ホールアース自然学校理事。富士山麓をガイドして15年。田貫湖畔に環境省が設置した自然学校第1号「田貫湖ふれあい自然塾」のチーフインタープリターとして、身近な野生生物の生き様や人とのつながりを伝えることなどを通じて、自然と人とをつなぎ、身近な自然の見方を変えるきっかけ作りをしている。
その他、様々な企業・行政と自然を知る、伝える人になる、自然を守る・活用するなどの企画・実施に忙し楽しい毎日。
明かりを獲得して以来、われわれ人類は暗闇から遠ざかってしまいました。一度距離を置いて未知なものになると、それを怖いと感じてしまうのが人間の性。
しかし、ほとんどの哺乳類が今でも夜の暗闇の中で生活をしているように、かつては人も暗闇の中で暮らしていたのです。そこで、もう一度、暗闇と友達になってみませんか?きっと、今まで見えなかったことが見えてくるはずです。
暗闇を十分楽しめそうな、明かりのない場所を選びましょう。明るいうちに夜歩く予定の場所を下調べして、安全を確認しておきましょう。暗い中でライトをつけずに歩くことを考えてみると、いつもと違った危険が見えてきます。子どもと一緒の場合やはじめての時は、わかりやすい目印(場合によってはロープなどを設置する)で範囲を決めておくとよいでしょう。最初は知っている場所がオススメですが、その場合も下見はしっかりしておきましょう。
暗闇の中で暮らしていない人間がいきなり真っ暗な中、知らない土地を歩くと、危険を予知できません。歩いていたら、いきなり水路で流されてしまったり、崖をまっさかさまに落っこちてしまったり・・・大げさではなく本当にケガをしてしまう可能性があります!
暗くなったら、スタート地点まではライトをつけて移動し、ここだ!という場所に来たらはじめましょう。できれば、ひとりで行動してみるのがオススメです。
暗闇を味方につけるには、暗闇と仲良しの生き物たちになりきることで怖さから解放されるのでは?ということで、4つんばいになって暗闇を歩いてみましょう!
まずは、できる範囲でゆっくり動いてみます。近くで動いている人の気配を感じるかもしれません。その気配にあなたは安心しますか、それとも不安を感じますか。相手はどう感じているでしょうか。そうしているうちに、だんだん目が慣れて、まわりが見えてくるようになるでしょう。
想像力が豊かな人ほど、怖さを感じるかもしれません。暗闇にいろいろなものをイメージしてしまうからです。
目が慣れてきたら、ちょっと冒険をしてみましょう。4つんばいになって歩くと、普段と見える高さが変わります。人間の高さだと草が生い茂って進めないようなところも、案外下のほうはすいていて進める!といった意外な発見があるかもしれません。そういう場所は、おそらく動物たちも歩きやすいと感じていて、けもの道になっていたりします。
ライトを使わずに真っ暗な中を歩くと、どんな見え方がして、どんな気持ちになるのか、楽しみながら歩いてみましょう。
見えなくなるとほかの感覚が研ぎ澄まされます。音やにおいなどいろんな情報を受け取りながら、普段とは違った暗闇の感じ方を存分に楽しんでみましょう。
ふと気が付くと、暗闇が怖くなくなっているはず!暗闇が自分の外にあるものではなく、暗闇と自分が同化しているからです。その感覚になったら、今度は暗いところと明るいところの境目に行ってみましょう。
どちらに安心を感じますか?暗闇と友達になった今、暗いところはもう怖くないはず。むしろ、明るいところはまわりから見られているような気がして、出ていくのをためらう気持ちになりませんか?おそらく夜を生きる野生動物もそう感じていることでしょう。
近くに街灯や自動販売機などがあれば、人工的な光を見てみてください。普段より何倍も明るく感じるでしょう。暗闇に慣れるとわかる、明るすぎる人工的な光。それは野生動物が普段感じている明るさなのです。
様々な生き物たちが活動する夜。暗闇を味方にすると、明かりがそんなになくても生活できるような気がしませんか?
いっぽうで人間の夜は、そんなに照らさなければならないのというほどの明るい光で満ちています。電気を大量に消費する人工的な光に頼らず、時には暗闇を楽しんでみるのもいいですね!