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登山は知的な大冒険 自然の中に潜むナゾや不思議に会いに行こう!

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大内 征

低山トラベラー/山旅文筆家
山と「自分の好き」を掛け合わせて、登山+αを楽しむ

次の週末はどこの山へ行こうーー。
そんなことを思いながら山の計画を立て、選りすぐった道具をパッキングする時間は、本当に楽しいですよね。憧れの山にも行きたいし、山友達が話していた初耳の山も気になるし。SNSで見かけたあの山はどこの山だろうとか、雑誌で目にした写真がとても印象的で近い将来の目標になったとか……。山の選び方も登山計画の立て方も、きっと人それぞれに個性が出るものだと思うのです。

ぼくはというと、夜な夜な山の地図や書物などを広げてビールを飲む時間がこの上なく好きで、その流れで計画を立てることがたびたびあります。しかし、ただ「登山をする計画」を立てるわけではありません。山と掛け合わせる自分視点のテーマをもって、登山+αの楽しみ方そのものを考えるのです。

というわけで、ここでは自分視点のテーマを見つけるヒントをいくつか紹介していこうと思います。

関連記事:
登山は知的な大冒険 文系登山に出かけよう!
https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/183

READY
準備するもの
  • 登山用の衣類(汗や雨に濡れてもすぐ乾く素材)

  • 登山用の雨具(レインウェアは防風にも役立ちます)

  • 登山用の靴(滑りにくく、水や汚れに強いもの)

  • 登山用のザック(自分の体型にあったものを)

  • 登山用の地図(紙の地図とスマホアプリ「YAMAP」など)

  • 腕時計(現在時刻、行動時間、方位などの確認できるもの)

  • 救急道具(切り傷、擦り傷、万が一の常備薬など)

  • 水(水分補給、調理、傷口を洗うときに使用)

  • 食べ物(おにぎりやパンなど、さっと口に入れられるもの)

  • ヘッドライト(山は町より早く暗くなり、街灯もありません)

  • ゴミ袋(ゴミは絶対に持ち帰るのがマナーです)

  • 好奇心

  • 冒険心

  • 恐怖心

STEP 1

「登山×○○」あなたなら、なにを入れる?

  • なぜここに?ナゾが深まる巨石や磐座
  • 古代ロマンを感じる、山中の古墳や古代遺跡
  • 昔話や神話の舞台となった山や道

たとえば「登山×○○」の○○に自分の好きなモノや気になるコトを入れてみると、ひと味違ったプラスアルファの山旅をつくることができます。○○に入るキーワードは無数。まずは自分の好奇心と探究心から○○の中を自由に設定してみましょう。

ぼくの場合は、山に行く度に目に入る巨石や磐座の存在が気になってしまうので、よく「登山×巨石×信仰」のようにテーマ設定します。巨石についての情報は、地元の人から話を聞いたり、居合わせたハイカーとの情報交換だったり、書籍や地域資料に目を通したり、ネットで検索したり、地図から探したりとさまざま。そうして登山計画を立て、リスクにも備え、実際に会いに行くときのワクワク感たるや!

試しに真っ白なノートを用意して、気になっていることや関心の高いことを、ざーっとキーワードにして書き出してみましょう。特に、山中に存在するナゾや不思議に注目してみると、新しい登山の扉をひらくことになるかもしれません。あなたならではの○○が、山の楽しみ方を広げてくれるのです。

STEP 2

不思議と惹きこまれる! 巨石や磐座に会いに行く

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それにしても、巨石には不思議な魅力があります。樹林帯を歩いているときに突如その姿を現したときなんて、その大きさに感動し、その形に驚き、その雰囲気に癒されもし……。神の仕業とでもいえばよいのか、あまりの存在感に言葉も出ない経験も数えきれず。畏怖、ですね。

面白いのは、そうした巨石が人里の近い低山里山に数多く存在するということ。高い山に行かなければ出会えないというわけではないのが、またいいんですよね。巨木や滝なども同様に、山の中には人知を越えた造形というものが、確かに存在しています。

写真は、ぼくがこれまでに出会ったおすすめの巨石を紹介しています。
(1)雑木林の中に広がる異質の空間、神在神社の神石(福岡県糸島市)
(2)この奥に数十メートルも続く、金比羅山の巨大な磐座(東京都あきる野市)
(3)神が降り立ったと伝わる、金華山の天柱石(宮城県石巻市)
(4)海の見える絶景稜線で愛嬌をふりまく、王子が岳のニコニコ岩(岡山県玉野市)

STEP 3

ナゾが深まる! 古代遺跡に会いに行く

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山頂が古墳になっている山、山中に環状列石などの古代遺跡がある山、神社の奥宮が巨大な磐座になっている山などなど、古代の人びとが手掛けた人工物や祭祀にも興味は尽きません。なぜそこにあるのか、なぜそんな配置なのか、その「なぜ」を問いながら歩くのも楽しいし、下山してなお続く空想の山旅もまたいいものです。

遺跡の多くは太陽や周辺の火山との関係を感じさせます。富士山や阿蘇山、八ヶ岳や浅間山といった山々の周辺には古代の祭祀が多いですし、それらの山々を眺望するちょっと離れた丘などには古墳があったりします。そうした遺跡では、周辺の風景もよく観察してみましょう。山や海が見えることが多く、地図を片手に山座同定するのは楽しいもの。地名を調べることは、その地域を学ぶ第一歩ともなります。

写真では、ナゾが深まるおすすめのスポットを紹介しています。
(1)天狗山の山頂は積石型の古墳!?(山梨県甲府市)
(2)猪群山にはストーンサークルが!?(大分県豊後高田市)
(3)金山巨石群は古代の天文台だった!?(岐阜県下呂市)

STEP 4

ナゼか懐かしい、昔話や神話の舞台を歩きたい!

