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2019.01.311068 views

雪の結晶を観察し、天からの手紙を読んでみよう

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神田健三

中谷宇吉郎雪の科学館 友の会会長
上空数千メートルの奇跡を知ろう

冬の空から舞い降りる雪の結晶を見たことがありますか?
雪の結晶は、六角形を基本としながら、ひとつとして同じものはないと言われています。そして、地上に降った雪は、気温が上がるとすぐに溶けてしまいます。そんな美しくも儚い雪の結晶は、「天からの手紙」でもあるのです。

「雪は天から送られた手紙である」― 雪に魅せられ、世界で初めて人工雪を作ることに成功した中谷宇吉郎博士(1900~1962)の有名な言葉です。博士は、北海道の十勝岳中腹の山小屋で撮った3,000枚もの雪の写真をもとに、初めて結晶の分類を行いました。そして、人工雪を作る実験から、結晶の形は気温・水蒸気量と関係があることを発見しました。その成果をもとに、結晶の形から、それらができた雲の温度や水蒸気量が推測できると考えたのです。つまり、降ってくる雪の結晶を観察することによって、はるか上空の気象状態を読み解く可能性がでてきたのです。

このHOW TOでは、中谷博士の有名な言葉を体験するために、雪の結晶を撮影・観察し、実際に自分で受け取った「天からの手紙」を読み解く方法を紹介します。

繊細な造形に記録されたメッセージを読み取り、自然の不思議を味わってみましょう。

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STEP 1

いろいろな形の雪の結晶を知ろう

  • Sp 86aecf07 1147 40c4 9e34 bf6c402d6bff
    写真(1)
  • Sp 5a911b4d 2fae 4265 9e18 cde98767ad86
    写真(2)
  • Sp 8023fdda d9c1 474f a3e1 bc0f7fd6d6eb
    写真(3)
  • Sp c91e99b4 95eb 4801 859d 076a53b97046
    写真(4)
  • Sp d2ac6606 1960 4f22 bf66 329c50c77bb9
    図(1):中谷宇吉郎雪の科学館のHPより

雪の結晶というと、写真(1)のように木の枝を六方に伸ばしたような「樹枝状」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?実際には、それ以外にもいろいろな形のものがあります。

写真(2)は、枝が出ない整った六角形の「角板」や「角板の付いた樹枝」、「扇形」や小枝がなくすっきり伸びた「星状六花」など。また、写真(3)は、短い鉛筆のように六角形が縦に伸びた「角柱」、細くいちじるしく伸びた「針」、角柱の先に樹枝が広がった「つづみ型」や「砲弾型」です。

写真(4)は、六花のまわりに雲粒がついた「雲粒付き」結晶や、更にたくさんの雲粒がついた「あられ」などがあります。

図(1)は、中谷博士が初めて作成した雪の分類表です。
※中谷博士による分類の後、南極などで見つかった結晶も加えた、新たな分類表も作られています。

STEP 2

雪の結晶の形と温度・水蒸気量の関係を知ろう

  • Sp aee5d554 ce66 4a69 ad5f 1846e4b9dd7c
    図(2)中谷宇吉郎雪の科学館のHPより
  • Sp 7bd55a42 7a7c 4f12 a44b a48f6c8e056a
    図(3)雲粒から氷晶へ
  • Sp 9342eac7 7f73 4c42 870e b3e1752e46d7
    図(4)気温により、縦と横に成長
  • Sp 4be48d25 be37 463f 8261 f4c0d3190590
    図(5)降下とともに成長

雪の結晶は、どうしていろいろな形になるのでしょう?それは、中谷博士が人工雪の実験で、結晶の形と気温・水蒸気量の関係をまとめたダイヤグラムによって明らかになりました。

「中谷ダイヤグラム(図2)」によれば、例えば、樹枝状結晶は-15℃前後で水蒸気が豊富なときにでき、同じ-15℃でも水蒸気が少ないと角板になります。また、気温が-6℃位で水蒸気が多いと針の結晶ができ、角柱は水蒸気量が少なく-3~-10℃か、または-22℃以下でできます。

