウムシには、とてもたくさんの種類がいます。小さなもの、大きなもの… 黒いもの、赤いもの、黄色いもの… たくさんの星(紋)があるもの、少しだけ星があるもの、星がないもの… ほかの虫を食べる肉食のもの、植物の葉を食べる草食のもの… などなど。テントウムシについての少しの知識があれば、今まで気づかなかったたくさんの種類に出会うことができます。中には、同じ種類なのにまったく違った姿をしているものや、逆に、違う種類なのにお互いそっくりな姿をしたものもいて、ゲーム感覚で種類調べを楽しむこともできます。さあ、身近に見られる小さな妖精、テントウムシの世界をエンジョイしましょう!
(このHowtoは、それぞれのSTEPを違う日におこなうこともできます。)
まず、比較的見つけやすいナナホシテントウを探してみましょう。ナナホシテントウは、明るい場所が好きなので、田畑の周辺や公園でよく見つかります。山であれば、開けた草原を探してみましょう。成虫も幼虫も、アブラムシ(植物の茎などにつく小さな昆虫)を食べるので、アブラムシの集団を見つけることができたら、ナナホシテントウ発見の可能性も高まります。
ナナホシテントウを見つけたら、指に登らせてみましょう。指先まで登ったテントウムシが翅をひろげ、飛んで行くところを観察できます。アブラムシがたくさんいる場所では、幼虫や蛹が見つかることもあるのでよく探してみましょう。
指に登らせるときは、無理に捕まえるよりも、テントウムシが歩いていく先にそっと指を持っていくと、自然に乗り移らせることができます。
ナミテントウは、もっとも身近なテントウムシのひとつで、さまざまな環境で見られます。ナナホシテントウよりもやや暗い場所を好み、樹木が多い公園や、雑木林の周辺などでよく見つかり、ナナホシテントウと同じくアブラムシを食べて暮らしています。
ナミテントウの最大の特徴は、同じ種類なのに、個体によって色や星の数にさまざまなバリエーションがあることです。同じ場所でも、まったく違った姿のものが見つかるので、できるだけたくさん探して、自分好みのファッションを見つけ出しましょう(マツの木で見つかった場合は、ナミテントウによく似たクリサキテントウの可能性がありますが、外見で見分けるのは困難です)。
テントウムシの仲間には、肉食のナナホシテントウやナミテントウとは違い、植物の葉を食べるベジタリアンもいます。代表的なのは、上翅に28個もの星があるニジュウヤホシテントウやオオニジュウヤホシテントウで、これらは、ナス、ジャガイモ、トマトなどの葉を食べるので、畑でよく見つかります。草原や雑木林の周辺では、カラスウリなどの葉を食べるトホシテントウ(星は10個)が見つかります。
これらの種類の幼虫は、トゲに覆われているので、一見、危ないように思えますが、このトゲは、実際に触ってみるとフニャフニャで見かけ倒しであることがわかります。
ベジタリアンのテントウムシの多くは、体に細かな短い毛がはえていてあまり光沢がないのが特徴なので、肉食の種類と見分ける手がかりになります。
テントウムシの世界に興味をもっていただけたでしょうか?
簡単には発見できない種類もいるので、「見たいのにどうしても見つからない」ということがあるかもしれません。自然が相手なので、それもしかたのないことですね。でも、テントウムシについての知識を身につけていれば、とくにテントウムシ探しを目的にしていない日であっても、野山でハイキングをしている時や、公園で遊んでいる時に、「もしかしたら、ここにもテントウムシがいるかも」という発想で、ほんの数分間だけテントウムシ探しをしてみる、ということができます。案外、そんな時に見たことがなかったあこがれの種類に出くわしたりするものです。ぜひ、いつでもどこでも、「テントウムシがいるかも」という気持ちを忘れないでください。
著者のサイトでは、今回登場した種類以外にも、さまざまなテントウムシを紹介しています。また、種類ごとに大きさや見られる時期を掲載していますので参考にしてください。
昆虫エクスプローラ テントウムシ図鑑
http://www.insects.jp/konbunkouten.htm