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昔話や神話が好きで、よく本を読み漁っています。旅先で訪れた地域でそうした話を耳にしたら、まず資料を集めたり旅館のオーナーさんに話を聞いたりして情報収集。そのときに登山の準備ができていれば山に入りますし、そうでない場合は時期をあらためて再訪します。そんなことを繰り返しているうちに、旅慣れもし、地域にも明るくなっていくわけです。

お気に入りの地域は東北、紀伊半島、九州。そして神話と言えば山陰地方もはずせません。訪れた先にある郷土資料館や公民館にはなんかしらのヒントがあり、最近なら道の駅にも素晴らしい資料が置いてあったりするので、必ず立ち寄るようにしています。もちろん、土地の名産やお土産の物色も忘れずに。

写真では、ナゼか懐かしい、昔話や神話の舞台となったスポットを紹介しています。
(1)浦島太郎伝説の紫雲出山(香川県三豊市)
(2)岩手山と夫婦だった姫神山(岩手県盛岡市)
(3)大国主命が出雲の国づくりを思案した琴引山(島根県飯南町)

STEP 5

【番外編】山旅に欠かせないデジタルガジェット、三種の神器

  • いま一番のお気に入り PRW-6800

登山に欠かせないデジタルガジェットの中でも、最低限この3つは必ず持っておきたいところです。

地図アプリ:山道の道順と現在地の確認(YAMAP、山と高原地図など)
カメラ  :デジタルカメラや小型のムービーカメラ(GoProなど)
腕時計  :現在時刻、行動時間、方位などの確認(カシオ「PROTREK」など)

●地図アプリ
地図は、これから繰り出す未知の世界について教えてくれる大切な情報源です。ぼくは「YAMAP」を使っていますが、これ、スマホに表示される地図の中で自分の現在地を確認することができる優れもの。しかし、とても便利な反面、使い過ぎるとバッテリーの消耗が激しく、いざという時に困るケースも……。そんな時のために予備のバッテリーと「山と高原地図」などの紙の地図も必ず持っておきましょう。

●カメラ
好きなものに会いに行く山旅ですから、ようやく出会うことができた暁には写真におさめておきたくなりますよね。たまにSDカードをパソコンに挿しっぱなしだった!といって青ざめている人を見かけますが、自宅を出る前には必ずSDカードとバッテリーをチェック。これとても大事。

●腕時計
時間の確認をスマホで済ませる人もいますが、バッテリーの消耗を抑える工夫(冷やさない、余計なアプリを起動しない、機内モードにしておく等)をしないと、緊急時に携帯電話が使えなくなる可能性も。ですから、些細なことですが時計の確認は腕時計でおこなう、これが基本です。

いま愛用しているPROTREK「PRW-6800」は視認性が高く、時間だけでなく標高や気圧の変化、コンパス機能で方角も簡単に確認できて便利このうえなし。タフな作りなのにベルトが柔らかく、軽やかな装着感がお気に入り。

MATOME
まとめ

遠くの高い山に挑戦するのも、身近な低い山に通うのも、それぞれに異なる魅力があるのが登山のいいところです。山の高きも低きも交互に楽しむことができれば、未来に向けた「登山ライフ」は無限に広がり、続いていくーーぼくはそう考えています。ですから、山を愛するたくさんの人たちに「あなたの○○はなに?」ということを問い、ぼく自身の登山の楽しみ方を広げたり深めたりするヒントにしています。

今回の「登山は知的な大冒険」では、自然の中に潜むナゾや不思議に会いに行こう!をテーマに、みなさんの○○を考えていただくきかっけになればいいなあと、筆を執りました。ぼくは巨石・磐座、古代遺跡、昔話や神話の舞台で○○を埋めてみましたが、そこに正解なんてありません。人の数だけ○○はあるし、その日の気分で○○は変わるでしょう。それでいいと思います。

みなさんの地元の山で、それぞれの○○をどんどん掛け合わせ、ぜひ楽しい登山ライフを編み出してください。そして、もしよければ、それを「やった!レポ」に投稿し、同じ気持ちをもつ山仲間の登山ライフをひろげる手助けをしていただけると嬉しいです。山を愉しむ視点をお裾分けし合い、その喜びを分かち合う。これからの登山は、そういうことをどんどんしていくのがいいと、ぼくは思っています。

山で会ったら、お互いの○○を共有しましょう!

GROW CHART
成長スコアチャート
野性3
4知性
4感性
アクティビティ
探す
環境
季節
春 ・ 夏 ・ 秋 ・ 冬
所要時間
4時間~6時間
対象年齢
小学校低学年以上
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