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小さな水辺ビオトープをつくって生き物を涵養しよう

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三森 典彰

(株)BiotopGuild代表取締役/Forestthree代表/東京環境工科専門学校非常勤講師
水辺ビオトープに生き物を呼んでみよう

最近、生き物の愛好家の間で水辺ビオトープづくりが再び盛り上がっています。水辺ビオトープは30年ほど前にも大きなブームがありましたが、当時は造成や管理の方法が確立されておらず、この時代につくられたビオトープには環境に対して悪い影響を残したものが多くありました。それらが生んだ負のイメージから、長いあいだ水辺ビオトープづくりは生き物の愛好家が手を出しづらい遊びになっていたのですが、この数十年で水辺ビオトープをつくることで自然環境にプラスの効果を生む技術が蓄積されました。小さな水辺ビオトープをつくって、地域の生き物たちに居心地の良いすみかを提供してみませんか。

READY
準備するもの
  • 容器(プランター、プラ舟など)

    必要数

  • 小玉の赤玉土 

    必要量

  • 近所で採集した水生植物(在来種)

    数株

  • ゴム手袋

    1双

  • 移植ごて

    1本

STEP 1

ビオトープの語源と意味を知ろう

  • 誤解されがちな水辺ビオトープ
  • 潮だまりビオトープ
  • 都市の草原ビオトープ

ビオトープの語源は“Bios(ビオス)”という生物や生命を指す古代ギリシャ語と“Topos(トポ ス)”という場所を指すギリシャ語を組み合わせてドイツで作られた造語です。ビオトープの意味をビオトープ発祥の地であるドイツの連邦自然保護局では「有機的に結びついた特定の生物群集の生息空間」、「周辺地域から明確に区分できる性質を持った生息環境の地理的最小単位であり、明確に範囲を特定できない、しにくい生態系と区別される」
としています。

もう少し噛み砕いて説明すると、

①ある場所や地域、水辺や森林、草地などの環境条件において、全ての生物が関わり合って暮らす生育・生息空間である。

②元々存在する自然環境もビオトープであり、人が関わって創出された自然環境もビオトープといえる。

となります。つまり、本来的なビオトープをごくごく簡単に説明すると「生き物どうしが関わりをもって暮らす空間」となります。ビオトープへの誤った認識として、破壊された自然の代わりに新たに作る自然のこと、ある特定の生物を保護、増殖するための場所や施設のこと、水辺や湿地のことなどがありますが、上記で紹介した定義からすれば当然これらは間違いです。奥山や里山、都市部の公園もビオトープですし、水辺ではなくてもビオトープと呼べます。

STEP 2

ビオトープの創出を考える

  • 人工物のなかに生き物の居場所を創出する

「ビオトープ」という語句はただの言葉でそれ自体に良し悪しはありません。しかし、現実世界のビオトープに暮らす生き物にとっては「暮らしやすいビオトープ」と「暮らしにくいビオトープ」があります。言葉の定義がはっきりしたところで、良いビオトープの創出について考えていきましょう。

既にあるビオトープをより良くする、あるいは新たに創出するときには、地域固有の自然環境の保全を第一に考えます。ビオトープに手を加えたことで、そこにあった固有の自然が損なわれては元も子もありません。それでは「地域固有の自然」とはどんなものになるのでしょう。市街地へと開発された場所はその状態こそが地域固有の自然となるのでしょうか?

現代的なビオトープの考え方に則れば、その地域にかつて存在して今は失われた(あるいは失われつつある)環境を再生したり保全することは悪いことではないと私は考えています。すでに開発された場所であっても、そこにあった自然を復元するのは間違いではありません。しかし、その土地に全くなかった環境をつくりだすのは間違いです。

基本を学ばないままビオトープをつくったばかりに、全く逆効果になる例もしばしば見られます。新たに作るビオトープにおいては、次に記す現代的ビオトープの存在意義について意識する必要があります。

【現代的なビオトープにおける留意点】
・絶滅危惧種や希少種に指定されている生物の保全を目標にしていても、特定の生物だけを増やすための場所にせず、 様々な生物の関わりや繋がりなどの関係性(生物間相互作用)を重んじること。
・地域固有性に配慮し、特に外来種の拡散に寄与する施設とならないよう配慮すること。
・設置する場所や使用する資材、デザイン等は生物視点だけでなく、その地域の気候や地形、地質、日照などの生物以外の自然環境条件も考慮に入れること。
・ひとつひとつは小さくても、生物の生育・生息や移動の手助けになるとビオトープ(エコロジカル)ネットワークの基点や中継点となり地域の自然環境の一部として機能させること。
・子どもなどの自然体験や環境教育の大切なフィールドのひとつとなりえること。

