「つくらし=つくる×くらし」は、人々がくりかえし訪れ、訪れるたびに学びが深まっていくハードづくりを得意とする松原雅裕(マツバラマサヒロ)と、日々のくらしから環境や地域などを学んでいくプログラムや人材育成を得意とする金田裕子(カネダヒロコ)のユニットです。長年、国や自治体などの社会教育施設や地域づくりに携わってきましたが、市民が自立的に運営する持続的な学びの場の必要性を感じ、その実践として、つくらし@沖縄を2012年から主宰しています。http://tsukurashi.jp
蜜蝋クレヨンって聞いたことありますか?
蜜蝋とは、ミツバチのお腹から分泌されて、巣づくりに使われる蝋(ロウ)のこと。この蜜蝋に、顔料(色の素)を混ぜてつくったのが蜜蝋クレヨンです。
クレヨンに使用される顔料には、さまざまなものがありますが、私たちの身のまわりにある土を混ぜても、カラフルな蜜蝋クレヨンをつくることができます。
「土なら茶色のクレヨンしかできないよね?」と思うかもしれませんが、身のまわりの土をよーく見てみてください。赤、黄、ピンク、グレー、紫など、さまざまな色の土があることに気がつくはず。
このHow toでは、あなたの身のまわりにある土を集めて、大地の色でカラフルな蜜蝋クレヨンをつくります。
※STEP1~3は「大地の絵の具で絵を描こう」と同様の作業になります。
https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/159
ビニール袋
小さなシャベル(スプーンでも可)
古新聞
数枚
乳鉢(ボールとすりこぎでも可)
茶こし
蜜蝋(精製でも未精製でも可)
油(サラダ油など)
湯煎用の大鍋
湯煎用の小鍋
コンロ
はかり
かき混ぜ棒(スプーンでも可)
クレヨンの型(お菓子用のシリコン型でも可)
画用紙
布(エコバッグなど)
さまざまな色の土は、山奥や秘境などの特別な場所でなく、あなたのすぐ足もとにもあります。まずは、身近なところで見つけてみてください。そして、その後に、少し違った場所(雑木林や公園、畑や田んぼ、川や海の近くなど)に見つけにいってみましょう。地形や自然環境が違うと、土の色も違います。
また、同じ場所の土でも、深さによって色が違います。一番見つかりやすいのは、土手や斜面などの地層が見えているところ。地層をよく見てみると、同じ断面でも色の違う土が見つかるはず。自分たちが住んでいる地域だけでなく、旅行先で見つけてもいいですね。見つけた土を地図に貼っていくと、地域による土の色の違いがわかったりします。
土探しは、こどもたちにとっては普段の遊びの延長ですが、大人にとっては土を探しているうちに、これまでの経験や知識と結びつき、土の色だけでなく、土地の記憶や暮らしなど、新たな発見につながっていきます。昔からその土地に住んでいる人と一緒にいくと、土と地域との関係がよくわかります。たとえば、その土を使ってつくっていたもの、育てていたもの、その地域の植物や生きものたちなど、思いがけないモノやコトと土が関係していたりするから、きっとビックリするはずです。
さあ、土を集めに出かけます!寒すぎたり暑すぎたりしなければ、季節はいつでもOKです。ただし、雨の日は土が乾かないので、事前に天気予報はチェックしましょう。
土がある場所に出たら、最初に自分の足もとの土を一握りとって、ビニール袋に入れ、その色をじっくり観察します。どんな色をしていますか?
