フリーの編集者。実用書をメインに活動。趣味は物作りと、生き物観察、釣りや登山などアウトドア。釣り好きが高じて、築地に通い魚食普及を推進するおさかなマイスターの資格を取得。HP:http://funfun-design.com/
魚を捌くことは、サバイバルスキルが上がるだけではありません。魚の体の構造を知ることができたり、魚がどんな食生活をしているのか知る手がかりとなります。
捌くときに、胃袋を開けてみましょう。例えば、胃袋の中にカニがあれば、その魚は捕食のために海の底にいたことがわかります。本来は小魚をメインに食べるはずの魚だとすれば、カニを食べていた理由はなんだろう? 海流に小魚が回っていなかったのかもしれません。それとも、水温が低くて泳ぎ回る活力がなく、単に底にいたからかもしれません。そうやって胃袋にあった餌から、その魚がどうしていたかを想像することで、魚や海全体のサイクルを意識するきっかけになると思います。そうしたイメージの積み重ねで、次に魚を釣るときのヒントのひとつとなるかもしれません。調理をするために魚を捌くだけではなく、自然のヒントを得るきっかけにもなります。
ウロコを落とします。
手で魚をしっかりと固定します。身に対して刃を垂直に立て、尾から頭に向かって軽く押し当てながら引くと、ウロコが剥がれ落ちていきます。終わったら反対側のウロコも忘れずに落とします。
ウロコが飛び散る場合は、シンク内、ビニール袋の中に魚を入れて落とすとウロコが飛び散りません。
イワシなど、小さな小魚やウロコが薄く剥がれやすい魚は、水洗いでも落ちます。シロギスなど小さな小魚は、ペットボトルの蓋などで軽く強めに押し当ててなぞるだけでもウロコが落ちます。
頭を落とします。胸ビレを指でつまんで起こし、やや刃を斜めにして魚の中心に向かって刃を入れます。反対側からも同様に行って、頭を落とします。
切り落としにくい場合は、包丁が背骨に当たっているかもしれません。背骨と背骨の間を包丁で貫通させるイメージで落としましょう。
落とした頭や尾を煮込み、漉してお吸い物などスープの出汁にも使えます。
魚の肛門に刃の先端を入れ、頭のほうに向かって腹を割きます。その際、お腹の中に卵があるかもしれないので、なるべく内臓を傷つけないように割くのがベスト。また、内臓器官をナイフで傷つけるとまな板も汚れます。
顎下までナイフが到達したら、刃をたてて、内臓をかき出しましょう。すべて内臓を出したら、水道水で腹の中や全体をさっと汚れを落とし、すぐにキッチンペーパーで水分をとります。まな板や包丁の汚れも水で落とし、水分をとってきれいにしておきましょう。
キッチンで捌く場合は、魚を捌いたときに出るゴミは、ゴミの日までビニール袋に入れて冷凍庫で冷凍すれば臭いません。
スーパーや魚屋さんで売られている魚は、調理がしやすいようにウロコや内臓を落としてあったり、食べやすいようにあらかじめ切り身や開きにしてあります。普段の暮らしでは、時短になり、ゴミも出ず、嬉しいサービスです。しかし、もしも自分で海や川で魚を釣った場合は、自分で捌く必要があるため、習得しておきたい技術です。
また、自分で捌けるようになると、調理するときもワクワクするものです。
一連の流れがつかめるようになったら、手際よくおろすことが、おいしい食材になるための秘訣。慣れるまでは、焦らずナイフや包丁の刃、魚のヒレなどで怪我をしないよう、気をつけて捌きましょう。
普段からスーパーやお魚屋さんで、ウロコつきの丸魚を買って練習しておけば、屋外でも手早く捌けるようになるでしょう。