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2021.12.16654 views

年輪を観察して、木の生き方を読み取ろう!

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瀬尾一樹

樹木医
年輪は知恵の宝庫!木の長い一生を追体験しよう

一歩外に出るとさまざまな場所に、木はたくさん植えられています。そして、木の幹や枝が切られると断面に現れるのが「年輪」です。木が一つ年を取るごとに年輪の輪っかが一つ増えていくことはみなさんもご存知かもしれませんが、それ以外にもその木がどんな環境にいてどのように生きていたか、年輪にはその道筋が刻み込まれています。もちろん、年輪は断面の一つに過ぎないので全てがわかることはありませんが、年輪から得られる情報は多いです。また、年輪は一年中観察でき、街中の公園樹や街路樹など身近に見つかるのが嬉しいところ。年輪を探して、木の一生を読み取ってみましょう!

READY
準備するもの
  • ルーペ(無くてもOK)

STEP 1

年輪を探そう!

  • Sp 08519f8b 8a61 4ee2 85f5 7d32eb2d8ac3
    色の明るい年輪は新しく、観察しやすい
  • Sp 3f140c28 019b 4f36 ad0c b790a65b7b6f
    菌に分解されて穴が空いたものも
  • Sp 2c54f862 4fa0 4e16 b96a 022ba2cad263
    枝を切った痕にも年輪が!
  • Sp 774a8f6f d91b 4b7c 91f2 16f7903e605f
    丸太置き場もねらい目

まずは年輪を探してみましょう。
探索する場所は街路樹や街中の緑地など、とくに大きな公園はいろいろな環境がある場所のため、さまざまな生き方をしてきた「面白い年輪」が見つかります。また年輪は、切られてから年月が経つと黒ずんでしまい読み取りづらいため、なるべく切られたばかりの年輪を見つけてみましょう。

いざ探すと意外と見つからない!と思うかもしれませんが、切り株だけでなく枝が切られた痕にも年輪がでているので、生きている木の幹も含めて探してみてください。場所によっては切られた丸太や枝が積み上げられている場所もあり狙い目です。他にも台風の被害で倒木が多かった年や冬場の剪定の後だと、切られて時間が経っていない年輪がよく見つかります。

POINT

・台風で倒木が出たあとは年輪が観察しやすいですが、台風通過直後はとても危険です。十分に安全が確保できてから観察に行くようにしましょう。
・場所によっては立ち入り禁止になっている場合や、危険な地形の場合もあるので注意してください。

STEP 2

木の成長をたどってみよう

  • Sp cce51a2d ccb3 4a0d 8af1 89d2d526bf82
    この枝は10歳くらいかな?
  • Sp c33b8a05 be60 47b8 a485 7e6ed828814a
    この木は…90歳近いぞ!
  • Sp e18f0faf 4d33 4051 a8cd 1e264708147f
    10年程前に調子悪い時期があったみたい
  • Sp df597a76 26a1 4744 be3e c1ad289c55ec
    ここ数年でよく成長してる、大器晩成型?

まず初めに年輪の輪っかの数から、木が何歳なのかを数えてみましょう。幹の根元から切られている年輪はその木の年齢、枝の根元から切られている年輪は枝分かれしてからの年齢がわかります。数えていくと、「この木は自分と同い年だ!」「この木は自分が就職した年に芽生えたんだな」また「こんな細い枝なのに10年も経っているのか!」など、色々な発見があると思います。同じ太さの木でも、種類や環境によってそれぞれ年齢が違うのも面白いです。

また、年輪の輪っかの幅を一本ずつ見ていくと、その年の木の調子がわかります。単純な話ですが、幅が広いとその年にたくさん成長して幹を太らせたということ、逆に狭いとその年は気候や周りの環境などの条件が悪かったのか、あまり成長できなかったということです(実際はズレが生じる場合などもありますが、厳密なところは目をつぶっていただければ幸いです)。

次のSTEPで詳しく説明しますが、一番外側が新しい幹で、中心にいくにつれ若い頃の幹になっています。同じように見える年輪の幅もよく見ると一様ではなく、「3年前は調子が悪かったんだな、そういえばこの年は梅雨は長かったかな?」、「この木は20歳を過ぎてから急に調子が良くなったぞ!周りの木より高くなって、光が当たるようになったのかな?」など、木の生きてきた道筋を想像することができます。

