八ヶ岳山麓の標高750mの山里で自給的な暮らしをしています。この標高だとサトウキビは栽培できません。カエデの樹液からメイプルシロップはつくれますが1シーズンかけてつくったメイプルシロップはパンケーキ3回でなくなってしまいます。その点、蜂蜜は優秀です。ここ虫草農園で育てているのは、ニホンミツバチという在来種。セイヨウミツバチに比べると採蜜量は5分の1程度とかなり少ないのですが、それでもひとつの巣から1シーズンで2000cc以上の蜂蜜が採れたりします。 さらにミツバチたちは別の幸運をももたらしてくれました。ハチを飼い始めてから畑の作物、特に実モノの出来がよくなったのです。虫草農園は無農薬、無化学肥料、放任に近いいい加減な栽培方法なのですが、それにもかかわらず、アンズはジャムを販売できるくらいにたくさん採れるし、桃も1本の木で200近い袋をかけています。さらには、野菜などのタネを自家採種する上でもミツバチはありがたい存在。優良なタネがたくさん採れます。 ミツバチは健気で可愛くて観ているだけでも癒やされるのですが、ミツバチを飼うことでハチたちは、われわれヒトと自然との間でいまどんなことが起きているのかを教えてくれます。
人間の暮らす街を生活の場とする鳥、「都市鳥」。人がつくった環境を積極的に活用する鳥、一度は姿を消したものの再度都市へと進出してきた鳥、都市化によってすみかを追われ細々と生き残っている鳥……。そんな都市鳥のなかには、都市で繁殖するものがいます。その代表がスズメですが、彼らが好んで巣をかけた瓦屋根がなくなったことで、スズメは繁殖の場をなくしたと考えられています。スズメをはじめとする馴染みの鳥たちと今後もご近所付き合いができるかどうかは、食事を採れる場所と子育てできる場所を提供できるかどうかにかかっています。観察しやすい庭木に巣箱を置いて、家賃がわりに鳥たちの不思議を少しだけ覗かせてもらいましょう。
「糒(ほしいい)」とも書かれた乾飯は、炊いたご飯を乾かして保存期間を飛躍的に伸ばしたもの。日本人はふるい時代からこの保存食を活用しており、天平10年(738年)の駿河国正税帳には乾飯を納めた倉のことが「糒倉」として記録されています。第二次世界大戦では日本軍の要請によりアルファ化米(乾飯はこれの一種)の研究が進み、今もアルファ化米は炊飯なしで食べられる白飯として重宝されています。現代の保存食の原点でもある乾飯を自宅の台所でつくってみましょう。
“「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではない”