30年前に茅ヶ崎に移り住むと同時にサーフィンを始め、ここ10年はトレイルランニングが趣味。日頃は海岸沿いのサイクリングロードをジョギングしながら海をチェックし、散歩のついでにビーチコーミングを楽しんでいる。仕事はテクニカルライター。著書は70冊を越える。近著「詳細!Python 3入門ノート」、「詳細!Swift 3 iPhoneアプリ開発入門ノート」、「詳細!PHP 7入門ノート」。
海岸にはさまざまな漂着物が届きます。ビーチコーミングは、そんな漂着物を拾い集める楽しみです。浜辺で拾うと言えば「貝拾い!」ですけど、貝拾いはビーチコーミングの一部に過ぎません。少し気を付けて浜を歩くと、本当にビックリするほどいろいろな物が打ち上がっています。そしてその中に「あっ!これキレイ!」「かっこいい!」「可愛い?」「なんだこりゃ?」と思える物が見つかるのです。
ぼくは歩いて3分で海岸に出ることができるところに住んでいるので、日常的にちょっと海岸を散歩してビーチコーミングを楽しんでいます。部屋に戻ると海から持ち帰った物が本当にたくさん保管されています。貝殻類の多くはぼくの奥さんが集めた物ですが、ぼくは石ころ、流木、おもちゃ、陶器片、漁具などのゴミ(笑)担当です。
そんなビーチコーミングの達人!であるぼくが、いったい何を拾えばいいんだろう?探し方や拾い方のコツ。持って帰ってどうしよう。何か気を付けることはない?といった疑問に応えましょう。我が家のコレクションもちょっと見てくださいね。みなさんの感性が試されます!
拾った物を入れる容器(固形ガムの容器など)
水切りザル(直径15cm程度)
分類・保管するための透明ケース
ビーチサンダル
帽子(アゴヒモがあるとよい)
はじめに、ビーチコーミングでいったい何が拾えるのか、いくつか紹介していきます。浜辺には、いろいろなものが打ち上がりますが、大きく分けて「自然物」と「人工物」の2種類があります。ここでは、代表的な自然物を紹介します。
もっともポピュラーで人気の高いものが、きれいな貝殻やサンゴなどではないでしょうか。色や形、サイズもそうですが、その種類も本当にたくさんあります。同じ種類の貝でも小さい物から大きい物まで集めると、成長の過程がわかったりと面白いものです。
その他には、かっこいい流木や、角の丸くなった石や軽石、リスやネズミがかじった跡のある木の実や種などがあります。どこから、どのように流れてきたか、想像するだけでも楽しくなります。
続いて、人工物をいくつか紹介しましょう。人工物で人気のあるものとしては、ガラスの破片が砂で摩耗して角が取れて、表面が磨りガラスのようになった、神秘的でキレイなシーグラスがあります。
その他、角が丸くなった陶器の破片や、スーパーボール、おもちゃ、人形、ビンなど。なかには、外国語の文字が書いてある漁具やペットボトルも見つかります。漂流物を見ていると、ちょっとした世の中のトレンドが見えてきたりして面白いものです。
どんなものが拾えるかわかったところで、いよいよ実際にビーチコーミングに出かける準備をします。物を拾うのですから、拾った物を入れる容器が必要です。おすすめは、直径15cm程度の水切りザル、または固形ガムなどが入っていたポケットサイズのプラスチック容器など。ガムの容器がおすすめな理由は、ガムを捨てる用の紙が入っている部分と本体とで2層になっているから。なぜ2層になっていると良いか?その理由は後ほど…
欲張って大きなバケツなどは持って行かず、ポケットに入る手頃なサイズにしておきましょう。適度に小さな容器にしておくのも「ステキなもの」を集めるノウハウの1つです。
浜辺に出かける服装としては、裸足は避けて、足に怪我をしないように必ずビーチサンダルなどを履くようにしましょう。次に、日射し対策もありますが、海風で髪が顔にまとわりついて面倒くさいので、アゴヒモのついた帽子があると過ごしやすいです。また、海風に長く吹かれていると夏でも肌寒くなってきます。そんなときは、ウィンドブレーカーがあると安心です。浜辺に2時間ぐらい居ても快適に過ごせる服装を目安にしましょう。日焼け対策や熱中症対策も忘れずに!
