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恐ろしくも美しいナイトハイクに出かけよう

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編集長 岡村祐介

WILD MIND GO! GO! 編集長
非日常に対処する想像力を高め、暗闇に挑むスキルを身につけよう

私は、時々トレイルランニングという山を走るアウトドアスポーツをしています。100km超のトレイルランニングのレースでは夜間も山を走らなければならず、その練習にナイトランに出かけたのが、はじめて夜の山を歩いた、いや、走った経験です。練習に出かけた山は、過去に何度も走っているのに、暗闇は恐怖心をかき立てるように迫ってきました。視界はライトで照らせる範囲に限られ、にぎやかだった登山道はすれ違う人もなくドキドキします。そして、なんとか山頂までたどり着くと、眼下には人間界の圧倒的な夜景が広がり、思い出深い体験になりました。

昼の世界と夜の世界は違います。このHow toでは、ナイトランの経験を元に、恐ろしくも美しい夜の山を楽しむ「ナイトハイク」を紹介してみたいと思います。夜の山には、色とりどりの色彩や美しい木漏れ日はありません。そしてなにより、夜は日中よりも危険です。それでもナイトハイクは、暗い闇だからこそ味わえる非日常の風景、達成感などがあり、その体験はきっと忘れがたい冒険となるはずです。安全には十分配慮してぜひチャレンジしてみてください。

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READY
準備するもの
  • ヘッドライト

  • ハンドライト(手で持つタイプ)

  • 予備のライト

  • 予備の電池

  • GPSまたはスマートフォン(地図アプリ)

  • 防寒着(普段よりも一枚多く)

  • 行動食

  • エマージェンシーシート

STEP 1

山を選ぶ

  • 夜の山は非日常の世界
  • 夕暮れの美しいシルエット
  • 太陽が昇るとほっとする

夜の山は、暗くて怖いだけというイメージもありますが、空気が澄んだ時期のキリリとした星空や夜景、それになんと言っても山で迎える日の入りや日の出は格別なものです。
「ナイトハイク」というキーワードでネット検索をすると、たくさんの山行記録が見つかります。こうした記事にある写真を見ながら、どの山へ行くか、山を選ぶのも一つの方法です。山を選ぶ時に気を付けたいのは、特にはじめてであれば、安全な山を選ぶこと。低山と言われる標高1000m以下の山で、滑落の危険がなく、登山道がしっかり整備された山を選ぶようにします。
ネットの山行記録から山を選ぶ場合は、「危険」には個人差があることに注意しましょう。記事に「危なくなかった」と書かれていても、それはその人にとって、その時は危なくなかったということです。個人の技量、そして天候状況によって危険は変化します。天候が悪化した時のことも忘れずに、どの山を訪れるかを決めましょう。
何度か出かけたことのある低山があれば、まずはそこからはじめてみるのがおすすめです。ない場合は、多くの人がナイトハイクに訪れている山を選ぶようにしましょう。

STEP 2

計画する

日の出を山頂で迎える、日没前後の時間帯にムササビが生息するエリアを歩くなど、目標や目的を考えて時間帯やコースを計画します。具体的に計画する際、いくつか注意すべき点があります。
コース設定については、登りと同じ道を下山するピストンがおすすめです。登山は下山の際に事故が起こりやすいと言われます。ピストンなら状況がわかっている道を下るため、事故のリスクを抑えることができます。
過去に歩いたことのないルートであれば、必ず明るいうちに一度歩いてみましょう。明るい時間に、危険箇所がないか、暗くなった時に迷いそうな場所はないか、そしてそのルートを歩くのにどのくらい時間がかかるかを確認します。急な斜面や足元の悪い場所などの危なそうな箇所、それから、広い尾根や不明瞭な分岐点など、道に迷いそうな場所は記録し、危険や道迷いを防ぐためになにができるかを考えます。

プロ登山家の竹内洋岳さんが、想像でリスクに対処する、想像で危険を回避するという話をしています。このHow toでは、少し大げさに感じられるかもしれませんが、今回のナイトハイクでも参考になるのと、冒険感を高めてくれるので一読をおすすめします。どんな危険があるか、どうすればその危険に対処できるかを想像することの大切さが分かります。
「プロ登山家に学ぶ!想像力を味方につけた山登り」
https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/196

話を元に戻します。そのほか、計画時に気をつけることに、歩行時間があります。夜は足元が見えにくく、ルート確認にも時間がかかるため日中よりも歩行時間は長くなります。それから、普段は寝ている時間に活動することになるため疲労もいつもより大きくなることを想定しておきましょう。あまり欲張らずに、まずは夜の山を覗きに行くくらいの気持ちではじめるのがよいと思います。
それから、冬は避けること、単独ではなく複数人で登る計画をたてましょう。経験者が同行する場合は、すべてを経験者に任せてしまいがちです。しかし、自然のなかでは一人一人が危険を理解し行動することが大切だと思います。経験者に同行してもらう場合も、計画をきちんと把握して、どんなルートを歩くのか、どのような危険があるのかを理解してのぞみましょう。