STEP 3

良いビオトープと悪いビオトープを知る①

  • 強健な外来種。セイタカアワダチソウ
  • クレソンは水辺に多い外来種

人間が関わるビオトープや新たに創出するビオトープには、良いビオトープになりえるものと悪いビオトープになりえるものがある、と先ほど述べました。考えを整理するために、まず悪いビオトープを列挙して、それの正反対になる良いビオトープについて考えてみましょう。少し長くなりますが、ビオトープをつくったことで環境を壊さないためには必要な知識となります。

【悪いビオトープの例】
①人為で導入した生物がすぐに命を失ったり、その数を早期に減らすビオトープ。
②外来種を導入し、それが管理下から逸出してしまうビオトープ。
③人為で食物や繁殖環境等を整え続けないとその生活を維持できないビオトープ。
④希望の生物以外を不要なものとして必要以上に疎み、ときに駆除をするビオトープ。
⑤作ったあと管理を行なうことを想定しておらず、来訪した生物が生命や生活を維持できないビオトープ。

①人為で導入した生物がすぐに命を失ったり、その数を早期に減らすビオトープ
導入した生き物がすぐに死ぬのは、つくりだした環境がその生き物に合っていないことの表れです。そこで私がおすすめするのは、生物を極力導入せず、生活基盤の整備だけを行なうビオトープづくりです。自力で来る生物たちは、そのビオトープで生きていけると判断しています、その判断が誤っていても(たまにあります)それは生物たちの選択です。そうはいっても動物たちの生息基盤としてある程度の植物の導入は必要ですし、ビオトープ内での生物間の相互関係を崩さない動物なら、導入しないほうが良いとは言いきれません。しかし、導入にはいくつか気をつけた方が良い点があるので、後述します。

②外来種を導入し、それが管理下から逸出してしまうビオトープ
地域の生物多様性に寄与しつつ悪影響を及ぼさないために、ビオトープに入れる生物は地域在来の種であるべきです。これとは反対に、種子を拡散するおそれが高い外来の植物や、移動能力の高い動物を導入すると、地域の生物多様性保全に悪影響を及ぼす施設になってしまいます。最良なのはビオトープの設置場所やごく近い場所の在来種を採取して植栽することです。在来種と外来種を見分けるのは専門家でも難しいことがありますし、日本の在来種であっても遺伝的にその地域固有のものではないこともあるので、種数を増やすことよりも確実に種がわかるものを採取、植栽し、ビオトープから逸出しないように管理することが大切です。

POINT

※動植物の採取に際しては法律や条令、採取場所のルールなどに従って慎重におこなうようにしましょう!

STEP 4

良いビオトープと悪いビオトープを知る②

  • 創出後、管理されていないビオトープ

③人為で食物や繁殖環境等を整え続けないとその生活を維持できないビオトープ
ビオトープで大切なのはそこに暮らす生物たちの繋がりです。食べるも食べられるも、利用するも利用されるも、生物間の関係性や設置場所の環境条件によって完結するのが理想的です。人間が直接的に関わり続けないと維持できないものは、ビオトープと趣が異なってしまいます。人が積極的に干渉する飼育ではなく、野生生物たちが独自に関係性を築ける基盤の整備を意識しましょう。

④希望の生物以外を不要なものとして必要以上に疎み、駆除をするビオトープ
③で書いた通り、ビオトープは生き物同士の関わり合いによって維持されるのが理想です。しかし、これがなかなか難しい。急拵えの人工のビオトープは、その地の気象や気候、生態系から揉まれていないため、最初のうちはそれらの影響を大きく受けるからです。手を加えないのが理想とはいえ、そのまま放任すると外来種が繁殖したり、一部の生物だけが繁栄してしまうこともあります。また、在来種であっても蚊のようなちょっと厄介な生き物もいます。介入と見守りのバランスは難しいですが、私は管理の指針として「ビオトープで暮らす生物の繋がりを無視ししない」「その地域で暮らしていた生物まで疎んで駆除しない」、「その場の多様性を豊かにする手助けにとどめる」の3点を大切にしています。

