武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業後、デザインオフィスnendoを経て、2009年より日本デザインセンター原デザイン研究所に所属。2014年より三澤デザイン研究室として活動開始。主な仕事に「waterscape」、「UENO PLANET」などがある。
「葉っぱを描いてみましょう」と絵を描いてもらうと、緑色の絵の具やクレヨンを手に取る人が多いのではないでしょうか。葉っぱはどんな色をしているでしょう?実際に植物を観察すると、言葉では言い表せないほど色や質感が豊かです。同じ木に生えた葉っぱでも、一枚いちまい色が異なります。葉脈のかたちも、虫食いのかたちだって違います。
今回は葉っぱを丸くくり抜いた「葉っぱ丸」をつくって、葉を観察してみましょう。葉っぱのかたちが丸く統一されることで、色の美しさや柄の面白さがより一層目に鮮やかに見えてきます。知っていると思い込んでいる葉っぱが、びっくりするくらい美しく思えたり、なんだか別のテクスチャに見えてきたり、知らない存在に思えてきたり・・・。身近なところに潜む感動をきっと発見できるはずです。
葉っぱを見つけに出かけましょう。雑木林に。森に。川原に。近くの公園に。家の庭に。道路脇に。場所は問いません。葉っぱを採集し、ビニール袋やケースに集めてみましょう。
まずは色に注目して葉っぱを探してみましょう。黄色、橙色、焦茶色、赤色、黒色、白色。意識的に葉の色だけに着目すると、いつもよりいろんな色が見えきます。柄にもぜひ注目を。しましま、水玉、まだら、斑点、2トーン。同じ木の葉でも、様々な模様があるのが分かるでしょう。厚みも違うし、硬さも違う。表と裏の質感も違う。よく観察すると、どの葉っぱもみんな個性がある。実際に採取してみることでわかる発見があるはずです。
採集した葉っぱをクラフトパンチに挟み、丸くくり抜いて、「葉っぱ丸」をつくります。薄すぎる繊細な葉や、乾燥してうねりのある葉は穴あけ加工が難しいかもしれません。クラフトパンチが壊れる原因になりますので、あまり無理せず、挟むことのできる厚みを選んで抜き取りましょう。クラフトパンチの裏側から見て、丸い刃から葉っぱがずれていないかを確認してから抜くと確実に綺麗な丸いかたちになります。丸くくり抜いた葉は風で飛んでいかぬよう、袋やケースに入れておきましょう。くり抜いた丸い葉もくり抜き終わったあとの穴の開いた葉も、このあと使用するので捨てずに集めておきます。
クラフトパンチの刃が錆びないよう、葉っぱの水滴をしっかり拭き取ってから、パンチをご使用ください。クラフトパンチが濡れてしまった場合、使用後に布やティッシュで水気をよく拭きましょう。
陶磁器のような葉っぱの丸。ニスをテカテカに塗ったような葉っぱの丸。真っ赤な夕日のような葉っぱの丸。真っ黒くろの葉っぱの丸。チカチカ派手な葉っぱの丸。葉っぱの輪郭がなくなり丸く統一された途端、色や模様、質感がより鮮明に見えてきます。さて、どんな「葉っぱ丸」が見つかりましたか?
「葉っぱ丸」の色に注目して並べてみましょう。
板紙または木板など平らなボードを用意します。赤っぽい葉っぱのグループ、黄色っぽい葉っぱのグループ、緑っぽい葉っぱのグループなど、色ごとにグループ化して並べてみたり、虹色のようにグラデーションに並べてみたり。柄と無地のグループで分けてみたりしても面白いかもしれません。並べ方のルールは自由です。丸くくりぬいた葉っぱの色チップは、他にどこにもない唯一無二のもの。世界でひとつの自分だけの「葉っぱ丸」カラーチャートをつくってみましょう。面白いチャートが完成したら、カメラなどで記録しましょう。
風が強くなってきたら、せっかく丸くくり抜いた葉っぱの丸が吹き飛んでしまうかもしれません。風がある場所ではテープで平板に留めるようにしましょう。
「葉っぱ丸」をはめ替えてみましょう。
くり抜いた丸い葉と丸く穴の開いた葉を用意します。葉の丸い穴に別の葉でつくった「葉っぱ丸」を組み合わせると、葉の色や質感の違いがより鮮やかに見えてきます。自分だけの自然の色彩構成を楽しむことができます。
時間が経過すると、摘んだ葉っぱが乾燥して萎れてしまうことがあります。面白い組み合わせができたら、カメラなどで撮影し、ぜひ写真に残しましょう。
「葉っぱ丸」をつくったら、ぜひ『やった!レポ』に投稿して、体験をシェアしませんか? 感想は「コメント」に記入してください。
今回のワークショップは葉っぱを丸くくり抜くだけ。たったそれだけで、地面に落ちている葉っぱを見ているときには気づかないような、色や柄や質感の違いがはっきり見えてきます。色の鮮やかさに、きっとハッとするはずです。自分は身近にある葉っぱのもつ美しさを分かっていなかった、と。
一枚いちまい、すべての葉っぱには違いがあり、同じものはないという当然の事実。ただ風に揺れる植物を眺めていても、そのことにはなかなか意識が向きません。「自分が手に取った一枚の葉っぱは、他にどこを探しても見つけられない特別なもの。」そう思って草木を観察するだけで、なんだかワクワクしてきませんか?
私たちの身近なところで喜びや感動は見つけることができます。葉っぱを丸くくり抜いてみることをきっかけに、身の回りの見方がもしかしたらちょっと変わるかもしれません。
※本企画のもととなったワークショップ「視点の採集」は、ウェブマガジン六本木未来会議アイデア実現プロジェクト「森の学校2019」にて実施しました。
https://6mirai.tokyo-midtown.com/project/pjt04_03_01/