そして、これを逆に考え、例えば降ってきた結晶の形が針であるなら、「この雪ができた雲は-6℃位だ」などと上空の状態が推定できるようになりました。そこで、中谷博士は「雪は天から送られた手紙である」と表現し、名言となったのです。

更に遡って、雪の誕生を見てみましょう。雪は雲の中で生まれます。雲は「雲粒(小さな水の粒)」の集まりでできており、それが空気中に浮かんだ微細な塵などの「核」になる物質に触れると凍ります。そして、雲の中に氷ができると、氷のまわりから水蒸気(水の分子)が集まってきて成長し、球の形からゴルフボールのような形を経て、六角の短い柱の形の「氷晶」になります。これが雪の赤ちゃんです (図3)。

氷晶はその後、気温によって横に広がりやすかったり(0~-3℃、-10~-22℃)、縦に伸びやすかったり(-3~-10℃、-22℃以下)という違いができ、また、水蒸気が多いと激しく複雑に伸びます。中谷ダイヤグラムの背景には、このような関係があります (図4)。

また、結晶は中心から外側に成長します。そのため、結晶の中心部からは初期の高い位置の気象状態が読み取れ、結晶の周辺部からは、それよりも低い位置の状態を読み取ることができます(図5)。

STEP 3

撮影に向けて準備をしよう

  • Sp ac0d90b9 d978 48dd b896 798639202e05
    撮影に向けて準備するもの

雪の結晶の読み取り方がわかったところで、ここからのSTEPでは、実際に降ってくる雪の結晶を撮影し、上空の様子を推測してみます。

撮影に向けての準備として、地域によっても異なりますが、いつでも雪を観察できるとは限らないので、あらかじめ天気予報で雪が降りそうな日と時間を確認しておきましょう。

また、必要なものを上の写真を参考に揃えておきましょう。ここでは、スマートフォンのカメラで撮影します。結晶は小さいので拡大して撮るために、100円均一ショップなどで購入できるスマートフォン用のマクロレンズ(10倍程度)と、インターネットなどで購入できるマクロレンズ(60倍程度)のものも準備しました。

布は、結晶をくっきり撮影するため背景として使います。ここでは、手芸用のフェルトを手頃なサイズにカットしたものを使います。

MATOME
まとめ

雪の結晶は、自然の造形の中で最も美しいもののひとつといっていいでしょう。その形は上空の状態や、降りてくる環境によって作り出され、皆さんのもとに届きます。このHOW TOでは、雪の結晶を読みとることで、それらが生まれ育った壮大な冒険を振り返ることができました。

また、雪の結晶の構造を読み取ることは、自然の不思議や魅力に触れるだけではなく、時には私たちの生活を悩ませる、大雪などの降雪現象の実態を解明することにも繋がります。

自然は常に、私たちにメッセージを投げかけているのかもしれません。これまでの、ただ白くて綺麗な雪という印象から少し視点を変えて、雪を「天からの手紙」と捉え、観察を続けてみてはいかがでしょう。

※さら詳しく知りたい方に
《おすすめ体験》
「中谷宇吉郎 雪の科学館(石川県加賀市)」
中谷博士が実際に撮影した雪の結晶写真の展示や、様々なイベントやワークショップが実施されています。
http://kagashi-ss.co.jp/yuki-mus/yuki_home/

《おすすめ書籍》
「雪(著:中谷 宇吉郎 出版:岩波文庫)」
https://www.amazon.co.jp/dp/4003112423
「ろっかのきせつ(著:荒木健太郎、イラスト:小沢かな、出版:ジャムハウス)」
https://www.amazon.co.jp/dp/490676844X

※参考文献
「天から送られた手紙[写真集 雪の結晶]」雪の科学館(著:神田健三)高桑美術印刷株式会社出版
「雪結晶観測のコツ」気象研究所 関東雪結晶 プロジェクト 荒木健太郎 氏
http://www.mri-jma.go.jp/Dep/fo/fo3/araki/snowcrystals.html

※雪の結晶 写真提供
藤野 丈志 氏(株式会社 興和)
ブログ WHITE ICE https://blogs.yahoo.co.jp/white_rime

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