2018.09.1392929 views

身近でできる宝探し!川原で天然石「ガーネット」を探そう

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柴山元彦

自然環境研究オフィス代表理学博士
原石を探し出し、自然から作り出される壮大な成り立ちを想像しよう

水晶(すいしょう)、ヒスイ、ガーネット、……。
憧れの天然石は、実は近くの川原や海辺で簡単に見つけられるのを知っていますか?特に日本は、石の種類が豊富で「石の標本箱」とも言われており、世界で約4,500種あるとされる鉱物のほぼ半分以上が日本で見つかっています。これらは、おおよそ何億年も前に自然によってつくり出されたもので、長い年月を経て削り出され、私たちにも比較的アクセスしやすい川原や海辺などに流れ着きます。天然石(一部を除きほとんどが鉱物)を手にすることは、いわば地球の成り立ちに触れるきっかけになります。

第1弾では、川原や海辺で比較的簡単に見つけられる天然石「水晶」の探し方を紹介しました。
身近でできる宝探し!川原や海辺でキレイな天然石を探そう
https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/155

第2弾では、深い赤色が美しい天然石「ガーネット(ザクロ石)」を探すふたつの方法を紹介します。ひとつは、川原にある石に含まれているガーネットを探す方法。もうひとつは、「パンニング」という手法で、砂の中に埋もれているガーネットを探し出す方法です。

ガーネットは、1月の誕生石でもある宝石ですが、身近な川原でも見つけることができます。特にガーネットは、いろいろな種類の石に含まれています。石の種類が違えば、その成り立ちも違います。自分で見つけたガーネットを観察しながら、あなたの手元にたどり着いた壮大な旅を想像しながら、地球の成り立ちに思いをはせてみませんか?

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準備するもの
  • ハイキングの服装などがおすすめ

  • 陽よけの帽子

  • 汗や手を拭くタオル

  • <必要なもの>

  • パンニング用のパン(皿状のもの)

  • 篩器

  • 小さなスコップ(シャベル)

  • ルーペ(10~15倍くらい)

  • ナイロンの小袋

  • カメラ(写真が撮れるスマートフォン)

  • 軍手

  • <あったら良いもの>

  • 磁石

STEP 1

ガーネットとは?

  • 安山岩に含まれるガーネット(大和川)
  • 花崗岩に含まれるガーネット(阿武隈川)
  • 結晶片岩に含まれるガーネット(関川)

いろいろな岩石に含まれているガーネットは、比較的見つけやすい天然石のひとつです。いったいガーネットは、どのようにできるのでしょう?それは、地球で起こる火山活動やプレート移動が大きく影響しています。

ガーネットは、マグマが地表に流れ出て冷えて固まってできる「火山岩(安山岩、流紋岩)」や、マグマが地下深くでゆっくり冷えて固まってできる「深成岩(花崗岩)」、マグマの熱で変化してできる「変成岩(結晶片岩、片麻岩)」などが生まれる際に、岩石の中に含まれるようにして作られます。また、海や川原などで、砂や泥、岩くずなどが固まってできる「堆積岩(砂岩)」の中にも含まれます。

火山やプレートの活動の盛んな日本では、これらの岩石が多くの地域で見られるため、ガーネットが見つかる可能性も高くなります。

STEP 2

いろいろな種類のガーネット

  • 赤みが強いガーネット(アルマンディン)
  • 薄いピンクのガーネット(アルマンディン)

ひとことで「ガーネット」といっても、実は含まれる化学成分によって、いろいろな種類があります。たとえば、鉄とアルミニウムを含むものは、赤みが強く黒に近い色をした「アルマンディン(鉄礬ザクロ石)」。不透明なものが多いのですが、半透明で強い輝きを持つものやピンク色のものも見られます。日本の川原で見つかるガーネットは、アルマンディンが多いようです。

このほかにも、含まれる化学成分によって、分類することができます。
・スペサルティン(満礬ザクロ石):マンガンとアルミニウムを含む、橙色
・パイロープ(苦礬ザクロ石):マグネシウムとアルミニウムを含む、赤色
・グロッシュラー(灰礬ザクロ石):カリシウムとアルミニウムを含む、無色、ピンク、褐色、緑や黒色など
・アンドラダイト(灰鉄ザクロ石):カリシウムと鉄を含む、暗い赤、黄褐色、黄緑色
・ウバロバイト(灰クロムザクロ石):カルシウムとクロムを含む、緑色
これらは、ガーネットが作られる際に、元となる成分によって異なります。

STEP 3

どんなところで見つかるの?