POINT

・フジの木の年輪は少し特殊で、年輪がいくつもつくられるので実際の歳はわからないことがあります。

STEP 3

じっくり観察してみよう

  • Sp 71b268a9 e05a 41bb 8bb3 842ced8c93ce
    外側に新しい年輪がつくられていく
  • Sp 6e968fa5 8652 464d 8245 f9862fabaffe
    年輪と直角に放射組織が通っている
  • Sp a5cbd12a a4f5 4fba 8ba5 2818d0b2ad27
    放射状のヒビは、放射組織が縮んでできる

今度は、顔をグッと近づけて年輪の基本構造を観察してみましょう。じっくり見ていくと、意外と複雑な構造をしていることに気づくはずです。年輪は、中心にいくほど若い頃の幹、外側にいくほど新しい幹でできています。樹皮のすぐ内側のところに細胞分裂する組織(形成層)があり、そこから新しい年輪が一層ずつつくられていくイメージです。年輪のある時点から内側が茶色くなっていることがありますが、これは古い幹が水を通す役割を終え、その後腐らないように抗菌物質が溜まるためです。

さらに近づいてよく見ると、年輪の中心から放射状にスジのようなものが伸びています(樹種によってはルーペが必要)。「放射組織」という栄養を貯めたり抗菌物質を出したりするところです。面白いポイントとしては、基本的に年輪の線に対してほぼ直角に交わっているところ。年輪がグニャグニャと曲がっている場合でも、きっちり直角を保ったままついています。ここが乾燥して縮むと年輪がひび割れるので、年輪に入るひびも、輪っかに対して直角に入っていることが多いです。

以上のように年輪に対して直角に放射組織が交わっていて、外側に形成層と樹皮があるのが年輪の基本構造になります。そこから樹種や環境条件の違いなどが組み合わさり、さまざまなパターンの年輪がつくられるわけです。ひとまずは、「内側にいくほど若い頃の年輪で、新しい年輪は形成層からつくられる」というところを意識してみてください。

それ以外にも、よくよく見ると意外と線がまっすぐじゃないんだな、とか、樹皮と年輪の部分とでは材質がずいぶん違うんだな、など観察してみると細かい部分で気づくことも多いと思います。このように観察を続けていくと、年輪がどういうものかがなんとなくわかってきて、ちょっと変な形をした年輪に出会ったときに想像力を働かせやすくなります。

POINT

・中心部に抗菌物質が溜まらないものや、放射組織がほとんど見えないものなど、樹種によっていろいろな違いがあります。
・タケやヤシは木ではないので、年輪はつくられません。まるで木のように大きくなるのにつくりが全く違っていて、これはこれで面白いです。

MATOME
まとめ

「木」という生き物は、キリンより背が高くなるし、ゾウよりも重くなるし、カメの何倍も長生きです(もちろん種類によりますが)。そして、そんなすごい生き物が街中に当たり前に生きています。それだけでもすごいのに、それらの生きてきた道のりを「年輪」という形で読み取れるというのは、なんとも素敵なことだと思いませんか?

年輪というのは何mも伸びる木のほんの一つの断面にすぎないので、読み取れる情報はごく一部です。しかし、だからこそ想像の余地があり、知識や経験を絡めながら考えて、その木が生きてきた長い年月を頭の中で体験できるのが年輪観察の面白さだと思います。年輪観察を突き詰めていくと、この木がどんなふうに成長してきたのか、周りの木の成長や環境を加味しながら考えて、頭がパンクしそうになりながら切り株の前で何十分も考え込むこともあります。そこまで夢中になれるものが、街中や公園のいたるところにあるなんて、それはとても素晴らしいことです。

皆さんもぜひ、年輪を見かけたらその木がどんな生き方をしてきたのか、想像してみてくださいね!

GROW CHART
成長スコアチャート
野性3
5知性
3感性
アクティビティ
見る
環境
山 ・ 森 ・ 街 ・ 公園
季節
春 ・ 夏 ・ 秋 ・ 冬
所要時間
30分~60分
対象年齢
中学生以上
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