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2017.06.27422 views

森へ入る 森と同化し 音を録る

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川崎義博

サウンドアーティスト・サウンドデザイナー
「森の音から、自らの感覚を開いて行こう」

森へ入る。静かにそっと。ゆっくりと落ち葉を踏みしめ、かすかな森の土の感触を確かめつつ。倒木をまたぎ、朽ちた木を眺め、新緑の天蓋を見上げる。
息を吸い込むと、森の様々な匂いが体に流れ込む。風が頬を撫ぜ、木の葉のざわめきを運んで来る。大きな木にもたれ、この樹が聞いて来た何百年の音を思う。目を瞑り、この樹の一部となって。何百年の音を聴く。そして、少しだけ音を録る。

人はどうして森へ入るのでしょう?森林浴?鳥や樹木の観察?様々な目的があるでしょう。私の場合「森の音の録音」が目的でした。その音で、番組を作り、CDなどを創ってきました。しかしいろいろな森に入るうち、音を録音する事だけが目的ではなくなり、森と対話し、その森に同化する事が大切になりました。すると、森の体験が変わってきました。その結果、録音する音も変わりました。森から持ち帰るのは、森の記憶、森の時間であり空間です。
皆さんも一度森に入る具体的な目的を捨て、その森と同化してみませんか?森は生きています。その呼吸とあなたの呼吸を合わせる時、何かが伝わってきます。そして記憶として音を持ち帰ります。帰って録音した音を聴くと、森の空間が広がるでしょう。

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READY
準備するもの
  • 簡単な記録装置(スマートフォン、録音機など)

  • 森に入る服装(長袖、長ズボン。地面に座れる服装)

  • 帽子

  • 靴(できればトレッッキングシューズ類、長靴が良い)

  • 手袋(軍手や日頃使っているものがあれば)

  • 手ぬぐい・タオル類

  • 水(夏など暑い時期)

  • 虫除け(初夏から夏)

STEP 1

森を選ぶ、森を知る

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    亜熱帯の森
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    カナダ・ハンソン島の森
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    南フランスの森
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    日本の森(糺ノ森)
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日本には、都会の森から山奥まで様々な森があります。勿論、ヨーロッパの森、カナダの森、熱帯地方の森など、世界にはいろいろな森がありますが、身近なところで選んでみましょう。林や茂みと呼ばれる程度の場所でも良いでしょう。

そして、その森の成り立ち、生態系を、できれば少しだけ調べてみましょう。大きな神木が残る鎮守の森。植林でできた森。昔は大きな森だったが、開発され残った小さな森。名もない森も、その土地の記憶をとどめています。
日本に原生林はほとんど残っていません。あの屋久島でも2、3割でしょう。昔から人が入り、手をかけて来たのが日本の山や森です。その森を少し知るだけでなく、その森が過ごして来た歴史(時間)を探ってみましょう。

【奄美の森1】

POINT

できれば地図などで、その場所の地形も頭に入れておくと良いでしょう。川が流れているのか?池があるのか?身近な森へ行く場合は、散策路の位置や、周りは住宅地なのか、田んぼなのか?など記憶しておきましょう。
番組を作るロケでは、いろいろな角度からその土地のことを調べます。歴史や文化だけでなく、地形や生態系も。
勿論世界には、詳しい地図などない森もあります。大事なのは、そこに行ってからです。

都会に近い森の例;
・東京 明治神宮の森(人工の森)
・京都 下鴨神社 糺の森(何千年の森)
・奈良 春日大社の森 (原生林)

参考書籍;
「日本の森列伝」ヤマケイ新書
「森の旅 森の人」世界文化社
「樹木図鑑」「樹皮図鑑」など

STEP 2

森に入る

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さて、目的の森に入りましょう。散策路や林道など、道ができている場所もあります。ない場合は、地元の人が入る小道がよく見るとあるでしょう。
森に入る時、森に挨拶をしましょう。「こんにちは!」「やあ!よろしく」簡単で良いので声をかけましょう、そうするとその森が少し身近になるでしょう。たまに森が答えてくれます。

まずは、ゆっくりと散策し、自分の体を森にならして行きます。特に何かを探さなくても良いです。森の木々と同じ空気を吸ってください。
ゆっくりと歩きながら、木々を眺めたり、木の葉から漏れる光や、空の色を眺めたり。道を外れて落ち葉の上を歩けそうなら歩いてみましょう。そっとそっと。踏みしめた時の感触や音にそっと寄り添う感じで、歩いてみましょう。そうやって、少しずつ感覚を開いて行きます。

