1969年11月山梨県生まれ 2009年頃から本格的に石積み遊び開始。2011年からSNSで世界中のロックバランシングアーティストと交流、2012年9月に石花会発足。 以来、各種イベントに出展、石花ワークショップで石花アートを出来るだけたくさんの方々に体験していただいています。
石花会公式サイト:http://www.ishi-hana.net/
石花ちとく個人サイト:http://chitoku.balancing.jp/
ロックバランシング(ストーンバランシング)とは、岩や石を積み上げるアート。「石花(いしはな)」は、日本のロックバランシングです。今までに基本編「石を立ててみよう」、アレンジ編「石ぼうず」で、石花の楽しさを紹介しました。
基本編:石を立ててみよう! http://gogo.wildmind.jp/feed/howto/5
アレンジ編:石ぼうず http://gogo.wildmind.jp/feed/howto/60
このHow toでは、アレンジ編として、石花の型「拮抗立ち(きっこうだち)」(またの名をカウンターバランス)に挑戦します。反対方向への力がそれぞれ拮抗して、複数の石が絶妙なバランスをとりながらピタリと静止する姿。機械やコンピュータでもできっこない技が、人の手には可能だという実感を、石ころを通して体験してください。
はじめに「拮抗立ち」がいったいどのような型なのか、例を見てみましょう。最大の特徴は、上の石の重さで下の石が絶妙なバランスを保っていること。そのため、上の石を持ち上げると、途端に崩れてしまいます。複数の石を使った作品では、ひとつひとつの石の重さや位置が、全体のバランスに影響し合っているわけです。そこを、できるだけ少ない石で、できるだけ派手に演出するのがこの型の醍醐味であり、石花の面白いところです!
また、間に挟まる石の上下の接点が、垂直に並ぶのではなく、左右にずれるのもこの型の特徴です。左右へのずれが大きければ大きいほど、ダイナミックでかっこいい作品になります。
私は、石の向きを揃えることが多いですが、これは趣味の問題で、上の石と下の石がそれぞれ別の向きであってもいいし、上の石が真っすぐ立っていてもいいと思います。大切なのは、上の石の重さで下の石が絶妙なバランスを保っていること!
かっこいい石がころがっている河川や海岸に出かけ、石花を立てる台座を探します。台座は、周辺よりやや高い位置にある、大きくてどっしりと安定した石や岩がおすすめです。また、拮抗立ちの型は、絶妙なバランスを要求されるので、完成までに時間がかかることが多いです。したがって、作業を行う位置や体制も、安定していることが大切です。まずは最適な場所を探しましょう。※河川や海岸では、水難事故に注意し、必要であればライフジャケットなどを着用しましょう。
拮抗立ちでは、最低限ふたつの石ころが必要です。はじめのうちは、大きすぎないこぶしサイズの石を選ぶと良いでしょう。重たい石を持って、長い時間緊張して同じ姿勢でいると、慣れないうちは筋肉痛になったりします。特に腕が…(笑)。
やりやすい石というのは特にありませんが、バランスの拮抗している様子がわかりやすい石はあります。例えば、三角形にちかい石、長さのある石などは、絶妙なバランスを見せやすいです。組み合わせる石は、それぞれ異なる色や模様のものを選ぶと、できあがりの見栄えが良くなります。まずは、いくつか良さそうな石を拾い集めましょう。
いくつか石が拾えたら、石と石を組み合わせてみましょう。拮抗立ちの型の組み合わせを見つけるヒントとしては、ひとつでは傾いて倒れる石を、倒れないように上から指で押え、その「指の位置と重量」を目安に、それに変わる石を載せるというのがあります。ヒントを参考に組み合わせを探ってみましょう。
また、特に拮抗立ちの型は、その見栄え(シルエット)が大切です。STEP1の例も参考に、イメージを膨らませながら、かっこいい組み合わせを探りましょう。
だいたいのイメージが固まったら、台座の前で安定した姿勢をとり、石を立てていきます。まず、下の石を台座にあてて、グラグラしない位置を探ります。この状態では、手を離すと石が崩れてしまうようなアンバランスな角度で立てます。次にSPTE4のヒントを参考に、下の石が倒れないように上から指で押え、その「指の位置と重量」を目安に、それに変わる石を載せます。そのまま、ふたつの石が同時に安定する位置を探ります。
後は指先に伝わる重さ加減や、石と石の当たり具合を手がかりにして、バランスが取れるまで、少しずつ、ほんの少しずつ石を動かしながら、ピタリ!と静止する位置を探ります。すべての接点(ここでは2点)を同時に安定させるのは難しいので、先にピタリ!ときた接点の位置と角度をキープしつつ、もう一点の位置と角度を探るとわかりやすいです。また、台座と下の石との接点を先に安定させたほうが、多少やりやすいです。静止したのを感じたら、さっと手を離しましょう。
作品が完成したら、ゆっくり眺める前に、ひとまず写真を撮りましょう。できるだけバランスが拮抗している様子が伝わる位置や角度で、証拠写真を残しましょう(笑)。そして、是非その不思議さに見惚れてください。できたアナタが素晴らしいのはもちろん、人の感覚って無限!と思えるし、何よりも「石って凄い!」と実感できるでしょう。
苦労して立てた作品を崩すのはもったいない…ところですが、危険ですので、絶対に置き去りにしないでください!戸外で楽しく立てた石は、崩して帰るのがルールです。渋々諦めて、ここでは「当てっこ!」で崩します。周りに人がいないことを確認し、作品からある程度離れて、小石を投げて命中させます。
良い写真が撮れたら、『やった!レポ』にアップして、みんなとシェアしてみましょう!他の人の『やった!レポ』からは、新しいインスピレーションが得られるかも!?感想などは『コメント』に記入してください。
石花の型の中でも人気の高い「拮抗立ち(カウンターバランス)」。反対方向への力がそれぞれ拮抗して、複数の石が絶妙なバランスをとりながらピタリ!と静止して立った瞬間なんて、今までの自分の概念が覆された衝撃と感動で、ゾクゾクしたりします。よく見ている人に「接着剤を使っているんですか?」と聞かれますが、そんな時は「使っていません!」とアナタの凄さをアピールしましょう(笑)。
最初から、パワフルでダイナミックなものをイメージする必要はありません。まずは、簡単な作品をひとつ立たせる感動体験から始めてください。すると「もっといけるかも?」と上を目指したくなるかも…。