東京都豊島区生まれ。1994年より東京環境工科専門学校の前身である東洋工学専門学校において、フィールドインストラクター・専任講師として自然環境保護保全系人材養成にかかわる。2003年より国際自然大学校へ。子供から大人までを対象としたアドベンチャー教育や環境教育、アウトドアクッキングなどのプログラムをプロデュース。企業や青少年教育団体向けに、自然体験活動の安全管理についての講演活動などをしている。NPO法人東京都キャンプ協会理事、NPO法人川に学ぶ体験活動推進協議会理事。「自然体験は特別な自然でなく、身近な自然の変化に気づくきっかけ作り。自然を知ることは、日本人としての伝統や文化を理解する基礎となる」。
森を歩きながら、どんなところにカブトムシやクワガタムシが来るか観察し、採集してみましょう。ただやみくもに歩くのではなく、木々をじっくり観察してカブトムシやクワガタムシが好む木を見つけます。クヌギやコナラの樹液に集まると図鑑には書かれてますが、森の中で実際見分けることができるでしょうか?目で見て探す採集は、雑木林で樹液を出す木を探すことからはじまります。「カブトムシ・クワガタムシを探す」というよりも「樹液が出ている木を探す」という感じです。*注意:夜、雑木林に採集に入る場合は、危険な場所や通れない場所、暗いとわかりにくい場所を、明るいうちに確認しておきましょう。夜いきなり行くと森の中で迷ったり、思わぬトラブルに遭遇することもあります。*注意:虫刺されや怪我の予防を考えて、適した服装、準備(虫よけ、帽子、タオル、長袖長ズボン、手袋、運動靴など)をして出かけましょう。また、水分をよく摂取し体調管理には気を付けて活動しましょう。
カブトムシなどが好む森には、どんな木が生えているでしょうか?地域によっても少し違いがありますが、代表的なのはクヌギ、コナラ、ヤナギなどの木などです。これらの木を見分けるポイントは、木の幹と葉のカタチ、そしてドングリ!
採集に小さなお子さんを連れて行く場合は、なるべく地面が平らで開けた雑木林に行きましょう。斜面があったり、やぶが深いと思わぬケガをすることがあります。
また、森の中には触ると痒くなる植物や、ハチやブユなどの刺す虫もいます。カブトムシのエサにはハチが寄って来ることもあるので十分注意しましょう。
しっかりと装備をして森の観察に出かけましょう。
・スズメバチ:スズメバチが近くにいたら、たとえカブトムシがいても手を出すのはあきらめましょう。
・ヘビ:マムシやヤマカガシのように毒があるヘビもいるので、見分けがつかなければ近づかないようにしましょう。
<クヌギとコナラの特徴>
・クヌギ:クヌギの幹は濃い灰褐色で、デコボコがはっきりしてます。似たような木もあるので、次に見るのは葉です。葉先が少し尖っていて、縁はギザギザ状です。最後はドングリ。根元に落ちている昨年のどんぐりを探してみます。
・コナラ:コナラの幹もクヌギほどでないけど、それなりにデコボコして、縦に大きめの茶色の筋が見えます。コナラの葉はゆるやかなたまご型といった感じ。ドングリはまる長です。
カブトムシが集まりそうな木のポイントは、樹皮が傷ついていて樹液が出ていたり、樹皮が剥がれて中の木肌が見えている木などです。カブトムシは、クヌギやコナラといった広葉樹から染み出る樹液が好物です。樹液のまわり、木の葉っぱや枝の裏、その影など外敵から身を守りやすそうな場所も観察しましょう。
夏の太陽に照らされ発酵し甘酸っぱい匂いが発散される樹液に、虫たちは引き寄せられます。昼間はカナブンやチョウなどが集まっています。樹液が垂れているのを見つけたら匂いを嗅いでみましょう。
樹液場を見つけられたら、その場所を覚えておきましょう。採集は昼間よりも夜の方が良いので、その場所にまた来られるようにしましょう。
カブトムシなどの昆虫は、昼間は樹液が出ている木の根本まわりの土の中や落ち葉の中で休んでいることがあります。クワガタは洞の中で休んでいたりします。いきなり手を突っ込んだりせずに、棒やピンセットなどでやさしくつついてみましょう。
細めの木だと、揺れた拍子に見えない高い場所にへばりついているカブトムシが落ちてくることがあります。木を何度か蹴ってみましょう。(ケムシが落ちてくることもあるので注意してください。)
カブトムシは基本的に夜行性、日が暮れる頃からが彼らの活動タイムです。実際に採集に適した時間は、夜17~22時、朝だと4~7時くらいでしょう。ただ、日没前や日が昇っている時間帯にも、樹液にカブトムシがいることもあるので、夜しか捕れないわけではありません。下見で見つけることもあります。
さあ、森を歩きながら時々立ち止まって、耳を澄まします。カブトムシは大きな羽音を立てて飛ぶので、羽音が聞こえたら近くにいる可能性があります。最大の採集ポイントは、樹液とその周辺。樹液が染み出ている部分はもちろん、そのまわりをじっくりと探しましょう。
見つけたら逃げないうちに素早くつかまえて、虫カゴの中に入れましょう!カラダの横側を親指と人指し指でつまむようにするといいでしょう。オスなら後ろの角を持って引っ張ってもいいですが、折れてしまうことがあるのでご注意ください。また、角を持って捕まえると羽ばたくことがあるのでビックリして離さないようにしましょう。
子どもたちにとって、大好きなカブトムシなどの昆虫採集は、昆虫や野生動物の生活、自然と命のつながり、また尊さを知る貴重なきっかけになるでしょう。ただ、採集した昆虫をお家で飼育するには、生き物を飼う責任感が必要です。持ち帰る前によく考えましょう。