さて、森に慣れて来たら、落ち着ける場所を探しましょう。なんとなく惹かれる場所や、大きな樹の側でもよいでしょう。木の根っこや大きい石に腰を下ろしたり、木にもたれかかったり、リラックスできる場所を見つけましょう。

【奄美の森2】

POINT

注意:季節によって様々な昆虫や生き物が活動しています。有害な毛虫やヤマビルがいることも。スズメバチが活発な時期や場所(巣の近く)もあります。近年では熊が出る時期や場所もあります。
前もって知識があれば、被害に遭わずに済みます。毛虫、ヤマビル、スズメバチなどのサイトを参考にしましょう。こちらが、彼らの領域に踏み込んで行くわけですから、無理をしないようにしましょう。

大きな有名な森、たとえば屋久島などにはガイドがいます。まずはその方の案内で巡るのも良いでしょう。そのあと、友人と安全な所に入ってみましょう。いろいろ巡らなくて、一カ所に長く居ることを目的に。なにもたくさん巡ることが目的ではないのです。

STEP 3

森と一緒になる

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落ち着ける場所を見付けたら、目を閉じ、ゆっくりと呼吸し、次第に耳を開いて行きます。まず、近くでする音(5メートル範囲)や、目立つ音があれば、それに意識を集中します。
しばらくしてから(3から5分くらい)、聴く音の範囲を50メートルほどに広げてみましょう。次は100メートル。繰り返しながら、範囲をどんどん広げます。都会の森では、広げて行くと、車や電車などの交通音、都会全体の暗騒音などが入ってきますが、それでもかまいません。

音の範囲を広げて行くと、意識はその場所を超えて、地球の表面に在る一定の空間へと広がるでしょう。更にそれに連なる地球全体をイメージして行きます。そして、「いま自分はある一点にいる」という意識にも注目しましょう。もしかしたら、この過程で「音を聴く」という行為が消滅しているかもしれません。ただ、音の存在はわかるのですが。

実は、耳を開いて行くことで、他の感覚も開いて行くのです。
森の様々な事象、森の時間や空間を、森の一部となって感じる。努力して感じようとするのではなく、目を閉じ、ゆっくり呼吸し、漠然と音を聴いているうちにきっと解るようになります。できれば何度か日にちを変えてやるうちに、森に入ると感覚が開いて行くことが解るでしょう。

最初からできる人もいれば、音を聴く行為すら忘れている人もいます。焦らずに、何度かゆっくりとやってみてください。

【ブナの森1】

POINT

私たちは日常生活の中で、無意識に感覚を閉じて生活しています。それが続くと、感覚を開く事すら忘れてしまいます。子供たちはよりビビッドな感覚を持っているのに、教育の在り方では、それを閉じる方向に向かうこともあります。

実は、何かに集中して感覚を開いて行く時、同時に知覚の在り方も変わります。周りの空間の認知が変わってきます。
以前、きのこ採り名人の話を本で読みました。季節が来ると、テントを持ってひとり森に入り、何もしないで3日間森の中でひとり過ごすそうです。そうしているうちに感覚が開き、森と同化し、キノコは探さなくても、その存在が解るようになるそうです。キノコの存在を感知しているようです。
また、プロサッカー選手の話で、試合に集中していると、何かを見るとか聴くといった単体の事では無く、全感覚で全体を感知していて、自分の後ろで起きていることも解るそうです。

MATOME
まとめ

「耳を澄まし、森の音を聴く」。それは、自らの感覚を開いて行く方法の一つです。日頃閉じている感覚を開き、解放してあげる。森という空間はそれに最適な場所でもあります。
「森と同化する」。それは、人間の一方的な接し方ではなく、森に生きる様々な植物や生き物の存在を感じることでもあります。

できれば、季節を変えて同じ森へ行ってみてください。一年を通しての森の生き方、在り方が解ってきます。森とうまく付き合えるようになれば、森の空間にただ身を浸すだけで、森という生き物からいろいろなことが伝わってきます。ゆっくり、そっと、息をして森の空間を楽しんでください。

GROW CHART
成長スコアチャート
野性3
3知性
5感性
アクティビティ
聴く
環境
山 ・ 森 ・ 公園
季節
春 ・ 夏 ・ 秋 ・ 冬
所要時間
30分~60分
対象年齢
小学生高学年以上
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