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日本伝統の履き物「足半」と「わらじ」を作って使ってみよう!

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GO!GO!編集部

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着古した服や紐から履き物を作る!

靴が普及するまで、日本人が愛用してきたのが鼻緒のある履き物。なかでも、藁や茅といった入手しやすい素材で作られた足半(あしなか)やわらじは、庶民に重宝されました。その制作法はいたってシンプル。草の繊維から作った1本の紐を折り返して4本の軸をつくり、それに植物でできた紐を隙間なくからめてシート状にして、足にむすぶための紐をつけるだけ。構造が単純なので、作り方を覚えるのも簡単です。野で手に入る植物や廃物から履き物をつくってみませんか?

READY
準備するもの
  • 【足半】 】

  • 着古したシャツ

    1~2枚

  • PPロープ

    1.5m

  • 【わらじ】

  • 藁縄

    15m程度

  • 【共通の準備物】

  • 裁ちばさみ

    1本

  • 針金

    1本

  • ビニールテープ

    1巻

  • 厚紙

    1枚

STEP 1

Tシャツを切ってヤーンを作る

  • 写真1。胴部分を細長く切り出す
  • 写真2。切り出した生地を引っ張って丸める
  • 写真3。内側に丸まったヤーン
  • 写真4。素材一式。ヤーンとPPロープ
  • 写真5。このかたちで紐をかける

足半はその名のとおり普通のぞうりの半分の長さしかない小ぶりなぞうり。必要な素材が少ないので、短時間で編み上げることができます。植物繊維からも作れますが室内履きにするなら着古したTシャツ等で作ると、足へのあたりが柔らかくなります。

Tシャツを用意したら、裁ちばさみで胴の部分を切り分けます(胸、袖の部分も利用可能ですが今回は不使用)。胴を筒状に切り出したら、裾から横方向にはさみを入れ、5cmの幅で1本の細長い紐状に切り出していきます(写真1、2)。

紐状に切り出したら、両手でつかんで生地を強く伸ばします。すると切れ端がくるりと内側へと丸まります(写真3)。これでヤーン(編み糸)が用意できました。成人男性のLサイズのシャツなら、脇の下で切った胴の部分だけで足半1足ぶんのヤーンを取ることができます(今回は製作手順がわかりやすいよう、シート部分と鼻緒で色の違うシャツを使っています。写真4)。

ヤーンのほかに必要なのがヤーンを巻き付ける軸となる経糸(たていと)。今回は直径8mmほどのPPロープを1.5m切り出して軸としました。これを写真5のように折り返して、足の親指と人差し指ではさみこんだら準備完了です。写真5では、土踏まずのあたりでロープが交差していますが、最後の締め上げでこの交差を使って布地を引き寄せます。クロスさせることを忘れないようにしましょう。

STEP 2

PPロープにヤーンを固定して編み始める

  • 写真1。ひばり結びでヤーンを固定する
  • 写真2。内側の経糸2本を固定する
  • 写真3。2回目は下側から経糸を押さえる
  • 写真4。以降は4本の経糸を縫うように
  • 写真5。指でヤーンを引き密度と幅を調整

折り返しの中心部に写真1のような形でヤーンをからめて引き絞ります。先端側の残ったヤーンはPPロープにくるくると巻き付けておきます。ヤーンの本体側も同様にPPロープに数回巻き付けたら、どかしておいた内側にくる経糸2本を重ね、ヤーンで写真2のように押さえつけます。そのまま左側の経糸にヤーンをからめたら、今度は中2本の縦糸をヤーンで下側から押さえつけます。これで、内側2本の経糸の固定が完了です。ちなみに、この編み始めの部分がつま先側になります。足半、わらじともに、つま先側から編んでいくのでサイズ感を確認する時はそのことに注意してください。

ここからはヤーンを4本の経糸を上下に縫うように往復させて、足を載せるシートを編み上げていきます。ここで注意したいのがPPロープの間隔です。PPロープどうしの間隔を意識して広く保たないと、シートの幅が狭くなってしまって完成後に足がはみ出してしまいます。ヤーンを経糸にからめたら、写真4、5のようにそのつど指で手元側へ引き寄せてヤーンの密度を高め、自分の足幅に合うように調整していきます。

STEP 3

鼻緒を入れる

  • 写真1。ヤーンを切り替える
  • 写真2。鼻緒用ヤーンは2往復程度させる
  • 写真3。さらに鼻緒用ヤーンを追加する
  • 写真4。3本のヤーンを編んで鼻緒を作る

