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自然を感じ HapticScape(ハプティックスケープ)を描こう

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岡崎太祐/仲谷正史

慶應義塾大学 SFC TOUCH LAB
触感に気を配って「歩き心地」を視覚化しよう

自然の中に入っていくと、風景に目を奪われるだけでなく、身体や足でもいろいろな心地を感じ取ります。砂利道や落ち葉道のような音が聞こえてくる道もあれば、芝生や砂地の沈み込み方、ぬかるみで体のバランスが不安定になるなど、全身でその土地を感じることができます。目に見える光景だけでなく、大地を踏みしめる感覚から、自然をより深く味わってみませんか?

実際に自然の中に足を運んで、身体で得たその土地の体験を、HapticScape(ハプティックスケープ)と呼んでいます。このHow toでは、自然を通して得られる多様な触感を視覚情報に置き換えて、主観的な感覚である「歩き心地」をHapticScapeとして描きます。自分の主観的な体験を俯瞰して眺めてみることや、他の人と共有することを目標に取り組んでみましょう。

HapticScapeをつくる手順は大きく3つに分かれます。第一に、自然の中に分け入って「歩き心地」をゆっくりと確かめます。そして、その体験を視覚的なハッチングで表現し、記録してゆきます。ここでいうハッチングとは、線画によるテクスチャのことを指しています。第二に、歩いた自然の中で、特に印象残った場所の風景をスケッチとして描きます。最後に、はじめに記録したハッチングを、描いたスケッチに書き込みます。

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READY
準備するもの
  • 色鉛筆、またはペン

  • 画板

  • A4用紙(ハッチングパレットを印刷するため)

STEP 1

ハッチングパレットを印刷する

  • 印刷したハッチングパレット

はじめにハッチングを記録する「ハッチングパレット」を以下からダウンロードし、A4用紙に印刷します。
https://d37eorbo3zl63f.cloudfront.net/public/images/howtos/159/hatchingpalettes.pdf

印刷した用紙は、上半分がスケッチをするエリア、下半分がハッチングパレットになっています。もっと大きなエリアが欲しい場合は、A3用紙に印刷するか、画用紙に線を引くなどしても構いません。スケッチする用紙、ハッチングを描く用紙の2枚に分けても構いません。

印刷した用紙は、画板に挟んでおきます。次に、ハッチングを描くための、色鉛筆(またはペン)を用意します。鉛筆やサインペンなどを使い、白黒で表現することもできます。

STEP 2

気になる触感を五感で見つける

  • 波打ち際で靴が水に吸い付く感じ
  • 潮の満ち引きを感じさせる砂浜の起伏
  • 波打ち際から少し離れたフカフカな砂浜
  • 防波堤際に波が打ち返し交わっている
  • 海に太陽が照りつけている

自然の中に分け入って、いろいろ歩きまわり、「歩き心地」をゆっくりと確かめます。目に見えたものに思わず心を奪われるかもしれませんが、足元にもたくさんの自然が隠れています。踏み心地や、そのときに聞こえてくる音、匂いなどにも気を配ってみましょう。

POINT

ゆっくりと歩みを進めて、どんな感覚がするのか、楽しみながら探索してみましょう。どんな触感のハッチングが描けるかを考えつつ、探索を進めてみましょう。STEP3のハッチングを描く作業と並行しながら進めると、微妙な感覚の違いに気づきやすくなります。

STEP 3

気になる触感のハッチングを描く

  • 砂浜を踏みしめる感じが気になった
  • 表面はフカフカ踏みしめると受け止められる
  • 1時間歩いて集めたハッチング

ひとしきり散策をしたら、気になった触感をハッチングパレットに、視覚的に表現してゆきます。また、そのハッチングに名前をつけてゆきます。

見た目を真似るだけでなく、身体で感じた第一印象も含めてハッチングで表現してみましょう。ハッチングを描く際には、見た目からだけでなく、<凸凹(デコボコ)><粗さ滑らかさ><乾湿><温冷>に代表される触感の要素にも注目すると、表現のアイディアが出やすいかもしれません。描いたハッチングには自分なりの名前をつけてあげましょう。STEP7での振り返りがさらに面白くなります。

少し時間をかけて、いろいろな触感のハッチングを集めましょう。

STEP 4

風景の下絵をスケッチする

  • 海岸から見える江の島の風景
  • 砂浜で感じた複数の触感を描くことに

次に、用紙の上半分のエリアに、印象深い風景を下絵としてスケッチします。うまくなくても大丈夫。どんなところが気になったのか、触感が変わっていたところに気を配りながら、絵を描きます。

STEP 5

下絵をハッチングで塗り絵をする

  • ハッチングでカラフルに塗られていく下絵

次に、スケッチした風景の下絵に、集めたハッチングで、塗り絵をしていきます。ハッチングを細かく書き込んでゆけるように、安定した台があると良いでしょう。

STEP 6

仲間と見せ合う

下絵にハッチングを描き終えたら完成です。もし仲間と一緒に散策していたら、どんな風景になったのか、お互いに見せ合ってみましょう。同じところを散策していても、集めたハッチングによって、風景の印象が違っているかもしれません。その差異を楽しみながら、どんなところに注目していたのか、ハッチングの名前も尋ねながら話し合ってみましょう。

STEP 7

『やった!レポ』に投稿しよう

  • 砂浜を歩いて足に感じたハッチング(1)
  • (1)のハッチングで描いた風景
  • 波打ち際から水平線までの海の表情(2)
  • (2)のハッチングで描いた風景
  • 単色のペンで描いたハッチングと風景

完成したハッチングパレットと、ハッチングで描いた風景を写真に撮って、「やった!レポ」に投稿しましょう。How toを行った場所の情報や、面白かった感触、体験を通して気づいたことがあれば、コメントにも記載してみんなにシェアしましょう。

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MATOME
まとめ

足からやってくる触感のように、普段あまり気持ちを向けない感覚を意識して、ハッチングのような記号に外在化するだけで、多様な自然の様子を浮かび上がらせることができます。何気なく歩いている道にも、たくさんの感覚が落ちていることに気づくことができたのならば、How toは成功です。一人で様々な場所を散策してみるのもよいですが、おすすめは複数の友達と一緒に歩いてみて、同じ風景がどれだけ多様に感じられているかを眺めることです。デコペンのような小道具を使って、立体的にハッチングを描いてみるのも楽しい試みです。ぜひ皆さんも挑戦してみてください。

このHow toに興味を持った方にオススメ書籍
『触楽入門 (仲谷正史/著, 筧康明/著, 三原聡一郎/著, 南澤孝太/著_, &1その他) 』朝日出版社
https://goo.gl/dM2jr4

参考文献:
諏訪正樹, 筧康明, 西原由実.(2014).Onomatopace:足触り触感を磨く感性ツールデバイス,人工知能学会第17回身体知研究会,SKL-17-02 (pp. 6-16).
( 諏訪研究室ホームページ:http://metacog.jp/masaki-suwa/

GROW CHART
成長スコアチャート
野性2
4知性
5感性
アクティビティ
感じる
環境
山 ・ 川 ・ 森 ・ 街 ・ 田畑 ・ 海 ・ 公園
季節
春 ・ 夏 ・ 秋 ・ 冬
所要時間
1時間~3時間
対象年齢
小学校中学年以上
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