⑤作ったあと管理を行なうことを想定しておらず、来訪した生物が生命や生活を維持できないビオトープ
先述したとおり、人の手で作られたビオトープで多様な生物が暮らし続けるには、ある程度人が手入れをし続ける必要があります。分かりやすい例に湿地における湿性遷移というものがあります。これは、始めは水深のある池でも、周囲から土砂が流れ込んだり、生えている植物の枯葉などが堆積して徐々に浅くなり、その果てには陸地になる現象です。人の手で作られた比較的小さい池では、この現象の進むスピードは極めて早いので、定期的な掘り下げが必要になります。もっと身近な例に給水があります。渇水期に給水を怠れば、せっかくビオトープを選んでくれた生物たちが干上がってしまいます。他の場所に逃げ出せればよいですが、場合によっては命を落としてしまいます。ビオトープには、招いた生き物を大量に死なせないデザインや介入が必要です。

POINT

水辺ビオトープでは蚊の発生がよく問題にされます。いろんな生き物が集まると自然と蚊の発生は軽減するものですが、環境が安定するまでは気になるかもしれません。解決策には近所からメダカのような捕食者を導入することも考えられますが、いない場合はどうしたらよいのでしょうか? 私は「蚊のいる環境を受け入れる」こともひとつの選択肢だと思っています。みなさんはどう思われますか?

STEP 5

水辺ビオトープの大きさと基本構造を考える

  • プラ舟でつくった水辺ビオトープ
  • やってきたトウキョウダルマガエル
  • プラ舟で羽化したオオシオカラトンボ

冒頭でビオトープには樹林ビオトープや河川ビオトープ、湖沼・池ビオトープ、草地ビオトープ、砂浜ビオトープなど様々あると説明をしました。

その中でも比較的作りやすく、遷移(環境変化、ある環境条件から別の環境条件への移行)のスピードが早いために人が関わる余地が適度にあり、生物相の変化を観察しやすいのが池型のビオトープと草地型のビオトープです。 今回はそのうち池型のビオトープに絞ってて解説していきます。

ビオトープは目標とする生物相に応じて、必要とされる大きさと環境条件が変わってきます。例えばオオタカやフクロウなどの猛禽類が子育ても可能なビオトープとなると、営巣する森林、捕食のための草地、水浴びや水飲みのための水辺と広く多様なビオトープが必要になります。

水辺ビオトープもこれと同様です。水辺ビオトープの指標生物(自然環境の状況を推し量る物差しとなる生物)としてよく取り上げられるのがトンボ類ですが、シオカラトンボやギンヤンマのような開放的な池を好むトンボには、大きな水辺が必要ですし、オオシオカラトンボやクロスジギンヤンマ、アジアイトトンボのような暗がりを好む種や水生植物が繁茂した水辺を好む種は、比較的小さい水辺でも来訪する可能性が高くなります。

私の経験では4畳半から6畳くらい、7m?から9m?くらいの水面があると、地域に生息する多種多様な水生動物や水辺を好む動物が来訪する可能性が高くなります。しかしこれは、日本の一般的な住宅事情ではあまり現実的ではない大きさです。そこで今回は、ベランダや小さめのお庭でも設置でき、場合によってはすぐに撤去したりお引っ越しできるプラ舟と呼ばれる容器や、プランターで作る水辺ビオトープを題材に話を進めます。

プラ舟やプランターでも驚くような動物がやってくる可能性がありますし、たとえ多くの種がやってこなくても、自分の作ったビオトープでそこを選んでくれた動物に出会うのは嬉しいものです。

STEP 6

「エコトーン」と「浅瀬」の重要性を考える

  • 水域と陸域が緩やかに移行するエコトーン

ここで言葉を整理しましょう。“水辺”は水域と陸域、そしてその中間域を含めた言葉です。この中間域の地形と植生の変化が水辺ビオトープの核になります。

水域と陸域のような異なる2つの自然環境が緩やかに地形変化し、それに対応した植生変化で繋がっているような空間をエコトーン(移行帯・推移帯)と呼びます。

このエコトーンはさまざまな生物を育みます。陸から水底まで緩やかな斜面になったエコトーンを例にとりましょう。岸から徐々に深くなっていく斜面には、立って生える水草 (抽水植物)があり、少し深くなると水底に根を張って葉を水面に浮かべる水草(浮葉植物)が茂ります。さらに深くなると花以外は水中に沈んで生える水草(沈水植物)が生え、これらの植物の隙間を根っこまで浮いて漂う水草(浮漂植物)が埋めます。