10cmほど編んだところで、鼻緒となるヤーンを挟みこみます。それまで編んでいたヤーン(写真で肌色の布地)を内側の経糸にからめてから切り、鼻緒の素材になるヤーン(黒色)を隣に新たに追加して経糸にからめていきます(写真1、2)。

鼻緒となるヤーンが一番外側の経糸にきたところで、新たに黒色のヤーンをもう1本追加。写真3のようにヤーンを追加して、3本の黒いヤーンを三つ編みにして鼻緒を作り出していきます。無理なく3本のヤーンをからめていくと、平紐状の鼻緒ができていきます。

STEP 4

鼻緒を固定する

  • 写真1。足を載せて鼻緒の長さを確認する
  • 写真2。2本のヤーン内側の経糸にからめる
  • 写真3。からめた2本をかたく結ぶ
  • 写真4。残った1本のヤーンは編み込む

鼻緒がある程度編み上がったら、シートに足を載せて鼻緒の長さのあたりをつけましょう(写真1)。親指と人差し指の股を経由して反対側の固定部までの長さが出たら、一番外側の経糸に鼻緒を編んだうちの2本をからめてから内側の経糸にまわし(写真2)、そこで結んで固定します(写真3)。鼻緒になった3本のうちの残る1本のヤーンはそのまま経糸に2往復ぶんからめてから切断します(写真4)。

STEP 5

シートを編み上げて処理する

  • 写真1。少しずつ経糸間を狭めていく
  • 写真2。内側2本の経糸を引く
  • 写真3。最後は残るヤーンをからめて引く

鼻緒用のヤーンを切ったら、新たにシート用の肌色のヤーンを編み付けていきます。鼻緒用ヤーンの切り返し部分から3cmほど進んだら、徐々に経糸どうしの幅をせばめていきます(写真1)。そのまま切り返し部分から5cmほどの長さまで編んだら、内側の経糸2本を引いて、編み上がり部分をすぼめていきます(写真2)。外に出ている経糸のループが小さくなってきたら、残っているヤーンを経糸にからめて引き込んでしまいます(写真3)。

STEP 6

鼻緒を前坪で固定する

  • 写真1。鼻緒に前坪用ヤーンを結ぶ
  • 写真2。前坪用ヤーンを裏側へ引き出す
  • 写真3。PPロープを挟んでから結ぶ

残る作業は鼻緒の固定です。鼻緒とシートをつなぐ親指と人差し指の間に入るパーツの名称を「前坪」といいます。前坪用のヤーンを鼻緒にひばり結びで結んだら(写真1)、2~4回ほどねじり合わせます。続けて足裏側からふたつ折りにした針金を突き通し、針金のループ部分に前坪となるヤーンを通して裏側へと引き出します。このとき、注意したいのがヤーンを引き出す位置。足半の裏側には内側の経糸2本のPPロープが出ているので、このPPロープの左右に前坪用ヤーンを引き出します。引き出したらPPロープを前坪用ヤーンではさみみこんで結んで処理します(写真3)。

STEP 7

余分を切り落として足半が完成

  • 写真1。PPロープを結んで固定する
  • 写真2。余分を切り落として仕上げる
  • 写真3。完成した足半

前坪用ヤーンを結んだら今度は2本のPPロープ同士を結んで固定します。足坪用ヤーンはPPロープを固定し、PPロープは前坪用ヤーンを固定するのでこれで鼻緒が抜けることがなくなります(写真1)。PPロープを処理したら裏側に出ている余計なヤーンをはさみで切り落とします(写真2)。裏側の処理が済めば足半の完成です。

STEP 8

藁を打って縄を綯う

  • 写真1。藁を叩いて柔らかくする
  • 写真2。両手を擦り合わせてよりをかける
  • 写真3。前側の束をつまんで手元側へ
  • 写真4。再びよりをかけていく

比較的簡単な足半で履き物作りに慣れたら、今度はわらじにチャレンジ。わらじはその名の通り藁を素材とする履き物です。市販の藁縄を使っても良いですが、手に入るなら藁そのものを綯うところから始めるとより学びが深くなるでしょう。

入手した藁は手で軽くすいて「はかま」(強度の低い葉)を落とし、台の上に広げて棒で叩いて繊維を柔らかくします(写真1)。続けて霧吹きなどで湿らせてから10本ほどを束ねて末端を結び、それを5本ずつに分けて手を擦り合わせてよりをかけていきます。左手の上に2つの束を乗せ、それを右手で挟み込んでから、右手を前方へ押し出していきます(写真2)。すると2つの束は両手の間で半時計まわりにねじられます。右手がある程度押し出されたら、指先側に来ている束をつまんで今度は手首側へと持ってきます(写真3、4)。これを繰り返すとよりのかかった2つの束がお互いに巻きつき合い、1本の藁縄になっていきます。