  • (1)手頃な石が広がる川原
  • (2)砂が多く堆積する川原
  • (3)石に含まれるガーネット
  • (4)砂の中から見つけたガーネット
  • (5)砂の中から見つけたガーネット

ガーネットを探すには、石ころが広がっている川原がおすすめです。日本の川は急流が多く、浸食作用が激しいため、流域の岩石が削り出されて運搬され、私たちにも比較的アクセスしやすい川原に流れ着きます。また川原では、岩石から削り出されたガーネットの粒が、砂に紛れて堆積しているため、パンニングという手法で採りだすことができます。写真(1)は手頃な石が広がる徳島県 吉野川、写真(2)は砂が多く堆積する静岡県 天竜川です。

実際に川原で拾ったガーネットの写真も紹介しています。
写真(3)大阪府 大和川の、川原で見つけた石に含まれるガーネット(大きさ1~5mm)
写真(4)奈良県 室生川の、川原の砂の中から見つけたガーネット(大きさ1~3mm)
写真(5)三重県 青山川の、川原の砂の中から見つけたガーネット(大きさ1~3mm)

STEP 4

目的地を決めて下調べしよう

  • 河口付近に砂が多く堆積(砂嘴)している所
  • 川の曲流している内側の石が堆積している所

出かける前には必ず下調べを行い、おおよその目的地を決めておくようにしよう。インターネットや紙の地図などを使って、石がたくさん転がっていそうな場所を探します。特に、河口付近に砂が多く堆積(砂嘴)している所や、川が曲流している内側の石が堆積している所などが狙い目です。

また同時に、立ち入りが可能な場所かどうか、川原に降りられる場所かも確認しておくようにしよう。特に、私有地や管理されているエリアの場合、立ち入る際には必ず管理者の許可を取ることを忘れずに。また、川の側であれば、どこでも川原に降りられそうな気がしますが、実際に降りられる場所を見つけるのは大変です。現地へ出かけてから探すとなると、時間もかかってしまいます。あらかじめ調べておくようにしよう。

STEP 5

石に含まれているガーネットを探す

  • (1)花崗岩に含まれているガーネット
  • (2)片麻岩に含まれているガーネット

いよいよ実際に川原へ降りて、ガーネットを探します。はじめは、川原に落ちている石の中から、ガーネットが含まれるものを探します。

たくさん落ちている石の中から、白色、灰色や縞模様の石を手に取り、石の中に斑点状の赤く丸い粒がないかを探します。石の中に含まれるガーネットは、褐色~赤色~赤黒色をしています。

画像(1)は、白色の石(花崗岩)に含まれているガーネット
画像(2)は、縞模様の石(片麻岩)にたくさん含まれているガーネット

ガーネットを含む石が見つかったら、その川原の砂からも高い確率でガーネットの粒を見つけることができます。次のSTEPでは、「パンニング」という手法で、砂に紛れて堆積したガーネットの粒を採り出します。

STEP 6

砂に紛れて堆積したガーネットを探す

  • (1)大きな石の下流側の砂を採る
  • (2)篩器の穴から砂をパンに落とす
  • (3)篩器に残った粗い砂を捨てる
  • (4)パンを回し、軽い比重の砂を外へ流す
  • (5)重い比重のガーネットが残る

「パンニング(わんかけ)」とは、「パン」という器を使って、たくさんの砂の中から比重の重い鉱物を取り出す方法です。

鉱物は、種類によって比重(水と比較した時の重さの比率)が異なります。最も比重の重い鉱物は金で、水の約19倍もあります。ガーネットは、約4.3倍です。砂には、約2.5倍前後の比重の鉱物が多く集まっているため、それよりも比重の重い砂金やガーネットは、パンニングによって採り出すことができます。

