C4dbf1cf 7d27 4d34 b842 4cf3169fe798
2022.10.281144 views

人と暮らす鳥「都市鳥ウォッチング」を始めよう

8

柴田佳秀

科学ジャーナリスト。サイエンスライター
ご近所さん=都市鳥から身近な自然の世界をのぞく

都市は、人間が暮らしやすくなるように設計された環境ですから、自然のなかで生きてきた鳥たちにとって棲
みやすい環境ではないはずです。しかし、そんな都市にも鳥が棲んでいます。それどころか最近になって、わざわざ都市に進出して暮らしはじめた鳥もいます。そんな鳥たちを観察し、その理由を探るのが都市鳥ウォッチングのおもしろさ。理由を知れば知るほど「生きものってすごいなあ」と思わずにはいられないのです。さあ、皆さんも都市鳥に出会って、そのしたたかな暮らしぶりを見つめてみませんか。普段見ている景色が一変すること間違いなしです。

READY
準備するもの
  • 入門者向け図鑑

    1冊

  • メモ帳

    1冊

  • 双眼鏡

    1機(なくても可)

  • カメラ

    1機(なくても可)

STEP 1

「都市鳥」とそのほかの鳥を分けよう

  • Sp df8d940c 4dc2 429b 8e96 6b07a44b5bb0
    東京のビルの屋上で営巣を始めたウミネコ
  • Sp 6a482b97 fd0e 4238 b5d3 0b88bd23e365
    ヤマバトの異名をもつキジバトは街にも棲む
  • Sp 0a3d0bb3 c588 41a0 8448 2a4efdb633d5
    ハシブトガラスは都市鳥の代表選手
  • Sp bbaf9d2f 5005 4c50 9939 e88935e05c0a
    ムクドリは人家を営巣場所に選ぶことも

さて、都市鳥を観察するわけですから、まずは都市鳥とはどんな生きものなのか定義をしておきましょう。『鳥類学事典』(昭和堂)によれば、「人口が集中し活発な経済活動が営まれる都市は、人の利便性や効率性を追求してつくられた人工環境である。その都市で食物資源を利用し、繁殖や越冬の場所を確保するなどして都市環境に適応した野生鳥類を都市鳥という」と書かれています。要するに街中で繁殖したり、越冬するなど都市環境を利用し生活している鳥のことを「都市鳥」と呼んでいます。また、ひと口に都市といっても、ビルが建ち並ぶ東京都心部のような大都市もあれば、札幌のような山が隣接する地方都市などの様々なタイプがあります。当然、そこに暮らす都市鳥の種類も都市によって違ってくるのですが、日本ではおよそ50種の鳥が都市との関係を持って暮らしている都市鳥といえるでしょう。

STEP 2

都市鳥をタイプ別に意識しよう

  • Sp 9fe572b4 f546 4f54 b060 59833a83f379
    軒先など昔から人家を活用してきたツバメ
  • Sp 2525072c 3568 4072 8c98 c8dc9ce9bf66
    この数十年で街に進出して居着いたヒヨドリ
  • Sp 82e4dfdd 5f17 4d4d 9126 61b0dc7942c7
    かつては山奥にいた小型の猛禽類ツミも街に

日本には50種ほどいる都市鳥ですが、大きく分けると次の3つのタイプに分類できます。

ひとつ目は、昔から人のそばで暮らしていた鳥が、都市化してもそのまま棲み続けているタイプ。これはツバメやスズメなどのお馴染みの鳥たちがあてはまります。

ふたつ目は、かつては決まった季節にだけ街中で見られた鳥が、いつしか一年中いて繁殖するようになったタイプ。冬に街で見られたメジロやヒヨドリなどがそうです。越冬居残りタイプとでもいいましょうか。

みっつ目は、市街地ではまったく見られなかったのに、あるときから見られるようになったタイプ。ツミやオオタカ、チョウゲンボウなどの猛禽類や海辺を好むイソヒヨドリなどがそうで、街中にこんな鳥がいるの!と驚くのがこのタイプですね。