藁から縄を綯う方法については、過去の記事の「身近な素材からしめ縄を作り、オリジナルの正月飾りで新年を迎えよう!」で詳しく紹介されているので、そちらも参照してください。
https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/175

STEP 9

わらじ作りの下準備をする

  • 写真1。市販の藁縄。直径5mm程度
  • 写真2。輪ゴムで束ねると扱いやすい
  • 写真3。足の型紙を作っておく
  • 写真4。経糸は足半と同じ要領で

わらじ片足分には経糸に3~4mぶんの藁縄、編みつける緯糸(よこいと)に12mほどの藁縄が必要になります(写真1)。緯糸は長くなるので、束ねてから輪ゴムで留めるとよいでしょう(写真2)。わらじは足半と比べてサイズ感がつかみにくいので事前に自分の足形を段ボールなどにうつし取って切り出し、型紙にします(写真3)。これらが用意できたら、足半のときとおなじ形に経糸を足の指にからめます(写真4)。

STEP 10

経糸に緯糸を編みつける

  • 写真1。摩擦が大きい藁はからめれば留まる
  • 写真2。経糸に緯糸をからめていく
  • 写真3。緯糸を引きつけて密にする

藁縄は木綿のヤーンよりも摩擦力が強いので、スタートはシンプルに重ねるだけで問題ありません(写真1)。スタート時は末端を5cmほど外に出しておくとよいでしょう。経糸を緯糸で挟むように固定したら、4本の経糸を縫うように緯糸を走らせていきます。足半のときと同様、わらじでも経糸の間隔が重要です。幅が狭くならないように意識しながら、緯糸を密に編み付けていきます。

STEP 11

編み進みながら乳をつける

  • 写真1。型紙があると便利
  • 写真2。緯糸を外に出し乳にする
  • 写真3。巻き結びの要領でループをつくる
  • 写真4。乳の根元を巻いて固定
  • 写真5。1対の乳

わらじはぞうりとちがい、側面に出た「乳」とよばれるループに通した縄で足に固定します。この乳は緯糸を少しだけ外にはみ出させてループ状にしたもの。乳の数や位置はわらじのタイプによって変わりますが、おおよそ足裏の長さを3等分する位置に配すればよいでしょう。自分の足の形や骨の位置に合わせて、縄を足にかけたときに邪魔にならず固定しやすい場所を型紙に記して乳をつける位置とします(写真1)。

乳をつける位置に緯糸がきたら3cmほど外に緯糸を出してループをつくり(写真2)、そのループをくるりとひと巻きして固定します(写真3、4)。巻き付けた緯糸はそのまま編み付けて反対側へと送り、対面する場所にもうひとつ乳を作ります(写真5)。

STEP 12

型紙に合わせて編み続ける

  • 写真1。2対の乳をつくる
  • 写真2。型紙でサイズを確認する
  • 写真3。かかとの後方に編み広げる

ときおり型紙を重ねて、自身の足の幅を確認しながら編み進みます。3分の2程度まで進んだらもう一対の乳も作りましょう(写真1)。乳を作ったあとは、足の形に合わせて少しずつ経糸の間隔を狭めていきますが(写真2)、足半と違い、わらじはかかと部分を編んだあとも5cmほど余計にシートを編み広げます(写真3)。これはかかとの後側のくぼみ(アキレス腱のあたり)に固定用のループをもってくるため。ときおり足を載せて、サイズ感を確かめると良いでしょう。

STEP 13

返し輪のサイズを調整

  • 写真1。返し輪の根元を固定する
  • 写真2。針金で余りを縫い込む
  • 写真3。縫い込んだ余りを切除

完成が近づくとわらじの後端には2つの輪ができています。これを返し(あるいは返し輪)と呼びます。この返し輪がアキレス腱のくぼみあたり収まるとフィット感に優れるので、完成間際になったら、編み始めの部分から出ている経糸2本を引いて、返し輪のサイズを調整します。このときに注意したいのが、藁縄の摩擦力。足半で使ったPPロープよりも格段に摩擦が大きく、また藁縄は強度が低いため、無理に引くと経糸が千切れてしまいます。それを避けるため、返し輪のサイズを調整する際はシートの左右から軽く圧をかけて編み付け部分を緩め、慎重に経糸を引き絞ります。返し輪のサイズが決まったら、緯糸を数回巻き付け(写真1)、折り返した針金で緯糸を適当な隙間に数回通します(写真2)。最後に余った緯糸をはさみで切り落とします(写真3)。