どこの海岸でも何かしら拾えますが、ビーチコーミングをするなら外洋に面している砂浜がいいですね。狙い目としては、流木なら台風が去った後、貝は季節の変わり目に多く上がります。また、荒い波よりも静かに寄せる波のほうが多く上がります。
出かける時間帯としては、満潮だと浜が狭いので、潮が引いて満ち始めたころを狙うとベストです。満潮干潮の時間は、事前にネットで「潮見表」などで検索をすれば調べることができます。海岸によって時間が違うので、出かける場所の情報を調べましょう。
広い海岸のどこを探すかと言えば、それは波打ち際です。はじめに浜の端まで行き、波打ち際に沿ってゆっくり歩くのがコツです。漂着物は同じところに集まるので、何か1個見つけたらそのまわりもよく探しましょう。
また、気になるものを見つけても、いきなり素手で触るのではなく、まずは棒などで危険がないかチェックしてください。波打ち際には、アカクラゲ、カツオノエボシといった毒性の強いクラゲが打ち上げられていることがあります。エイの尾やゴンズイという小魚にも毒があります。むやみに素手で触らず、必ず危険がないかしっかり確認しましょう。
※大きな波は周期的に打ち寄せます。砂浜がどこまで濡れているかに注意して、気をつけましょう。台風が近づいているときは特に注意してください。
※釣り針がついたテグス(釣り糸)が落ちていることがあります。テグスを見つけたら、流木などにグルグル巻き付けて必ず持ち帰って捨ててください。そうすることで、水鳥を守ることもできます。
いろいろ落ちていると逆に何を拾えばいいか迷いますよね。そこで「勝ち抜きオーディション」です。最初は気軽に目に付いたもの(ここでは石)を1個拾います。少し歩いてまた「これもいいな!」というものがあったら先に拾ったものと比べて気に入った方を残して、先のものは捨ててしまいます。これを繰り返すことで、最後に今日1番のお気に入りが手元に残ります。
このように、気になったものをそれぞれ拾い集めていきます。いくつかお気に入りが集まってきたら、持ってきたケースが役に立ちます。石のような固いものと、薄い貝殻のようなものがある場合、ケースが小分けになっていると、別々の場所に入れられるのでぶつかって壊れる心配がなくなります。
また、できるだけ大きな漂着物は避けて、持ってきたケースに入るサイズのものを拾うのもビーチコーミングを続けるコツです。でないと家が大変なことになります(笑)。欲張らず、1日で持ち帰る量も少しにします。ここでの取捨選択が結果としてよい物を残します。
乾燥していないヒトデ、ウニ、イカの骨(白い板に見える)などは拾って帰ってはダメです。理由はいつまでも臭いからです。写真を撮るだけにしましょう。
浜辺の端まで歩いたら戻りながらもう1度チェックします。潮が上げているときなど、歩いている間に新しい何かが打ち上がることはよくあることです。波打ち際が期待薄の日は、少し内側の砂浜をチェックして歩きます。砂浜には打ち上げられた流木の破片などがラインになっているので、それを探りながら戻ります。
持って帰った漂着物は水切りザルに入れて、水に半日ぐらいさらしておきます。これで塩が抜け、同時に砂もきれいに落とせます。きれいに見える物でも必ず塩抜きをしましょう。そのままだと塩で痛みます。洗剤などを使って洗う必要はありません。肉が付いている貝は酵素系漂白剤に漬けておくと取ることができます。
半日ほど塩抜きしたならば、ザルを上げて日陰でそのまま乾かします。きれいになって乾いてくると拾ったときとは印象も違ってきます。乾いて魅力が増す物がある一方、魔法が解けたように逆になんだかつまんなくなってしまう物もでてきます。魅力が失せた物は拾った海岸へ捨てに行きましょう。シーグラスなどは、海に返すともっとよくなって帰ってきます。キャッチアンドリリースの精神ですね!
貝殻類は、種類や大きさ、色などで分けて透明ケースに入れ、石は模様や色などで分類します。ケースは、釣具屋や100均などで透明ケースを探すのがおすすめです。お漬け物などが入っていたプラスチックケースもいいですよ。ケース選びもビーチコーミングの楽しみの延長と言えるでしょう。
標本として貝や石の名前をちゃんと調べるといいんですが、そこまでやらなくても全然OKです。色、模様、形など、自分基準で好きに分類してください。ケースやビンが一杯になったなら、それをひと区切りとして次からは別の種類の物に目を向けて興味の守備範囲を広げて行くのも良いでしょう。
キレイなもの、かっこいいもの、可愛いもの、なんだこりゃ?というものなどが拾えたら、写真を撮って『やった!レポ』にアップし、みんなとシェアしましょう!感じたことや気づいたことがあれば、コメントに添えてください。
ビーチコーミングは、浜辺での時間をちょっと豊かにする手軽な遊びです。1度っきりではなく、何度も浜辺に通うことでビーチコーミングの楽しみは膨らみます。夏の海にしか出かけないという人が多いですが、ビーチコーミングは1年を通して楽しめます。季節ごとに漂着物も変化していくので、その違いに気付いたら初心者卒業です。
何となく拾って帰った物でも、集めていくうちに「自分ってこういう物が好きなんだなぁ」と逆に気付かされるに違いありません。自分の価値観を広げ磨いてくれるビーチコーミングに、ぜひみなさんもチャレンジしてみてください。