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2020.01.23659 views

身近な植物からDNAを抽出して観察してみよう

6

津田和俊

研究者
生き物の設計図であるDNAを眺めて、その不思議に触れてみよう

山や森、川、海などの自然環境には、さまざまな生き物が生息しています。また、近所のスーパーマーケットに行くと、いろいろな生き物が私たちの食べ物として並んでいるでしょう。どんな生き物も基本的には小さな細胞からできていて、細胞の中には、その生き物の設計情報や遺伝情報を担っているDNAと呼ばれる物質が入っています。今回は、その細胞やDNAの持っている性質を利用して、身近な植物、野菜や果実などからDNAを抽出する方法を紹介します。

READY
準備するもの
  • 【DNAを抽出するもの(試料)】

  • 果物(バナナ、イチゴなど)

  • 野菜(ブロッコリー、タマネギなど)

  • 【試薬】

  • 食塩

  • 中性洗剤(台所用洗剤)

  • 無水エタノール

  • 【器具】

  • はさみ

  • 乳鉢・乳棒

  • フリーザーパック

  • ティーフィルター

  • ガラスコップ

  • ロート

  • 割り箸

  • 虫眼鏡

  • 【オプション】

  • 軽量カップ

  • 軽量スプーン

  • PETボトル

STEP 1

DNA抽出液をつくる

  • Sp 515011df a13d 4a68 808e 7eb6fddbb8c9
    準備するもの一式の例
  • Sp a6769456 cca6 4643 9b42 7abf201e7ba0
    コップにDNA抽出液を混ぜる
  • Sp 45ef0e41 5b20 4a7c b351 47068960385e
    PETボトルにDNA抽出液を混ぜる

はじめに、食塩水に中性洗剤を混ぜて、DNAを抽出するための液をつくります。
ガラスコップを用意し、水25mlに食塩2gの割合で入れて溶かします。そこに、中性洗剤を1滴ほど加えて、あまり泡立てないように混ぜます。

中性洗剤を混ぜることにより、中性洗剤のなかの界面活性剤の働きで、細胞膜や核膜をこわし、細胞の中からDNAを取り出すことができるようになります。また、この濃度の食塩水によって、細胞内の染色体の中で結合しているDNAとタンパク質が離れやすくなります。

POINT

計量の目安としては、小さじ(1杯 5ml)を使うと便利です。小さじ1杯で、水は5ml、塩はさらさらなら約6g、湿った状態なら約5gになります。

小さじが手元にない場合は、300mlのPETボトルを使うこともできます。PETボトルのキャップの規格は、約7.5mlです。PETボトル一杯の水300mlに、食塩キャップ3杯分を入れて混ぜると、だいたい適した濃度の食塩水をつくることができます。そこに、中性洗剤12滴ほど加えます。

STEP 2

試料を入手して、細かくすりつぶす

  • Sp d21ce061 1858 4ac5 9c09 c99a72497528
    やわらかい試料の例
  • Sp 0cb12886 478c 422a a80a a8a646cc740e
    かたい試料の例

次に、DNAを抽出する試料を入手し、それらを細かくすりつぶします。
試料は、野山のフィールドに出かけて、さまざまな植物を観察して採集したり、スーパーマーケットで野菜や果物を手に入れましょう。

やわらかい試料(バナナ、イチゴなど)の場合は、フリーザーバッグに入れて、空気を抜いて手ですりつぶします。1枚目の写真では、フリーザーバッグに入れたバナナを、手ですりつぶしています。

かたい試料(ブロッコリー、タマネギなど)の場合は、ハサミや乳鉢・乳棒をつかって、細かくすりつぶします。2枚目の写真では、乳鉢・乳棒を使って、ブロッコリーをすりつぶしています。

細かくすりつぶす際に、常温で時間がかかるとDNAが分解してしまうので、手早くおこないます。可能であれば、事前に試料を凍結し、解凍しながらすりつぶすと、作業がやりやすくなります。

乳鉢・乳棒を使う際には、細かくしたドライアイスの上に試料を入れて、凍結乾燥しながら細かくすることもできます。乳鉢・乳棒のかわりに、すり鉢・すりこぎを使っても良いです。また、ミキサーがある場合は、氷と試料を入れて細かくするとよりよい結果が得られます。

POINT

※私有地や公園など、管理された土地で採集する場合は、管理者に確認しましょう。
※植物の中には、肌がかぶれるものなどもあります。あらかじめ、身の回りにある植物で危険なものがないか調べておき、誤って採集しないようにしましょう。
※ドライアイスを利用する際は、直接素手で触らないように注意しましょう。

STEP 3

DNAを溶かし出す

  • Sp a7d52128 ff14 4f90 8e03 68868dc24876
    DNAの抽出(フリーザーバッグ)
  • Sp 8edeefe3 8fd7 435f 8a88 4475b8169b64
    DNAの抽出(乳鉢)

試料をすりつぶした容器(フリーザーバッグ、乳鉢など)に、STEP1でつくったDNA抽出液を試料が浸る程度に加えて、ゆっくりかき混ぜます。このとき、勢いよく混ぜてしまうとDNAが切断されてしまうため、注意してゆっくりかき混ぜることがポイントです。
そして、そのまま5分間程置いておきます。

MATOME
まとめ

DNAは、二重らせん構造をした紐状の物質です。二重らせんの幅は2nmで、1本1本は肉眼では確認できないほど小さいものですが、今回のHow toのように、沈殿して束になったDNAは目で確認することができます。この方法は「エタノール沈殿」と呼ばれており、バイオテクノロジーの実験では一般的な手法です。

多様な形状や振る舞い、役割をもった生き物がいますが、基本的にはすべての生き物に共通して、DNAという物質がその設計情報や遺伝情報を担っています。もちろん、私たち人間にもDNAがあり、DNAの情報に基づいて身体の細胞や器官、臓器が作られます。DNAは言わば、「生き物の設計図」。DNAを抽出し、観察することは、生き物の秘密に迫るような体験なのです。

いろいろな生き物に対して、この方法を適用できますが、特に植物はタンパク質が少ないため、このような簡易な方法でも比較的再現性が高く、DNAを取り出すことができます。ぜひ、皆さんもこの方法を活用して、いろいろな生き物の設計図を抽出し、観察してみてください。

※nm(nanometre、ナノメートル)は、10−9メートル (m) = 10億分の1メートル。

GROW CHART
成長スコアチャート
野性3
5知性
4感性
アクティビティ
見る
環境
山 ・ 森 ・ 街 ・ 田畑 ・ 公園
季節
春 ・ 夏 ・ 秋 ・ 冬
所要時間
半日
対象年齢
中学生以上
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