こんな水生植物群落のエコトーンには、多くの動物たちにとって重要な“すみか”となっています。現在絶滅危惧種となっている動植物の多くがエコトーンに依存しています。「池が浅いと水がすぐに干上がってしまう」、「池が浅いと水温が上がりすぎてしまうのではないか」そんなふうに考えて、池をついつい深くしたくなってしまいますが、水辺ビオトープを創出するうえで、エコトーンと浅瀬は重要な要素となります。

地面に穴を掘って遮水シート等でビオトープ池を作る場合には、浅瀬とエコトーンを意識した緩い傾斜は管理面でも重要になります。というのも、急斜面かつ深い池にした場合、植物を定着させるための土(覆土)が容易に崩れてシートなどの遮水構造がすぐに露出してしまうからです。

覆土は植物の定着のためだけでなくバクテリアや藻類の“すみか”となり、土そのものとあわせて水質をある程度維持する機能を持ちます。歩行性の動物の足がかりになりますし、遮水構造を紫外線などの劣化原因からも守ってくれます。

STEP 7

ビオトープの明るさを考える

  • 太陽光のよく当たる水辺
  • 樹木に覆われた水辺
  • セリはどちらの環境でも生える

水辺ビオトープに限りませんが、ビオトープの置かれる環境条件として最も重要なもののひとつが照度。明るさです。光合成をする植物にも多少暗い環境を好む植物があるくらいです。水辺ビオトープのなかに照度の高低をつくれると、ビオトープで抱えられる生物の種類の数が増えます。

大きなビオトープ池であれば明るい場所と暗い場所の双方を用意することができますが、プラ舟やプランターではそうもいきません。小さな容器に無理矢理明るい部分と暗い部分を作り出しても中途半端な結果になります。プラ舟やプランターを複数置ける場合は、ひとつは明るい場所、もうひとつは暗い場所に置いてみるのも面白いかもしれません。

その際は明るい場所を好む種と暗い場所に耐性のある植物を分けて植栽すると良いでしょう。照度の異なるビオトープに合った植物を探すために自然下の水生植物を観察すると、植物の見え方がまるで変わります。 休耕田や開けた河原には明るい場所を好む種が生え、社寺林に囲まれた暗い池には暗い場所を好む種が生えることに気づくはずです。あるいは、明暗を問わず、どちらにも生えられる植物があることを発見するかもしれません。セリやミゾソバ、セキショウなどは明るい場所でも比較的暗い場所でも大丈夫なのでお薦めです。

STEP 8

水辺ビオトープに入れる水と土を考える

  • 減少したぶんを少しずつ注水する
  • 土を購入するなら赤玉土を

水辺ビオトープを造成した場合、どこかから水を入れることになります。現在の日本の水道の水質基準はとても厳しく、以前ほど残留塩素を気にしなくても大丈夫になりました。最初の注水は水道水で十分です。それ以降は降雨をあてにすることになりますが、渇水の時期や元々降水量の少ない地域では、定期的な注水が必要になります。注水の際に気をつけたいのが一度に大量の水を加えること。急激な温度や水位の変化は、ビオトープに暮らす生き物にストレスを与えます。注水は頻回、少量が理想です。ビオトープの造成と合わせて、雨水タンクを備えるのも一案です。自宅に降った雨を溜められるタンクを用意すれば、水道水を節約しつつ、塩素を含まない水を利用できます。

ビオトープは地域に固有な気候風土とそこに息づく生物たちで構成される空間なので、ビオトープに用いる土も居住地のものを使うべきだ、という考え方があります。しかし、現代はご近所であっても他者の土地から土壌を手に入れるのは困難ですし、外来植物の種子や外来の動物をビオトープに持ち込んでしまう危険性があります。また、地域の土が地形作りや管理の面でビオトープに向いていないこともあるでしょう。

土を購入する場合、私が推奨しているのが赤玉土です。赤玉土は一度焼成され球状に固められた赤土で、粘土質で適度な水分を与えて圧をかけると植物が定着しやすい覆土となります。元の土は関東ローム層などを構成する土でもあり、伏流水や湧水の下部に不透水層という遮水構造をつくる土壌のひとつでもあります。また、焼成されているため外来種の持ち込みを防ぐことができます。この赤玉土をある程度崩せば、焼成された赤土が手に入りますので、これを基本の土として用いると良いでしょう。

