1972年東京新宿生まれ。女子美術短期大学 生活デザイン卒業。
スパンコール(照明デザイン事務所)代表。IALD(国際照明デザイナー協会)会員。武蔵野美術大学特別非常勤講師。
ホテル、SPAサロン、レストラン、などの商業施設をはじめ、オフィス、幼稚園保育園、イベント、ランドスケープ、など様々な空間の「光の設計」を手掛けている。住宅の照明デザインも多く手がけ、著書に「照明で暮らしが変わる あかりの魔法」(エクスナレッジ出版)がある。
私たちの生活に必要不可欠なあかり。電気を使う生活に慣れた私たちにとって、スイッチを押せばいつでも明るいのが当たり前かもしれません。でも時には外に出て、人間が太古の昔から親しんできた美しく根源的な「自然の光」や「炎」「闇」を、あかりと共に楽しんでみるのはいかがでしょうか。
大きな空は、昼は明るく真っ青、夕方には刻々と綺麗なピンクから紫色に変化し、やがて闇夜につつまれます。そしてキラッと輝く星や月を楽しむ時間が訪れます。
森の中で、この美しい自然光の変化と、私たちが準備した僅かなあかりを一緒に楽しめたら、最高に幸せなことだと思いませんか?
自然光が変化するこの美しい時間を楽しむためには、薄暮の時間に合わせたあかりの段取りが大切です。このHow toでは自然の中であかりをもっと楽しむ方法をお伝えします。地球上で体験できる「空」のパワーと、私たちが準備する「小さなあかり」を融合させて、光を満喫してみませんか?
* 焚き火やランタンは、火を使っていい場所かどうか、場所のルールを確認しましょう。
また、小学生以下の子どもが火を使う場合は、必ず大人と一緒に行いましょう。
まだ明るいうちに、あかりの準備を整えます。
日の入り1時間前には、ランタン、LEDイルミネーションなど、用意したあかりの準備をスタートさせましょう。
そして焚き火は、遅くとも、日の入り20分前にはつけ始めましょう。
日の入りの時間はマジックアワーとも呼ばれる美しい時間帯です。中でも一日のうち空が最も美しいといわれる瞬間は「ブルーモーメント」と呼ばれています。日が暮れた後、空が真っ暗になる前の、ほんの少しの限られた時間ですが、空全体がブルーに染まり、昼間は見えなかったあかりの存在が浮かび上がってきます。ブルーの世界とあかりが美しく共演する貴重な時間です。
この瞬間はただゆっくりと、刻々と変わりゆく空と、焚き火の炎、ランタンの火、小さなイルミネーションのあかりを眺めながら静かに過ごして、美しいあかりの世界に共鳴しましょう。
日本は緯度の関係で、ブルーモーメントが大変短く、たったの10~20分程度です。だからこそ、ブルーモーメントが始まる前にあかりの準備を全て終わらせて、大切な時間はセットしたあかりと空の美しさをゆっくりと眺める時間にしたいですね。
ちなみに北欧では、このブルーモーメントが5時間も続き、美しい夜を楽しみ愛でる文化が深まったと言われています。
日が暮れてブルーモーメントも過ぎると、夜の始まりです。
夕方早めに灯していたあかりが、すっかり映えてきました。
夜、自然の中での食事は、小さなランタンのあかりの下で楽しんでみましょう。
外で灯すあかりは、室内のあかりと違ってなぜかドキドキ、ワクワクします。それはきっと自然の中では、ミニマルなあかりでも最大限の効果を得ているからだと思います。
いつもの食事も、小さなあかりと共に眺めると、もっとワクワクするかもしれません。
この時のあかりのポイントは、眩しすぎる光源(グレア)を上手くカットして、視環境を整えることです。
眩しすぎるランタン、LEDランプ、などは、明るさを弱めたり、ワインボトルなどモノの影に置くなどして、直接光源が見えない工夫をしてみると、快適に過ごすことができます。
食事も終わり、焚き火の炎も小さくなって来たら、静かに星空を眺める時間。
ランタンやLEDランプも消して、闇の中で輝く星空を静かに眺めてみましょう。目が闇に慣れるまで、10分近くかかるかもしれませんが、星の数がだんだんたくさん見えて来るでしょう。
明暗順応のはなし。
目が闇に慣れるのに時間がかかる効果を暗順応といいます。7~10分程度かかると言われています。逆に暗い所から明るい所へ出た時に目が慣れる効果は明順応といいます。こちらは1分程度で慣れてしまいます。暗さに対して慣れるのに時間がかかるのです。
暗さの中のあかりを楽しむことは”ゆったりした時間を楽しむ”ことにも繋がるのです。闇に慣れていく時間を一緒に楽しむことも、ぜひ意識してみて下さい。
自然の中であかりを楽しんだら、『やった!レポ』に投稿して他の人ともシェアしてみませんか?
質問や感想があれば、コメント欄に書き込んでください。
光を知覚する自分の目の機能を使って、私たちはあかりや光を楽しむことができます。
それを一番実感できるのは、夕暮れ前から夜までの時間です。屋外であかりとともにゆっくり過ごすことを意識してみて下さい。
自然の中では、夜を過ごすあかりを最小限にコーディネートすることで、暗くなければ気づけない、普段は見過ごしてしいる世界が目の前に広がって来ることでしょう。
時間と共に変化するあかりを存分に楽しんでみましょう!