パンニングを行うには、3つの道具(パン、篩(ふるい)器、スコップ)が必要です。パンは、インターネットショップなどで専用のものを購入することもできますが、100円ショップなどにある植木鉢の底に置く器で代用することもできます。篩器も、100円ショップにある、ガーデニング用のもので代用できます。スコップは、手職のような小さなシャベルがおすすめ。

いよいよパンニングで、砂に紛れて堆積したガーネットを探します。はじめに、川原の砂が溜まっていそうなところへ行き、そのあたりに大きな石があれば、写真(1)のように、石の下流側の砂をスコップで採ります。そして、準備したパンの上に篩器をのせて、その中にスコップの砂を入れます。

次に、写真(2)のように、パンと篩器を水の中に浸けて揺すり、篩器の穴からパンの上に細かい砂を落とします。写真(3)のような篩器に残った粗い砂は、そのまま川に戻します。

続いて、写真(4)のように、パンの中に入った砂を水の中でゆっくり回します。すると、比重の軽いものは上に、比重の重いものは下に分かれます。この状態で、パンを手前に引き上げ、表面の軽い砂を外側へ流していきます。同じ作業を繰り返すと、写真(5)のように、比重の重いガーネットなどの鉱物だけが残ります。真っ黒な細かい粒状の鉱物が残ることもありますが、これはほとんどが磁鉄鉱です。

STEP 7

ガーネットを観察しよう

  • 水と一緒にナイロンの小袋に入れる
  • 明るい光に透かして観察する
  • ルーペで観察する
  • 大きいものは結晶の形を観察する

ガーネットが見つかったら、ルーペなどでじっくり観察してみよう。水と一緒にナイロンの小袋などに入れると、明るい光にすかしたり、ルーペで拡大したり観察しやすくなります。大きなものは、結晶の形がわかるものもあります。

川原で見つけられるガーネットは、1~3mmくらいまで。それでも、自分できれいな天然石を探し出した時の喜びは、何ものにも代えられません!

STEP 8

写真を撮って『やった!レポ』に投稿しよう

せっかく見つけたガーネット、デジタルカメラやスマートフォンで写真を撮って記録に残そう。カメラに接写(マクロ撮影)機能があれば利用すると便利です。市販のスマートフォン用のマクロレンズを利用したり、携帯電話とルーペを組み合わせて撮影することもできます。

写真が撮れたら、『やった!レポ』に投稿してみんなとシェアしよう!拾った場所の情報や、ガーネットの色や形など、気づいたこともコメントに添えて教えてください。

最後に、じっくり観察を終えたガーネットは、できるだけ元あった場所に戻して帰るようにしよう。

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まとめ

皆さんも、きれいなガーネットを見つけることができましたか?川原で見つけたガーネットは、アクセサリーに使われている宝石ほど輝いてはいないかもしれませんが、世界でたったひとつのあなたが見つけた宝物です。マグマの活動によって、いろいろな奇跡が重なり生まれたときから、きっと数千万年から数億年の月日をかけて、あなたの手元にたどり着いたに違いありません。その成り立ちを想像しながら観察し、自然の輝きを楽しんでください。

また、ガーネットをはじめとする天然石について、もっと詳しく知りたい方は、書籍もご覧ください。
『こどもが探せる川原や海辺のきれいな石の図鑑(創元社)』
http://amzn.asia/d/21TBTHl
『ひとりで探せる川原や海辺のきれいな石の図鑑(創元社)』
http://amzn.asia/d/gmSPhP6
『ひとりで探せる川原や海辺のきれいな石の図鑑2(創元社)』
http://amzn.asia/d/gnaUoqP

注意事項
※私有地や管理されているエリアでの採集は、必ず管理者の許可を取りましょう。
※川原で採集した石は、観察を終えたら、元の場所に戻して帰るようにしよう。
※川原などの水辺では、水難事故に注意し、必要であればライフジャケットなどを着用しよう。

GROW CHART
成長スコアチャート
野性3
4知性
4感性
アクティビティ
探す
環境
季節
春 ・ 夏 ・ 秋 ・ 冬
所要時間
30分~60分
対象年齢
小学校低学年以上
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コメント
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    2024.03.13 12:22

    コツを教えてください。

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