フリーの編集者。実用書をメインに活動。趣味は物作りと、生き物観察、釣りや登山などアウトドア。釣り好きが高じて、築地に通い魚食普及を推進するおさかなマイスターの資格を取得。HP:http://funfun-design.com/
干物は、保存力を高めつつうま味成分が高まり、食品としても重宝され、古くは縄文時代から今日に至るまで盛んに作られています。販売されている干物は品質がよく、とてもおいしいものです。ですが、この干物は自分でも作ることができ、味付けも自分で調整することができます。干物といってもさまざまな製法がありますが、なかでも素干しの作り方はカンタン。魚を腹開きで開いて内臓など不要な部分を取り払い、海水と同じ濃度の塩水に浸けて天日や陰干し、もしくは一夜干し(夜間に干す)、風通しのよい場所で干して水分を軽く飛ばすだけ。
普段のおかずにももちろんですが、屋外で釣りをしてクーラーボックスがない時などに役立つ便利なスキルです。今回は干し網作りから解説していますが、極端に言えば、魚とナイフ、塩と水あればできるものです。ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
鯵(アジ)または好みの魚
2尾
まな板
1枚
包丁
1丁
キッチンペーパー
適量
バットやボウル(開いた魚を浸せるサイズ)
1個
計量カップ
1個
計り(あれば)
1個
水
浸す分
塩
塩分10%になる分量
(日本酒)※お好みで
適量
<以下:干し網>
角材(長い辺用)
2本
角材(短い辺用)
2本
網(ビニール亀甲網)
1個
ホチキス(木材に打てるもの)
1個
トンカチ or インパクトドライバー
どちらか1個
釘(インパクトの場合はドリル釘/ネジ)
4本
干物を作るには、干し網があると便利です。既製品の干し網は百円ショップなどでも売っていますし、網目が細かくない洗濯ネットなどでも代用可能ですが、オリジナルの干し網を作ってみましょう。
ここでの説明は材料となる角材は長辺が45cmを2本、30cmの角材を2本用意しました。A3サイズよりやや大きめくらいです。作りたい干物のサイズに合わせましょう。また、角材の高さ(厚み)は、開いた魚の厚みより高いものにしましょう。
それぞれの角材をインパクトやトンカチを使って釘やビスで固定し、木枠を2つ作ります。網を作った枠にホチキスで止めて張りましょう。その際、歪みなく張った状態に伸ばしながら張り付けるとよいでしょう。これで完成です。
ちょっと乱暴ですが、洗濯物ハンガーで洗濯バサミで干しちゃう! というのでも、本人が気にならなければOK。作らない場合はここのステップは飛ばしてStep2からの干物作りを実践してみましょう。これから作る干し網は、網を張った木枠を2つ作るだけ。材料となる角材は合計4本。網を張る意味は風通しよく魚を乗せるためと、カラスなどから守るためでもあります。
2つの枠を接続する蝶番などの金具をつけるとより便利になります。
深めのバットかボウルにこれから捌く魚がひたひたに浸かる程度の水を張り、それに対して10%になるよう塩を追加して撹拌します。好みで日本酒や昆布を入れてもOKです。
例:100ccで10%の塩水を作る場合の計算
100cc=90ccの水+10gの塩
まずは魚の肛門に包丁の先端を入れ、顎まで刃で開き、包丁の刃を使って内臓を掻き出します。エラも取り除きましょう。そのあと、腹や表面を水で汚れをさっと落とします。
材料となる魚は魚屋さんやスーパーで丸魚か、処理されている魚を買ってきましょう。もちろん自分で釣った魚でもOK!
Step2で作った調味液が入った容器に、Step3で開いた魚を浸します。時間は20~30分程度でOK。調味液から魚を取り出したらキッチンペーパーで水分をとります。干物作りに慣れたら、塩分濃度や浸す時間のバランスなどを調整するのもよいでしょう。
Step1で作った網に魚を置き、鳥や獣避けでもうひとつの木枠をかぶせます。干す場所は地面から離れた、風通しがよい影干しがおすすめ。
干す時間は環境によってそれぞれ異なりますが、目安として尾の付け根など肉が少ない場所が乾燥しきらない程度がちょうどよいでしょう。
今回は短時間でできる天日干しにしていますが、天日干しは季節によっては太陽の光が強すぎるので、夜間や陰干しなどがおすすめ。いずれも風通しのよい場所で3~5時間程度が目安になります。
干す時間は、魚の種類や大きさ、塩分濃度、季節など気象にもよって変わるので、様子を見ながら干してみましょう。
でき上ったら、グリルで弱火でじわじわと焼いてみましょう。
素干しで水分が飛び、凝縮された肉のうま味が口いっぱいに広がります。
すぐに食べない場合は、なるべく空気を抜いた密封袋などに入れて、冷蔵庫で保管。ラップで包む場合はすでに身が乾燥しているため密着しにくく、空気に触れやすいため、なるべく早めにいただきましょう。
自分で干物を作ってみて、「やった!レポ」に投稿しませんか?質問や感想はコメントに記入してください。
今回は、干物を干すための干し網作りから解説しました。干し網といっても、鳥や獣から干物を守れればなんでもOK。作るのが面倒であれば、百円ショップで干物の網も売っていますし、洗濯網を工夫してもOK。要は地面から高い場所に設置し、虫や犬、地域の動物たちや、上からは鳥が持って行かれないよう網を二重にできればよいのです。
実際、釣りの現場でも船長さんの許可をもらう必要がありますが、釣りをしていると船で捌いて干す人もたまにいます。キャンプなどレジャーシーンでは役立つスキルだと思います。
現在では、干物用の「脱水シート」を使えば、冷蔵庫で作ることができ、このことにより脂質の酸化をなるべく防いで作ることも可能です。干し網を作ったり買ったりするのはハードルが高いな、という人は、脱水シートと魚、これだけで大丈夫なのでぜひ挑戦してみてくださいね。
いろいろと工夫してみたくなったら、調味液を自分好みで配合してみたり、干す方法を凝ってみたり、自分だけの干物のレシピを作ってみてはいかがでしょうか。