大学卒業後、天文博物館五島プラネタリウムに就職。現在株式会社東急コミュニティー運営のコスモプラネタリウム渋谷でチーフ解説員として日々宇宙を語っている。NHKラジオ第一「子ども科学電話相談」の天文・宇宙関連を担当。東京新聞連載「星の物語」を執筆中。「星と宇宙の不思議109」「太陽系の不思議109」偕成社、「はじめよう星空観察」NHK出版、「カリスマ解説員の楽しい星空入門」筑摩書房など多数出版。
星座は誰のものでもありません。見上げればいつでも見ることができます。
しかも星座ができたのは今から数千年以上も昔。いにしえの人々と同じ星座を、私たちは見ることができるのです。絵や彫刻などは歴史とともに風化してしまいますが、星座は当時と変わらず輝いています。
私たちが見ている同じ星座を、昔見上げた人々がいたと想像すると、わくわくした気持ちになりませんか?
一度覚えると一生楽しめるのも星座の魅力。さあ、今夜から星座探しをしましょう。
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およそ5000年前のメソポタミア、現在のイラク付近で星座は生まれました。太陽の通り道の背景にある星を暦替わりにしたのがはじまりです。誕生日の12星座ができ、その後ギリシャ神話と一緒になり、夜空は神話に登場する星座で埋め尽くされていきました。
現在世界共通で使われているのが全天88星座。そんな歴史のある星座を、ぜひ探してみましょう。
星座探しに必要なのは、想像力と根気。それ以外にこんなものがあれば、さらに楽しくなるはずです。まずは星座早見盤。小学生の時に触ったことがあるという方も多いはず。見たい時間と方角を合わせて使います。もしも家に方位磁石があれば、方角を確かめるのにお持ちください。本格的に星座探しをしたい方は、寝転がって見るのにシートがあると良いですし、秋冬は防寒具も必要です。夜食もあったほうが良いですね。
最近は星座探しのスマートフォンアプリもたくさん出ています。
たとえば「星座表」や「88星座図鑑」など。ぜひ活用してみてください。
星を見る時は、できるだけ暗い場所が良いので、まずは近くの公園など、灯が直接目に入らない場所を見つけましょう。少し遠出をする場合は、キャンプ場や道の駅、また天体望遠鏡があるペンションなどもおすすめです。最近は星のイベントも各地で多くやっているので、調べて出かけてみるのも良いと思いますよ。
季節ごとの星座探しを紹介します。
春は宵空高くに北斗七星が輝いています。北斗七星はおおぐま座のしっぽの星。ここから大きなカーブを描き、うしかい座のアルクトゥールス、おとめ座のスピカとたどれば春の大曲線がみつかります。
夏は「夏の大三角」を見つけしょう。
七夕の織姫星が、こと座のベガ。お相手の彦星は、わし座のアルタイル。北十字星と呼ばれる星の並びが、はくちょう座。はくちょう座のデネブとベガとアルタイルを結んで夏の大三角の出来上がりです。織姫星と彦星の間には天の川が輝いていますので、これもおすすめです。
秋はペガスス座の胴体にあたる「秋の四辺形」から探しましょう。
暗い星ぼしの多い秋の星空ですが、ペガスス座のとなりにはアンドロメダ座、近くにはWの星の並びのカシオペヤ座、さらにペルセウス座やくじら座。全て古代エチオピア王家の物語に登場する星座ばかり。昔の人は秋の空にエチオピア王家の壮大な物語を思い描いたのです。
冬は明るい星が多いので、星座探しにはもってこいです。
オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン。明るい1等星を結んだ三角が冬の大三角。
さらにオリオン座のみつぼしを伸ばすと、おうし座のアルデバラン、近くにはふたご座など明るい星が目白押し。きっと星座探しが楽しくなるはずです。
夜空に輝く星座を見つけたら「やった!レポ」に投稿して、みんなと体験をシェアしませんか?質問や感想はコメントに記入してください。
私はNHKラジオ第1夏休み子ども科学電話相談で、天文担当をしているのですが、毎年「宇宙の果ては?」「宇宙人はいるの?」など必ず子供からくる質問があります。しかし宇宙のことはまだまだわからないことだらけ。謎を解き明かそうと今も多くの天文学者が観測を続けています。
私もそんな謎を知りたいと天文学を勉強しましたが、宇宙を知れば知るほど地球の素晴らしさがわかってきました。地球はこんなにたくさんの星がある中でたった一つ、私たちが生きることができる星です。それを教えてくれたのは宇宙。人は地球というかけがえの無いホームを知るために宙を見上げるのです。
●もっと星座を知りたい人へオススメ参考文献
「星と宇宙の不思議109」(永田美絵 著/偕成社)https://goo.gl/N9qZfs
「太陽系の不思議109」(永田美絵 著/偕成社)https://goo.gl/fnezQK
「はじめよう星空観察」(永田美絵 著/NHK出版)https://goo.gl/txB3JS
「カリスマ解説員の楽しい星空入門」(永田美絵 著/筑摩書房)https://goo.gl/vSp3fz
●コスモプラネタリウム渋谷:http://www.shibu-cul.jp/planetarium