STEP 14

「緒」の位置を考える

  • 写真1。完成したわらじ
  • 写真2。前坪あり(右)と前坪なし(左)

ステップ13まででわらじはひとまず完成ですが、よく見るとわらじには前坪にあたるパーツがありません。先端から出ている経糸の残り(これを緒と呼びます)を親指と人差し指の股にかけると、指先がシートの外へとはみ出してしまいます。ところが、わらじとしてはこの構造が正統なのです。わらじは本来、足の指先を外へとはみ出させて使うものです。もちろん、用途や好みに合わせて、前坪の役割をはたすパーツを作ってもよいでしょう。

STEP 15

前坪をつくる

  • 写真1。指の股の位置を確認する
  • 写真2。経糸に沿って針金を通す
  • 写真3。針金の先に緒の先端を固定
  • 写真4。緒を引き込んだ

指先を外にはみ出させたくないときは、緒を少し内側に折り返してから立ち上げ、指の股がかかる場所を内側にするとよいでしょう。足先をシート先端に合わせたら、指の股の位置を確認し(写真1)、その場所から経糸に沿って折り返した針金を通します(写真2)。折り返した針金のループに緒の先端を挟んだら丈夫なテープで固定し(写真3)、そのまま経糸に沿って緒を引き込みます(写真4)。

本来、わらじには左右の別はありません。しかし、このように指の股をかける部分を後ろに下げるときは内側の2本の経糸のどちらかに緒を引き込むことになりますから、中心がずれます。緒の位置を下げるときは右足用、左足用に分かれることを意識して、緒の引き込み方を左右で変えるようにしましょう。

STEP 16

わらじを履く

  • 写真1。2対の乳をとおり返し輪へ
  • 写真2。前後の乳を通した紐にくぐらせる
  • 写真3。そのまま足首に巻いて固定

わらじにはいくつかの型があり、その型ごと緒の巻き付け方は変わります。どの方法が正解でどの方法が間違っているということはないので、自分の作ったわらじにあった装着方法を選べば良いでしょう。

上の紹介はその1例です。2対ある乳に通した緒をそのままかかとにある返し輪にくぐらせ(写真1)、それを足首の前側で交差させて(写真2)、前後の乳の間をとおる紐にかけて再度かかと側に戻し、足首に巻いて固定します(写真3)。藁縄は鋭角に折り曲げるとそこで切れてしまいやすいので、なるべく紐や乳、輪が強く干渉しない取り回しを意識しましょう。

STEP 17

足半とわらじを使う

  • 写真1。ふくらはぎを引き締める足半
  • 写真2。わらじは濡れた苔に強い

今回紹介した足半は屋内用、わらじは渓流での使用をイメージして作りました。木綿は屋外での使用には向きませんが、乾いた屋内では床の冷気を遮るでしょう。足半はかかとが宙に浮くので、ふくらはぎの自然なストレッチも期待できます。わらじは地下足袋の上から装着すると滑りやすい苔の上を歩く際に強いグリップ力を生んでくれます。つい最近まで、藁製のわらじは沢登りに使われていました。

足半、わらじともに、素材を変えるだけで屋内外のさまざまな環境に対応することができます。どんな素材を使っても編み方は共通なので、用途に応じて素材を変えてみてください。

STEP 18

『やった!レポ』に投稿しよう

実践したら、写真をとって『やった!レポ』に投稿しましょう!苦労したことや工夫したこと、感想などあれば、ぜひコメントにも記載してください。

MATOME
まとめ

オセアニアやアマゾン、東南アジアなどを旅した文化人類学者のなかには、現地に住まう人のスタイルを真似ることで彼らの文化を理解しようとした人がいました。そんな研究者たちの多くが「裸足ではとても彼らのようには行動できない」と書き残しています。いろんな能力のなかでも、足の裏の強さは都市で育った人間と大自然のなかで育った人間を分かつようです。私たちが意識する以上に履き物の力は大きいのでしょう。私たちが普段使うような靴を自力で作ることは難しいですが、ここで紹介した足半やわらじであれば、ありあわせの素材からも作ることができます。履き物は人の行動力を飛躍的に高める道具です。それを自分で生み出せるようになることは、ちょっとした自信につながるかもしれませんね。

GROW CHART
成長スコアチャート
野性3
5知性
3感性
アクティビティ
つくる
環境
山 ・ 川 ・ 森 ・ 街 ・ 田畑 ・ 海 ・ 公園
季節
春 ・ 夏 ・ 秋 ・ 冬
所要時間
30分~60分
対象年齢
小学校中学年以上
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