大学では農学部で食品の研究を行い、卒業後は大手コーヒー焙煎会社に就職。東日本大震災を機に、食を探求しその楽しさを発信するために転職し、大規模貸し農園事業を展開。現在はあらゆる自然遊びをサイエンスの視点から語るライターとして活動。狩猟も得意で銃砲店のスタッフとしても活動している。
千葉県君津市に、未来農場CropFarmを設立。twitterアカウントは@Yuu_Miyahara
WILD MIND GO!GO!アンバサダー
アウトドアや防災など、いざというときに役立つロープワーク、皆さんはいくつぐらい知っていますか?普段から使わないと、いざという時思い出せなくて困るものです。
そこで今回は、プランター菜園を例に、生活に寄りそったロープワークを紹介します。ロープワークと言ってもさまざま、締める、輪をかける、こぶを作る、繋ぐ、束ねるなど、それぞれ目的にあった最適な結びがあります。アウトドアや防災ではその選択が命に関わることもありますが、まずは身近なもので気軽に実践してみましょう。小さなことから始めれば失敗だって大丈夫!
プランター(幅30cm、深さ30cm程度のもの)
野菜の培養土
夏野菜の苗(ナス、トマト、ピーマン、唐辛子など)
支柱(自然のもので代用OK)
麻ひも
じょうろ
「巻き結び」は、対象となる芯にロープを縛るのに使います。結びやすく、解きやすいのが特徴で、特に対象となる芯の先端が解放されている場合は、より素早く結ぶことができます。また結び目にこぶができず、ロープの両端がほぼ対象に伸びるので、ロープの途中で結びを入れる場合にも活躍します。
今回はミニトマトの苗が倒れないよう支える支柱に結びました。巻き結びは基本的にはロープにテンションが掛かった状態で使うものですが、固定位置がずれにくくかつ解きやすいので、野菜の成長に合わせて位置を調整するのに便利ですよ。
長いロープを束ねたり、支柱など棒状のものをまとめて縛るのにも、巻き結びは便利です。
「本結び」は、ロープ同士を繋げるための結びです。結束の強度はそれほどないものの、ほどくのがとても簡単です。一本のロープを輪にする時によく用いられます。古くは風呂敷で物を包んだ最後の結びとして用いられていました。
今回は、巻き結びにした先の紐を2回ほどねじり、茎を挟んで本結びをしています。締め付けずに空間を作り、ねじった部分がクッションになることで、苗が風などで擦れて傷むのを防ぎます。茎が太くなったり不要になった時に簡単に解けるのもいいですね!
本結びは、同じ側の芯とロープの先端を持って引っ張ると簡単に解けます。
ロープを通す順序を間違えると強度がない結びになるので注意!
「ふた結び」は、巻き結び同様、対象となる芯にロープを縛るのに使います。何かに紐を結ぶのに迷ったらこれです!簡単で、締め付ける力も強いですが、張力が抜けると固定位置がやや不安定になります。
今回は三脚にした支柱の上に、ナスの苗を吊るす紐を結ぶのに使いました。
ふた結びの結び部分の構造は、巻き結びと同じです。先に結びを作ってから掛けることもできます。
「もやい結び」は、1本のロープの端に大きさが固定された輪を作るのに使います。ポールなどロープの掛け外しを繰り返す場合に便利です。本結びではロープの端をつなげて輪を作りましたが、もやい結びはロープの先端で輪を作ります。
今回はナスの苗を吊るす輪として使っています。ロープを少し緩く張ることで、これもまた苗が傷むのを防ぎます。
もやい結びに物を縛る力はありません。
輪を使った利用方法、ほかにもいろいろ考えてみましょう!
「はさみ縛り」は、二脚、三脚を作るのに使います。キャンプでも流木などでトライポッドを作っているのを見かけます。結び方は意外と簡単で、端の枝に巻き結びをしてからロープで束ね、逆側の枝に巻き結びをして終わらせます。結んだ後に芯を開いて使います。二脚と三脚ではやり方がすこし違いますが、基本の作りは同じです。
今回はミニトマトは二脚で、ナスは三脚で支柱を立てました。支柱にはよく枯れた、まっすぐなセイタカアワダチソウの茎を利用しています。市販の支柱はクリップなどで簡単に三脚を作れるのもありますが、ロープワークを覚えれば自然のいろんなものを利用できます。
これで野菜の仕立てができました!最後にたっぷり水をやって完成です。ナスもミニトマトも、根元にバジルを植えて病害虫対策(コンパニオンプランツと言います)をしています。今回は手元にあった小さめの鉢を使っていますが、初めての方は幅30cm深さ30cm以上の大きなプランターを使うのが成功のコツ!美味しい野菜の収穫を目標に丁寧に育ててあげましょう。
はさみ縛りを覚えると、木の枝で、柵や台、足場など、応用していろいろなものが組み立てられます。
ロープワークに挑戦したら記念に写真を撮りましょう!『やった!レポ』に投稿して、みんなと体験をシェアしませんか?質問や感想はコメントに記入してください。
「ロープワーク」と聞くとついつい身構えてしまいそうですが、今回は家庭で簡単に試せる方法を紹介しました。どんな時にどんな結び方をするのかを覚えるだけで、ロープワークがぐっと身近になったのではないでしょうか。
今回の結び方は、今までの経験で私が覚えた「今のベスト」であって、皆さんが体験することでよりベターな方法が出てくるかもしれません。思いついたら是非『やった!レポ』に投稿してシェアしてくださいね!
自然遊びの感動は、自分で体験することで心の内から湧き出てきます。自然が相手なのでやり直しがきかなかったり、時間がかかったりするかもしれませんが、じっくり向き合って失敗も時間も楽しみましょう!