STEP 3

装備をそろえる

夜、山道を歩く場合に装備で特に気をつけることはなんでしょうか?ナイトハイクの装備は一般的な登山の装備と大きく変わるものではありませんが、特に大切なのは明かりではないかと思います。ライト関係は念には念をいれて準備しておくことが大切です。予備のヘッドライト、予備電池は必携装備です。ヘッドライトのほかに、手で持つタイプのハンドライトがあると明るさが足りない時などに重宝します。
それから、登山では地図とコンパスは必携装備ですが、暗闇のなかで周囲の地形と地図とコンパスを使って現在位置を特定するのは至難の技です。夜間は地図とコンパスの代わりに、GPSかスマホの地図アプリを使います。GPSやスマホは暗いなかで現在位置を確認するために必ず必要な装備です。そのほか、夜間は思っている以上に冷え込むことがあるので、普段よりも一枚多く防寒着を持っていると安心です。
クマが生息する山域ではクマ鈴を持参するなど、ここに書かれている装備以外にも必要なものがないか、必ず検討してください。

・ヘッドライト
・ハンドライト(手で持つタイプ)
・予備のライト
・予備の電池
・GPSまたは、スマートフォン(地図アプリ)
・防寒着(普段よりも一枚多く)
・行動食
・エマージェンシーシート

STEP 4

暗い山道を歩く

  • 足元の安全を確認しながら歩く
  • 暗くなる前にライトを点灯しよう
  • 定期的にGPSなどで現在地を確認しよう
  • 明るさが足りない時はハンドライトを使う

ナイトハイク当日、少しでも天候が悪ければ中止しましょう。常に安全第一です。歩いている時に特に気をつけたいのは、道迷いと転倒・滑落です。低山は、山道が入り組んでいるため道迷いが多く発生すると言われます。分岐点や道に迷った可能性がある時だけでなく、定期的に、現在位置をGPSや地図アプリを使って確認します。そして、ヘッドライトで足元の安全をよく確認して歩きましょう。
明るさが足りなければ適宜ハンドライトを使ってください。私は、ヘッドライトは常にオンで、ハンドライトは必要に応じて点灯するという感じ使っています。ハンドライトを常に点灯しないのは、電池の消費を抑えるためです。こうすることでヘッドライトの電池が切れた時にも、ハンドライトを点灯させ慌てずに対応することができます。(ハンドライトは落とさないようにストラップを忘れずに)

STEP 5

暗闇を味わう

広い尾根など、安全なところに出たらぜひ試してほしいことがあります。それは、不安かもしれませんが、ライトを消してみることです。月明かりがない夜であれば、ヘッドライトを消すと自分自身が闇と一体になったような感覚になります。そして、五感が研ぎ澄まされ微かな音や光を感じ取れるようになります。
以前に月夜を歩いていた時のことですが、ヘッドライトを消してみると、地面に自分の影が落ち、月の明かりが想像以上に明るいことに驚いたことがあります。日の出を迎える時なども、ライトを消すことで、白みはじめた空が刻々と変わっていくさまをじっくり味わうことができるでしょう。

STEP 6

振り返る

無事に下山したら、体験を振り返ってみましょう。想像していたイメージと実際に歩いたイメージにはどんな違いがありましたか?怖かったことは何ですか?それは本当に恐れるべきものでしたか?少しでも危険な要素はありましたか?それらを改善、克服するにはどうすればよいでしょうか?こんな装備があるとよかった、あるいはこれは必要なかったなど、装備に問題はありましたか?また素晴らしかったこと、気持ち良かったことはどんなことでしょう?
勇気をだしてのぞんだ夜の山を振り返り、できたら記録に残しておきましょう。

STEP 7

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まとめ

「夜の山を歩くなんて、危ないからやめた方がよい。」もっともな意見かもしれません。それでも、ここでHow toとして紹介したかった理由がいくつかあります。

・山で眺める星空や日の出は格別な非日常体験になる
・山は恐ろしい、自然は恐ろしいということが体で感じられる
・危険と向き合い、危険を乗り越えるための想像力や判断力が身に付く
・大きな達成感がある

慣れ親しんだ環境=コンフォートゾーンの外側には、さまざまなリスクがあります。今回訪れた夜の低山も多くの人にとってコンフォートゾーンの外側です。そこには非日常の魅力もあれば、恐怖や危険もあります。今回一番大切だと思うのは、危険な状況と向き合い、どうすればそれを克服できるかを考えること、そして実際にそれを乗り越えてみるということです。危険を想像し非日常の状況でも適切に判断し行動する力は、夜の山だけで役立つのではなく、日常生活でもきっと役立つものであるはずです。そして、明るく穏やかな山だけでなく、闇に包まれた山の恐ろしさを体で感じることは、都市生活で私たち人間が失いかけている、「自然への畏怖」を取り戻すことにつながるのではないかと考えています。

GROW CHART
成長スコアチャート
野性5
4知性
4感性
アクティビティ
感じる
環境
季節
春 ・ 夏 ・ 秋
所要時間
4時間~6時間
対象年齢
中学生以上
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