STEP 9

排水を考える

  • 網をつけたパイプでの排水システム

排水については、プラ舟、プランターでつくる水辺ビオトープでも、自然の池や沼と同様に縁から溢れ出る越流式で問題ありません。

しかし、越流式では大雨のときにビオトープにやってきた動物などが排水と一緒にビオトープ外に流れ出てしまうこともあります。これを防ぐには容器の上縁にネットを張った切り欠きをつけたり、網を備えた排水パイプを設置するなどひと工夫必要です。遮水シートの上に覆土をして作られたビオトープ池では、越流部に玉砂利を積んで砂利の隙間を水が流れるようにしておけば動物の流出とともに覆土の洗掘もある程度抑えられます。

STEP 10

植物を入手する

  • 在来種のセリやミゾソバの茂る水辺

冒頭に書いたように、創出したビオトープへの動物の来訪を期待するなら、ある程度の植栽が必要です。動物を呼ぶための植物は必ず在来種を対象とし、可能な限りビオトープの設置場所の近くで採取するようにしましょう。この場合の「在来」とは「日本の」ではなく「地域固有の遺伝子を持った種・タイプ」ということになります。

一般的に水生植物は水の流れに沿って流域内を上流から下流へ移動することが多いと考えられます。在来の生態系へ悪影響を及ぼす可能性を極力減らすためにも、流域内、同水系で採取したものを用いましょう。

植物の採取には、植物をそのものを採らずに、植物の種子が入っているかもしれない土を採取する方法もあります。これは土壌シードバンクや埋土種子と呼ばれる土壌内で休眠している種子からの発芽を期待する手法ですが、外来種やビオトープの管理を難しくする種の種子が含まれている可能性もあります。管理の難易度が上がるので上級者向きです。

STEP 11

ビオトープを造成する

  • 赤玉土を踏んで砕く
  • 砕いた赤玉土
  • プラ舟のなかに赤玉土で斜面をつくる
  • 水草を植え付ける
  • 注水したプラ舟ビオトープ

予備知識は前のステップで完了。それでは実際にプラ舟やプランターを活用した水辺ビオトープの作り方の一例を紹介していきます。主な手順は以下の通りです。

敷き土となる赤玉土をある程度潰し、それを容器に入れて陸地→浅い場所→深い場所と、緩やかな斜面を作りだします。この斜面の造成時は土を軽く湿らせて圧をかけながら形づくっていきます。注水したときに地形が崩れない硬さ、そして植栽した植物が定着しやすい硬さを意識します。加える水分が多すぎると土がグチャグチャ、トロトロになって固まりません。

続けて、地形に合わせて植物を植えていきます。動物の来訪を期待するなら、彼らの生態に合わせて植物を配置する必要があります。水辺を求める多くの動物は水面のきらきらした光を目印にして水辺を探していますから、ある程度開けた水面が必要です。植物に産卵したり植物の隙間に隠れたりする動物もいます。開けた水面や生き物の隠れ家、水中と陸地の連続性を意識して植物を配していきます。

レイアウトができたら置く場所を決めて移動させます。 水を入れてから容器を動かすのは重くて大変ですし、水が揺れると土が崩れてせっかく植えた植物が倒れてしまうので、可能な場合は最初の作業から設置場所で作業をするのが理想です。少なくとも、移動は水を入れる前に行ないます。置く場所によって、やってくる動物が変わります。 日当たりの良い場所に置けば明るい場所を好む動物が、樹の下などに置けば暗い場所や涼しい場所を好む動物がやってくるかもしれません。

置き場所が決まったらいよいよ注水します。 勢いよく水を入れると土がくずれて植物が抜けてしまうこともあるので、ちょろちょろと少しずつ水を入れるように気をつけましょう。これで“ひとまず”の完成です! しかし、人が作った自然の一部であるビオトープは完成後も様々な維持管理が必要です。そしてそこに暮らす生物は刻々と変化しますので、本当の意味での完成はないのかもしれません。

STEP 12

ビオトープを観察する

  • ビオトープで羽化したギンヤンマ
  • どこかから飛来したケシカタビロアメンボ

ひとまずの完成を迎えた水辺ビオトープは、ビオトープの環境条件や設置場所の環境条件に合わせて何かしらの動物の生息場所になります。その生きものはビオトープの持つ環境条件の写し鏡です。目論見通りの結果になる場合もあれば、考えたとおりにはいか ないこともあります。私はうまくいかないこともビオトープづくりの醍醐味だと思っています。「もっと良くするためには何が必要なのか?」と考え、試行錯誤することにビオトープづくりの楽しさがあります。

