1965年生まれ。東京大学大学院工学系研究科修了。広告代理店勤務を経て、2000年に株式会社スペースポート、2001年にThink the Earth設立。以来、コミュニケーションを通じて環境や社会について考え、行動するきっかけづくりを続けている。主な仕事に地球時計wn-1、携帯アプリ「live earth」、プラネタリウム映像「いきものがたり」、書籍『百年の愚行』『1秒の世界』『グリーンパワーブック 再生可能エネルギー入門』ほか多数。多摩美術大学客員教授。
ふだん夜空を見上げてもなかなか流れ星に出会うことはありません。だからこそ流れ星を見た時には、幸運がやってきそうな予感がするのかもしれません。ところが1年に何回か、流れ星に会える確率が高い夜があるのです。
たくさんの流星に出会えるのは、流星群と呼ばれる天文現象が起こる日です。あらかじめ、そのスケジュールを知っておくと、キャンプなどの夜に感動的な体験ができるかもしれません。
さらに、この流れ星を見るのに、ぴったりな観測スタイルがあるのです。楽しい流れ星体験を通じて、宇宙のなかの地球を感じてみましょう。
『天文年鑑』(誠文堂新光社)最新版
1冊
星座早見盤あるいは天文アプリ「Star Walker」など
虫除けスプレー、かゆみ止めなど
寝袋、防寒具(夏の夜もかなり寒くなるので準備は怠らずに)
懐中電灯やヘッドライト
コンパス(方位磁石)
夜食
『天文年鑑』や月刊誌『天文ガイド』などに流星群の詳しい情報が紹介されています。
代表的な流星群の日程を紹介します。
しぶんぎ座流星群 1月4日~5日頃
ペルセウス座流星群 8月11日~13日頃
しし座流星群 11月17日~18日頃
ふたご座流星群 12月14日~15日頃
この日程で、かつ月が無い夜(新月~上弦の月の頃)が望ましい。
流れ星のピークの日程や観測条件は毎年変わるので『天文年鑑』などで確認しましょう!
月の光は想像以上に明るく、月が出ていると見られる流れ星は減ってしまいます。月明かりが少ない夜かどうかは事前に調べておきましょう。流星群の情報に書かれている「観測条件」という項目をチェックすると良いでしょう。
流星の明るさはさまざまで、夜空のどこを流れるか予想がつきません。街明かりやクルマのライトなどの影響を受けにくい暗い場所で、できるだけ空が広い場所の方が出会えるチャンスが増えます。
筆者の経験では、夜のゴルフ場に入れてもらう、ヘリポート、駐車場、牧草地などで観測したことがあります。ただし、地域の人の迷惑にならないよう、また事故や怪我のないよう十分に注意しましょう。
地べたに仰向けに寝て夜空を見上げてみましょう。地球は球体なので、私たちは地球を背負って宇宙と向き合うことになります。眼前に拡がるのは、ただただ無限につづく星の世界。空のどこに流れるか予想の付かない流れ星の観測にはこのスタイルが最も適しています。
夏も冬も防寒対策は必須です。夏でも夜は寒いので要注意。寝袋があれば、顔だけ出して夜空を眺めることもできますね。
暗い場所で懐中電灯やヘッドライト使う時は、赤いセロファンを貼っておくと、光があまり邪魔になりません。
観測用に、夜食を準備しておくと楽しいですよ(ポットにお湯を入れて、コーヒーやカップラーメンを作るだけでも!)。
流れ星とは何か。地球が太陽の周りをまわる軌道上にはところどころにチリが浮いています。ひとつのチリの大きさは数ミリから数センチ程度。そのチリが地球の大気に突入すると摩擦熱で燃えあがります。地上から見ると、その燃えあがった光の軌跡が流れ星に見えるのです。
流星群の夜は、たくさんの流れ星が見られますが、この流れ星のお母さんは、ほうき星(彗星)です。地球の通り道には、ほうき星(彗星)が残していったチリがたくさん残っている場所があります。このチリがたくさんある場所に、地球が突っこんでいくと、たくさんのチリが夜空から降ってくるように見えるのです。
美しくはかない流れ星は、実はダイナミックな天体の動きの結果なのです。
たとえばペルセウス座流星群はスイフト・タットル彗星、しし座流星群はテンペル・タットル彗星が母天体です。
地球を背負って仰向けに寝転がったときに、宇宙船地球号の船首に立って、無数のチリが浮かんだ宇宙の中を進んでいる、と想像してみると楽しいかもしれません。ちなみに、宇宙船地球号は時速11万km(1秒間に約30km)というすごいスピードで進んでいます。
半月の観測と同じく、流星群の観測は、地球の公転(太陽のまわりを一周する)を体感することができる機会です。地球が止まっていて、流れ星が落ちてくるのではなく、宇宙空間に浮かぶチリに向かって地球が進んでいるとイメージするだけで、自分と宇宙の関係がちょっと変わります。
さらに、流れ星に夢中になっているうちに、しばらくすると、星座の位置が変わっていることに気付くはずです。それは、地球が自転しているから。普段はなかなか気づかないけれど、星を眺めていると、この地球自身の回転を体感することもできるのです。明け方太陽が昇るまで、自然の中で夜を明かせば、きっと忘れられない体験になるでしょう。