2019.01.2410947 views

暗闇で非日常体験!裏山でビバークしてみよう

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編集長 岡村祐介

WILD MIND GO! GO! 編集長
闇夜を楽しみ、自然のなかで身を守る技術を身につけよう

「ビバーク」という言葉をご存知でしょうか?山登りをしている人なら聞いたことのある言葉だと思いますが、悪天候や道迷いなど想定外の状況によって、野外で一晩を過ごすことを登山用語でビバークと言います。ビバークは自然のなかで身を守る大切な技術です。
想定外の状況下、焦らず慌てず行動するのはなかなか難しいものです。私自身、山中で道に迷いヘッドライトをつけて1人歩いた時は、はたして人里に帰ることができるだろうかと焦りまくってしまったものです。この体験は、闇夜を積極的に楽しみながら、緊急時に野外で一晩を過ごすビバーク技術を身につけようというものです。
実際に一晩を過ごしてみるのもよいですが、まずは、確実にそして安全に帰ることができる場所で、暗闇のなか少しの間まどろみ、想定外の状況を身近なものにしてみましょう。日が沈んだ森の中で、テントなど何も遮るものがない状況で大地に伏せるということは、私のような現代人にはそれだけでも不安なことで、この不安が感覚を鋭敏に働かせ、きっと特別な体験となるはずです。

*このHow toはWILD AND NATIVE代表・川口 拓さんに監修していただいています。

READY
準備するもの
  • ヘッドライト

  • シュラフ

  • シュラフカバー

  • スリーピングマット

  • 敷物(レジャーシートなど)

  • 飲み物

  • 行動食(おやつ)

STEP 1

ビバークに必要なものを準備しよう

  • ビバークに必要なもの

ビバークに必要な装備は、個人、季節や場所、特に気温によって変わります。寒さに対する対策をしっかりして、体温を維持することがとても重要です。
本来であればツェルトと呼ばれる簡易的なシェルターは必携ですが、自然のなかで横になることを楽しむために、今回の体験ではツェルトは持たず、写真にある、ヘッドライト、シュラフ、シュラフカバー、スリーピングマット、敷物(レジャーシートなど)と、適宜飲み物(寒い時期は暖かいもの)、行動食(おやつ)を持っていきましょう。季節によっては、虫除けなども必須です。

STEP 2

ビバークに適した場所を探そう

  • ロケーション選びがすべてとも言える

まずは体験をするロケーションを決めます。土地勘がある場所や、いざという時すぐに帰ることができる場所を選びましょう。車を停めてちょっと歩いた場所なども安心です。
ビバークするエリアに着いたら、暗くなる前に寝床となる場所を探します。ビバークは、実はロケーション選びがすべてと言っても過言ではありません。少し細かくなりますが、以下の点に気をつけてロケーションを選びましょう。

●避けるべき場所
・沢沿い:増水などの危険があるだけでなく、冬は気温が非常に下がり、夏は虫が多く出ます。
・斜面や崖のそば:滑落や落石の危険があります。
・尾根や山頂:雨風が強くなり、標高が高い場合や気温が低い時には体温が奪われます。
・枯れ枝の下:頭上を見て枯れ枝が木の上に引っかかってないか確認しましょう。葉が生えていない枝や、冬芽がついていない枝、色が変わっている枝があったら、その下は避けましょう。

●快適な場所
・平らな場所:多少であっても傾斜がある場所は不快なものです。寝床となる場所を本決めする前に、マットだけを敷いて試しに横たわってみましょう。
・乾燥した場所:とにかく日当たりのよい乾いた場所を選びましょう。湿った場所は、夏は虫が集まり、冬は地面が凍結したりして非常に不快です。
・風について:冬はとにかく風のない場所を選びましょう。夏はある程度風通しの良い場所の方が虫は少なくて快適です。

●ビバークの予行演習は、こんなところにも注意しましょう
・危険な動物はいないか?:熊などの大型動物だけでなく、ハチやダニなどの現地の情報を事前に確認しましょう。
・緊急時に安全に避難できるか?:慣れている道であっても、暗い中ではまったく違う場所に見えます。本当に簡単に戻れる場所を選んでください。
・車や人が絶対に通らないか?:その場所は100%車や人が通らない場所でしょうか?夜の視界が利かなくなるのは相手も同じ。自分がそこで寝ていることで、他の人の危険にならないようにしましょう。

POINT

実は夏よりも冬が向いています。テントを使用しないビバークは、夏よりも冬の方がはるかに快適です。少し値段ははりますが保温性の高いシュラフさえあれば、氷点下でも驚くほど暖かいです。逆に夏の虫は本当に手強いです。ネットや蚊帳などで覆わなければ、一睡もできないという状況も十分に起こりえます。真夏の虫が多い時期は避けた方がよいでしょう。