そして、ビオトープにやってくる動物には地域の自然環境が反映されます。明るい水辺を好むトンボは周辺に明るい水辺にあることを教えてくれますし、水草が繁茂した水辺を好むアメンボの仲間がやってくれば周辺に水草が繁茂した水辺があることを教えてくれます。そのアメンボの仲間の移動能力がそんなに大きくなければ、その水辺はとても近くにあるのかもしれません。

新たに生まれた自然環境にやってくる生きものの供給源を専門的には「供給ポテンシャル」と呼びますが、皆さんがお住まいの地域の供給ポテンシャル(要するに自然度やどのような自然環境条件があるか)を感じ取れるのもビオトープを身近につくる面白さ、有意義さかもしれません。

もちろん、植栽した植物の生長を見守ったり、やってきた動物やビオトープで育った生き物が羽ばたいていくのを観察するのは楽しみの基本です。

STEP 13

ビオトープを維持管理する

  • 伸びすぎた葉を剪定する
  • 増えた株を間引く

ビオトープは管理し続けないと遷移が進み、環境条件が単一になって多様な生物の生育・生息場所とはなりえなくなります。特に水辺ビオトープは水辺として維持することも難しくなってしまいます。生物の観察結果や自然環境条件の変遷を踏まえて適宜維持管理や改修を進めていく手法を「順応的管理(アダプティブマネジメント)」といいますが、以下に指針をいくつか挙げておきたいと思います。

・水が減ったら注水する(水質の変化を最小限に抑えるためになるべくこまめに)。

・植物が増えすぎて水面の大部分を覆ってしまう場合は刈り取りや抜き取りをして水面を開ける。小さい水辺ほど水面反射で水辺を探す動物へのアピール力が弱くなりがちなので、こまめに植物による被覆を調整すると良いでしょう(もちろん、植物が繁茂した水辺ビオトープが好みだったり、そういった環境を好む動物が暮らすビオトープが希望であれば繁茂していても良いです)。

・適切な場所に移動させる。日頃の観察から「明るい場所を好む動物が来てほしいのに設置した場所の日照があまり良くないな」とか、「暗い場所を好む動物に来てほしかったのに意外と日当たりが良い場所に置いちゃったな」 と感じた場合は、水を減らしてから移動させてみましょう。移動させられるのはプラ舟やプランターなどの容器を用いてつくる水辺ビオトープの最大の利点のひとつです。

・水底の落ち葉を適量に保つ。冬になると多くの水草は枯れてビオトープの底に溜まります。枯れ残りや倒れて水底に堆積した水草、ビオトープの周囲の落葉樹の葉は、冬越しする動物隠れ場所になりますが、たくさん堆積するとビオトープの水深を浅くしたり水質を悪化させるおそれがあるので、生物や水質の様子を見ながら適宜取り除くと良いと思います。その際、例えばヤゴなどの動物たちがその裏や隙間で休眠しているかもしれません。よーく観察して彼らをレスキューしながら作業を行ないましょう。

STEP 14

『やった!レポ』に投稿しよう

完成したら、写真をとって『やった!レポ』に投稿しましょう!苦労したことや工夫したこと、感想などあれば、ぜひコメントにも記載してください。

MATOME
まとめ

世のアウトドアの遊びは人が自然を一方的に利用するものがほとんどです。人が生き物のためにプラスの働きをするという点で、ビオトープづくりはそれらと一線を画しています。たとえ望むような生き物がなかなか来てくれなくても、生き物がまったく利用しない水辺ビオトープはありません。人が生き物のためにすみかや休憩所を提供する、そのことに大きな価値があると私は考えます。

水辺ビオトープをつくったら、ぜひそこを訪れる生き物を観察し、記録してください。SNSでその様子を発信するのもよいでしょう。それに触発されて水辺ビオトープをつくる人が増加したら、いつかそのビオトープを生き物たちは行き来するようになるでしょう。

そして失敗した話や成功した話をぜひ『やった!レポ』にも投稿してください(それこそ、ビオトープに生き物が集まるように……)。私の記事を核にして、いろいろなエピソードが集まり、環境がより豊かになることを楽しみにしています!

GROW CHART
成長スコアチャート
野性2
5知性
3感性
アクティビティ
つくる
環境
街 ・ 公園
季節
春 ・ 夏 ・ 秋 ・ 冬
所要時間
1日以上
対象年齢
4才以上(保護者同伴)
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