慶應義塾大学SFCにてHCI(ヒューマン・コンピュータ・インタラクション)とデジタルなものづくりとを学ぶ傍ら、友人とDIYグループ「乙女電芸部(おとめでんげいぶ)」を立ち上げ、ワークショップなどを多数開催する。山口情報芸術センター[YCAM]に着任後は、YCAMで発表されるメディアアートの映像やデバイスのエンジニアリング、リサーチなどを担当。2017年3月よりサンフランシスコ Exploratorium にて研修中。言葉や物語の持つVR/AR的機能に着目し、体験者の身体に「イメージや体感」として残り続けるコンテンツの在り方と、それを支えるテクノロジーついて模索している。
正確な数値は必要ないけど、「この棒の大体の長さを知りたい」「ここからあそこまでの大体の距離を知りたい」というシチュエーション、結構あるんじゃないでしょうか?しかし、そういう時にいつも定規や巻尺を持っているとは限りません。ましてや、山や森などの自然のなかでは尚の事。
「身体ものさし」をインストールしておけば、その場ですぐに「ざっくり」とした長さや距離を知ることが出来ます。さらに、そのものさしを組み合わせれば 、定規や巻尺では到底測ることができない高い木や建物の高さも「ざっくり」測ることが出来てしまいます。
このHow toでは、使いやすい2つの「身体ものさし」を身体にインストールする方法と、その2つのものさしを組み合わせた「間接測定」の方法を紹介します。
はじめに、手を(1)の画像と同じような形にしましょう。このHow toでは、この手の形を「手ものさし」と呼びます。次に(2)の画像のように、この状態の親指と小指の距離を、巻尺で測ってみましょう。これがあなたの「手ものさし」の長さです。
友達や家族にも同じように測ってもらって、みんなでその長さの違いを比べてみましょう。
手を何度も同じ形にして、毎回同じ長さが作れるように練習してみましょう。自分の身体に教えるように、何度も同じ形を手で作って測ります。また、目で手の形を確認するだけでなく、「手ものさし」を作っている時の「手の感覚」も覚えるようにしましょう。毎回大体同じ長さが作れるようになれば、インストール完了です。
インストール出来た「手ものさし」で、自分の腕や足、木の枝など身の回りのものを測ってみましょう。
次に、自分の自然な歩幅の長さを巻尺で測ってみましょう。また、友達や家族にも同じように測ってもらって、みんなでその長さの違いを比べてみましょう。
地面に1mのしるしを付けて、そのしるしに合わせて足を開いてみましょう。自分の身体に教えるように、身体がどんな張り具合かを感じながら1mの歩幅を作ります。自分の自然の歩幅と1mがどのくらい違うのか、その違いを意識する事も、このインストール作業に役立ちます。何度も繰り返し、毎回大体1mの長さの歩幅が作れるようになれば、インストール完了です。
覚えた「1m歩き」を使って、木と木の間隔、標識や看板までの距離など、色々な距離を測ってみましょう。
「手ものさし」と「1m歩き」を組み合わせて 、木や建物の高さを「間接測定」でざっくり測ってみましょう。はじめに、測定の目標となる木や小屋などを決めます。目標が決まったら、少し離れたところで、(1)の図を参考に、片腕を伸ばして「手ものさし」を作ります。このとき、親指の爪と目線が大体同じ高さにくるようにします。そして、伸ばした腕と反対側の目を閉じます。
このポーズを保ったまま、目標の高さが「手ものさし」の親指と小指の長さと同じになる場所を探します。場所を探すときは、転んだり人とぶつかったりしないよう、周囲に注意しながら動くようにしましょう。良い場所が見つかったら、そこにしるしを付けておきます。
次に、高さを計算するため、必要な情報を2つ測ります。1つめの情報は「腕の長さ」です。腕を伸ばして「手ものさし」で長さを測り、紙にメモしておきましょう。2つめは、「目標までの距離」です。先ほどしるしを付けた場所から、「1m歩き」で目標まで近づき距離を測り、同じように紙にメモしておきましょう。
これで、必要な情報が出そろいました。(2)の計算式を使って、目標の高さ(X)を計算してみましょう。
「身体ものさし」を身につけたら、実際の「手ものさし」や「1m歩き」の写真を撮って、「やった!レポ」に投稿してみましょう!How toを通して、感じたことや気づいたことなどがあれば、コメントも添えて、みんなにシェアしてください。
長さ、大きさ、距離などの情報は、その対象に対するイメージを明確にするためにとても重要です。イメージが明確になると、対象を記憶 / 記録しやすくなったり、対象を見ていない人に説明しやすくなったりと、その対象のイメージを「持ち運び」しやすくなります。しかし、山や森などの自然のなかでは、せっかく沢山の情報で溢れているのに、普段使っている道具がきちんと使えなかったり、持ち合わせていなかったりすることも多いでしょう。
このHow toでご紹介した「身体ものさし」は、定規や巻尺などの道具と比べると正確性は劣るものの、「自分自身の身体」という最小限の道具で情報を得られ、実感として「長さ、大きさ、距離など」の情報を感じることが出来ます。
「身体ものさし」は定期的に使い続けることで、いつでもどこでも使える使い勝手の良い道具になってくれるだけでなく、世界をもっと「丁寧に見る / 感じるクセ」をつけることに一役買ってくれるかもしれません。ぜひ、みなさんもこのHow toを参考に、「身体ものさし」をインストールしてみませんか?