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2021.04.281625 views

山岳気象予報士に学ぶ!雲から読み解く山の天気

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猪熊隆之

ヤマテン代表・山岳気象予報士
空を眺め、雲が語る空気の“気持ち”を読もう

観天望気(かんてんぼうき)とは、雲を見たり、風を感じたり、人間の五感を使って今後の天気を予測すること。気象遭難は、天気予報が外れるとき、天候が急変するときに多発しています。山で空を眺めることは、暴風雨や雷雨など登山におけるリスクを回避する意味でも重要です。また、雲は目に見えない空気の“気持ち”(状態)を語ってくれます。雲を知ることで、空の気持ちが段々分かってくると、空を見ることが楽しくなっていきます。

このHow toでは、雲から空気の“気持ち”を読み取るために、雲ができる理由や、“危険な”雲の見分け方などを紹介していきます。山を登るとき、時には空を見上げて雲の声に耳を傾けてください。きっとあなたが知らない景色が見えてくるでしょう。

READY
準備するもの
  • [山で雲を見る道具]

  • 五感(目で雲を見る、風、空気の湿り具合を肌で感じる)

  • コンパス

  • 時計

  • サングラス

  • 地図

STEP 1

雲ができる仕組みを知ろう

雲は、無数の水滴や氷の粒があつまった集合体です。水滴や氷の粒は、空気中にある水蒸気が冷やされることによって、塵などの周りにくっついて作られます。空気は上昇すると、冷やされることから、水蒸気を含んだ空気が上昇気流によって上空に運ばれると雲ができます。

STEP 2

やる気のある雲とない雲

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    やる気のある雲:入道雲
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    やる気のない雲:わた雲
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    やる気のない雲:雲海

雲には“やる気”のある雲とない雲があります。“やる気のある雲”というのは、雲がもくもくと上方に成長していくことです。代表的なのは、夏場に良く見られる入道雲(にゅうどうぐも)です。

“やる気のない雲”は、綿のような雲(わた雲)が入道雲に成長できずにやがて消えていってしまう場合や、雲海のように横に広がっていく雲のことです。

雲がやる気を出すと、落雷や強雨、突風などをもたらす“危険な雲”積乱雲になっていきます。逆にやる気を出さなければ、登山者に危険を及ぼす雲にはなりません。つまり、雲の“やる気”によって天候が大きく変わり、登山者のリスクも変わります。雲の“やる気”を判別するには、雲を観察することが大切です。

STEP 3

“やる気のある雲”の見極め方

  • Sp cca359d6 4a97 46ed 9956 38c6e5f02580
    (1)
  • Sp 06e9fbde 5f0b 481d 9cdd 05b4baadb844
    (2)
  • Sp 1ca7fbd7 9ddf 4c81 a66b e6fc4d5ad43a
    (3)
  • Sp 7617dd35 1cb5 4887 9a93 2820e7c8b161
    (4)
  • Sp eec48e3e 9bcb 4233 8cf1 06b65217ae57
    (5)

では実際に、“やる気”のある雲を見極める方法を紹介します。 “やる気”のある雲には特徴があります。下記に当てはまると、“やる気”のある雲の可能性が高くなります。

【 “やる気”のある雲の特徴】
・雲のテッペンがソフトクリームやカリフラワー状になっている。
・雲のテッペンが10分前、30分前と比べて高くなっている(写真1)。

また、“やる気”のある雲を見つけたら、どの位、危険が差し迫っているかどうか、下記の危険度で判断することができます。

【“やる気”のある雲の危険度】
危険度C:“やる気”のある雲が周囲で発生してきている。
危険度B:“やる気”のある雲が接近してきている。
危険度C:雲の底が暗くなっている(写真2:左)。
危険度B:雲の底が10分前と比べて、さらに暗くなっている(写真2:右)。
危険度B:雲の底の暗い雲に凹凸ができている(写真3)。
危険度B:雲のテッペン付近に透き通ったスジ状の雲がある(写真4)。
危険度A:雲のテッペン付近に頭巾のような雲ができている(写真5)。
危険度A:アーク状(弧を描いたような)雲を見つけた。
危険度A:急に真っ黒な雲の方から冷たい風が強く吹いてきた。

※危険度について
危険度C:
今後の状況によっては、激しい雷雨に襲われる可能性がある。“やる気のある雲”が危険度B、Aになっていくようなときは、すぐに少しでも安全な場所に避難を。また、電波が通じるところでは、雨雲レーダー、雷レーダーをチェックして周囲に危険な雲がないかどうかを確認しましょう。

危険度B:
数分から数十分後に雷を伴った激しい雨が降る恐れ。すぐに沢から離れ、避難小屋、営業小屋、窪地などに避難。高い木からは4メートル以上離れる。

危険度A:
今すぐにでも雷を伴った激しい雨が降る恐れ。すぐに沢から離れ、避難小屋、営業小屋、窪地などに避難。高い木からは4メートル以上離れる。

“やる気”のある雲を見つけ、その危険度が判断できたら、危険度に合わせて少しでも安全な場所に避難をしましょう。

※クレジット
写真(3):「空のふしぎがすべてわかる!すごすぎる天気の図鑑(著者:荒木健太郎)」(KADOKAWA)からの転載
https://www.amazon.co.jp/dp/4046051515

MATOME
まとめ

雲はさまざまな表情を持ち、私たちに空気の“気持ち(状態)”を語りかけてくれます。それを読み取るために必要な知識について学んできました。登山者に危険を及ぼす落雷や強雨、強風などを知らせてくれる雲の存在や、どの方角の空を見上げたらいいのか?天気に大きな影響を与える風向きの調べ方、雲がそこにある理由を地図から調べることなど、空気の“気持ち”を読むことは容易いことではないかもしれません。まずは、通勤途中や公園の散歩など、下界でチャレンジしてみてください。ひとつずつで構いません。次に、山の上で同じことをやってみてください。下界ではあまり理解できなかったことが驚くほど理解できると思います。そのとき、あなたは山登りの楽しみが増えたことを実感することでしょう。

さら詳しく知りたい方に
《おすすめサイト》
登山者向け「山の天気予報」
https://i.yamatenki.co.jp/lp/

《おすすめ書籍》
「山の観天望気 雲が教えてくれる山の天気(著:猪熊隆之, 海保芽生 出版:山と渓谷社」
https://www.amazon.co.jp/dp/4635510727
「山岳気象大全(著:猪熊 隆之 出版:山と溪谷社)」
https://www.amazon.co.jp/dp/4635210030
「山岳気象予報士で恩返し(著:猪熊 隆之 出版:三五館)」
https://www.amazon.co.jp/dp/4883205975

GROW CHART
成長スコアチャート
野性4
5知性
4感性
アクティビティ
見る
環境
山 ・ 森 ・ 街
季節
春 ・ 夏 ・ 秋 ・ 冬
所要時間
1時間~3時間
対象年齢
小学校低学年以上
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  • おとしふみこ
    2021.04.29 17:06

    登山をする機会はあまりないのですが、「やる気のある雲」と「やる気のない雲」という表現が、興味深く、そして、とてもわかりやすかったです。
    空を見上げて、「お、やる気マンマンだな」「いや〜、やる気ないな〜」とか、雲を生き物のように眺めるのが、楽しみになりそうです。

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