次に、そのまわりにある土の色も観察します。そのまま、土の色を見ながら少し歩いてみて、違う色の土を見つけたら、別のビニール袋に入れます。違う色の土は、どんなところにあるでしょう? 木の下、斜面、畑、雑木林など。土を少し掘ってみてもいいかもしれません。
クレヨンに必要な土は、1色あたり一握りほど。土を集めるときは、環境を壊さないように必要最低限の量にしましょう。
※私有地や公共の場所で土を採取する場合、持ち主などに許可をもらってください。
※土探しは、ケガや事故に十分注意し、こどもたちだけでなく、大人も一緒にいきましょう。
※暑い時期は、帽子と水分補給を忘れずに、熱射病に注意しましょう。
集めた土は、古新聞の上に広げて乾かします。直射日光がよく当たる場所に、土をなるべく薄く広げると乾きやすくなります。新聞は風で飛びやすいので、四隅に石などを置いておくと良いでしょう。天気にもよりますが、大体1時間くらい乾かします。
土が乾いたら、1色ずつ乳鉢に入れて土を砕いていきます。乳鉢がなかったら、ボールとすりこぎでも良いです。土が細かくなったら、茶こしで土をふるってゴミや木片などを取り除き、粒の大きさを揃えます。
ふるった土と蜜蝋と油を湯煎用の小鍋に入れて湯煎していきます。土と蜜蝋の割合は、土の種類によって異なるのですが、大まかな目安として、土2に対して、蜜蝋1となります。
蜜蝋は、自然の色や香りを残した未精製のものと、不純物を取り除いた精製のものがあり、いずれもインターネットやお店などで簡単に手に入れることができますが、粒状のものが使いやすいです。より自然なもので、ほのかな香りを楽しみたいなら、未精製の蜜蝋がおすすめです。
はじめに、小鍋をはかりの上に置き、土を20g入れます(分量は、集めた土に合わせて調整しましょう)。次に、土の入った小鍋に、蜜蝋を10g入れます。
土と蜜蝋だけでもクレヨンはつくれますが、さらに油を加えると描き心地が滑らかになります。蜜蝋と土の入った小鍋に、少量だけサラダ油を加えます。
次に、大鍋に水を入れて、コンロに火をつけて沸かします。蜜蝋は65℃以上で溶けるので、大鍋のお湯も、65℃以上になるように沸かします。お湯が沸いたら、土と蜜蝋、油の入った小鍋を、湯煎していきます。かき混ぜ棒で混ぜながら温めていくと、じきに全体が混ざってドロドロの液体になります。
※火とお湯を使うので、必ず大人の方が付き添うようにしましょう。
※鍋やお湯でやけどをしたり、お湯をこぼしたりしないように注意しましょう。
湯煎で、土と蜜蝋、油がドロドロに混ざったら、温かいうちにクレヨンの型に流しこみ、そのまま10分程置いておきます(室温にもよりますが、暑いとなかなか冷えないので、固まるのに時間がかかります)。
クレヨンの表面が固くなり、指で押しても凹まないようになったら、丁寧に型から取り出してください。
つくらしで蜜蝋クレヨンづくりをするときは、自作のクレヨンの型を使っていますが、お菓子をつくるときのシリコン型などでも大丈夫です。ただし、お菓子の型を使ったときは、できあがったクレヨンをお菓子と間違えて食べてしまわないように要注意!
クレヨンを型から取り出したら、画用紙で描き心地を試してみましょう。大地の色の蜜蝋クレヨンは、土の種類や、蜜蝋と土と油の割合によって、描き心地が違ってきます。いくつか異なるクレヨンで試し書きして、比べてみましょう。
色がつかないなど、描き心地に納得がいかなかったら、できあがったクレヨンを小鍋に入れて、足りないと思われるもの(土か蜜蝋か油)を足して、もう一度湯煎をして、つくり直します。土の種類によっても割合が異なるので、いろいろ試して、ベストな描き心地のクレヨンをつくりましょう。
蜜蝋クレヨンは、好きな絵を布に描いて、上から紙をあてアイロンをかけると、蜜蝋が溶けて布に絵が定着します。Tシャツのように洗濯回数が多いものは色落ちしやすいのですが、エコバッグなど洗濯をあまりしないものであれば、オリジナルの絵を描いて楽しめます。なお、蜜蝋は熱に弱いので、乾燥機では乾かさないようにしましょう。
できあがったクレヨンや、描いた絵やバッグなどを写真に撮って、「やった!レポ」にシェアしましょう。土を見つけたときのことや、クレヨンをつくりながら、描きながら気づいたことがあれば、コメントなどに書いてください。
ミツバチがつくった蜜蝋と、大地の土で、カラフルなクレヨンができるなんて、楽しいですよね。昔の人たちは身のまわりにあるさまざまなもので、画材をつくって絵を描いていました。
茶色というひとくくりに見えていた土にも、さまざまな色があることに気がついたり、その色でクレヨンをつくり絵を描けたりと、やってみてわかることが世の中にはたくさんあります。
大地からとった土は、いわば「地球の色」。これまでの地球の成り立ちや歴史が刻まれ、地域によっても、土の質や色は異なります。そんな、土でクレヨンをつくり集めることは、地球の成り立ちをコレクションすることとも言えます。
まずは、土の色に触れ、続いて「この土は、どうしてこんな色をしているのだろう?」と、探究心を広げていくのも面白いかも知れません。皆さんも、この体験を通して、足元に広がるカラフルな色を楽しんでみてください。
土を使ってもっと楽しみたいという方には、つくらしのホームページでもさまざまな体験を紹介しているので試してみてください。
「土で絵を描くプロジェクト」
http://www.digitalium.co.jp/clay/