STEP 3

寝床の準備をする

  • こんな感じにセットしよう

安全な場所を見つけたら、体温の低下を防ぎ、なるべく快適に過ごせる環境を準備しましょう。レジャーシートを敷き、次にスリーピングマット、シュラフ、シュラフカバーを取り出しセットします。スリーピングマットがあるかないかで寒さはまったく違うことからも分かるように、身体と地面が接する部分から体温は奪われます。
スリーピングマットがない場合は、枯葉を厚く敷き詰めるなどの方法で断熱することができます。細かい枝などを落ち葉の下に敷き詰める方法もありますが、高価なシュラフに穴が空かないよう気をつけましょう。

STEP 4

まどろむ

  • 暖かいものを飲んでリラックス
  • 闇に横たわる開放感と不安を味わう

ヘッドライトを消してしばしシュラフの中でまどろんでみましょう。ヘッドライトは頭に装着しっぱなしにするか、首にかけておく、または靴の中に入れておくなど、絶対に暗闇でも探せる場所に置きましょう。
テントやシェルターなど遮るものが何もない状態で、闇に横たわる開放感と不安感を味わいます。慣れない暗闇で、しかも身体を横たえるということは不安なものです。しかし、この不安こそが周りの環境を敏感に感じ取る力を高めます。闇の中の非日常を味わいましょう。
闇の不安を堪能したら、持参した飲み物を飲んだり、おやつを食べたりのんびりしましょう。以前私がビバークした時も暖かいものを飲んだり食べたりすることで、身体が温まり随分リラックスできたのを覚えています。
晴れた夜であれば、美しい星空を愛でて過ごしましょう。特にはじめて遮るものがない暗闇で寝るときは、タイトルの「まどろむ」にあるように、ぐっすり眠ることを目的とせず、非現実的な空間に身をおいて堪能してみるという気持ちをもちましょう。

STEP 5

撤収する

  • 焦らずゆっくり撤収しよう

ひとしきりビバークの感じをつかんだら、シュラフ、シュラフカバー、スリーピングマット、レジャーシートを片付けて撤収しましょう。もちろん、Leave No Traceで。
恐怖を感じ、焦って帰ると、思わぬ怪我につながります。気持ちを落ち着かせてから、ゆっくりと丁寧に帰りましょう。

STEP 6

振り返る

自分が過ごした非日常的な空間を振り返ってみましょう。怖かったことは何ですか?それは本当に恐れるべきものでしたか?場所選びはどうでしたか?少しでも危険な要素はありましたか?それらを改善、克服する方法はありますか?また素晴らしかったこと、気持ちよかったことはなんでしょう?
ぜひその体験を思い出しながら人に話してみてください。もしくは日記などに書きとめるのもいいでしょう。

STEP 7

「やった!レポ」に投稿しよう

ビバークを体験したら「やった!レポ」に投稿してシェアしましょう。質問や感想はコメントに記入してください。

MATOME
まとめ

身を守る技術を身につけることは、いざという時に適切な判断を導き、行動する範囲を広げてくれます。そして、闇夜に横たわるという体験は、身近な自然にも別の顔があることに気づいたり、感覚が研ぎ澄まされたり、特別な体験となるでしょう。私が体験した時も意外なことが……。

12月の満月の夜、この原稿のため裏山でシュラフにもぐり月を愛でまどろんでいると、ザザザザッと茂みの中から何かがこちらに向かってきます。慌ててヘッドライトを灯すと緑色に光る点がふたつ。タヌキがこっちを見ています。あちらも戸惑いを隠せないのか固まっています。近づこうとすると逃げて行きましたが、その後も何度か様子を伺いに戻ってきました。
月がだいぶ西に傾いた頃、今度はタヌキが狂ったように茂みを走り、クオオンクオオンと雄叫びをあげはじめました。「え!?えええ!」おやつの柿ピーを狙って様子を伺っているのかと思ったら、この雄叫びからここで私が寝ているのが気に入らないのだと悟りました。
そそくさと寝床を片付けながら、こんな里山でも人間社会とは別のルールがあり、ほかの生き物の世界なんだと感じ入り「おじゃましました」と一礼して月夜の裏山を去りました……。

GROW CHART
成長スコアチャート
野性5
3知性
4感性
アクティビティ
感じる
環境
山 ・ 森 ・ 公園
季節
春 ・ 秋 ・ 冬
所要時間
1時間~3時間
対象年齢
小学生高学年以上
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