STEP 3

どんな道具でどこで見るか

  • Sp 832c4f8a daf6 4123 8152 cbb16d40c441
    街中が都市鳥ウォッチングのフィールド
  • Sp ef21bfd0 0591 4716 add9 1d1171d90b65
    入門セット。双眼鏡は街での取扱いに注意
  • Sp a9a031b4 340b 4059 96a9 bce91ee010be
    SNSの鍵アカウントにスマホで記録

都市鳥の基本的な知識を習得したら、いよいよ街に出て都市鳥を探してみましょう。といってもわざわざ鳥を見に行く必要はありません。お勧めは、毎日の買い物や通勤のついでに鳥を見ることです。都市鳥は意外なことに繁華街や駅周辺に多い傾向があり、定期的に通うことで発見の確率が上がります。私も毎日、自宅から住宅地を通って駅前で買い物するコースで鳥を見て回っていますが、毎回のように発見があります。海から20kmほど内陸の私の住む街でイソヒヨドリの巣を見つけたのも、この観察での成果です。

私の場合は見れば種類が分かりますし、買い物ついででもあるので、持ち物はとくにありません。入門者は図鑑、双眼鏡、メモ帳の3点が基本の道具になるでしょうか。しかし、街中での観察はプライバシーの観点から双眼鏡や望遠レンズをつけたカメラでの撮影はちょっとはばかられます。私はどうしても写真を撮る必要が生じたときだけ、カメラを持って出かけることにしています。

都市鳥の観察は記録の積み重ねが大事なので、メモを取ることは忘れないようにしたいものです。私は、SNSに他人からはのぞけない鍵アカウントをつくって、スマホからメモがわりに記録を投稿しています。種名や観察した行動などを記録しておくと、まとめるときに検索でさっと探せるのでとても便利なのです。ただし、SNSの扱いには要注意。間違って公開アカウントで場所などを詳しく書くと、自分のプライバシーが守れないだけでなく、鳥の情報を公開することにもなります。SNSでの情報の扱いは慎重にしたいところです。

MATOME
まとめ

都市鳥という言葉ができたのは、1982年のことだそうです。1970~1980年代は、冬鳥だったヒヨドリやハクセキレイなどが都会でも繁殖を開始し、それを追うような形で猛禽類までもが都会に姿を見せはじめるなど、都市鳥のメンバー構成が大きく変化した時期で、それに気がついた研究者がこの造語を産み出しました。ちょうどこの時期の日本は、高度成長期が終わり、都市にはビルや高速道路などのコンクリート建造物が増え、戦後に植えられた街路樹が大きく成長したころ。街の構造が変化したことで、都市鳥の種類も変化したのです。また、愛鳥教育の浸透や経済的な余裕が出た影響か、鳥に対して攻撃的な人が減り、都市に棲む鳥が人を怖がらなくなりました。それから約40年たった現在でも、常に街の構造や人の意識は変わり続けているので、これからも都市鳥はどんどん変化し、思いがけない鳥が棲みつくこともあるでしょう。都市鳥ウォッチングはその変化を目の当たりにすることになり、とてもエキサイティング。鳥を通して街や人の心の変化を知ることができるとても知的でおもしろい趣味なのです。

GROW CHART
成長スコアチャート
野性3
5知性
4感性
アクティビティ
見る
環境
街 ・ 公園
季節
春 ・ 夏 ・ 秋 ・ 冬
所要時間
~30分
対象年齢
4才以上(保護者同伴)
やった!レポを投稿
写真とコメントをみんなと共有しましょう。
※画像サイズが大きい場合、通信料などがより多く発生します。
ログインしてやった!レポを投稿しよう!
※投稿するにはログインが必要です。
Profile
あと140文字
EVERYONE’S REPORTS
みんなのやった!レポ
コメント
Profile
あと140文字
クリップしたユーザー(7人)
LATEST HOW TO
新着のHow To
NEWS
お知らせ